1人目人事の採用が難しい理由と採用方法|採用する時期・要件の決め方(採用・労務・制度)・正社員と業務委託とRPOの比較・面接の見極め【2026年10月更新】

2026-10-27
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2026-10-29

1人目人事の採用が難しいのは、評価できる人が社内におらず、任せる範囲と年収が決まらないまま募集しやすいためです。人事の平均年収は549万円(doda)、「企画・管理」の求人倍率は3.31倍でした。採用する時期・要件の決め方・必須条件を緩める順番・面接の見極めを解説します。(2026年10月更新)

1人目人事の採用はなぜ難しいのか?5つの理由

1人目人事の採用が難しいのは、評価する側に人事の専門家がいないこと・経験者が転職市場に出にくいこと・任せる範囲が決まっていないこと・年収と期待が合わないこと・入社後に相談相手がいないことが重なるためです。理由は5つに分けられ、打ち手がそれぞれ違います。

評価する側に人事の専門家がいない

人事が一人もいない会社では、面接をするのは経営者か事業部の責任者です。採用の実務・労務・制度のどれも、本当に経験があるのかを見分ける材料を持っていません。

そのため前職の社名や役職といった見た目で決めてしまうか、判断を先送りして他社に決められてしまいます。入社後に「思っていた人と違った」となる原因の多くは、面接の段階で任せたい仕事の中身を確かめていないことにあります。

経験者が転職市場に出にくく、出てきても複数の会社から声がかかる

人事の経験者は転職市場に出にくい職種です。採用・労務・制度を一通り任されている人事ほど現職での役割が大きく、辞めるとその会社の人事が止まるため、転職を先送りしやすいためです。

一方で人事を含む「企画・管理」の求人は増え続けています。dodaの転職求人倍率は2026年9月で3.31倍でした。市場に出てくる経験者が少ないところに求人が多いため、出てきた人には複数の会社から声がかかり、1社あたりの採用は決まりにくくなります。数字は次の章で示します。

採用・労務・制度のどこまで任せるかが決まっていない

1人目人事の仕事は経営者や管理部門が兼務していた業務をまとめて引き継ぐ形になりやすくなります。任せたいのは採用だけか。入退社の手続きや勤怠といった労務までか。評価や等級といった制度まで作ってほしいのか。ここが決まらないまま募集すると求人票が「何でもやる人」を探す文面になります。

候補者は任される範囲の広さと自分の経験を照らし合わせて応募するかを決めます。範囲が広すぎる求人は、経験者から見ると「一人で全部やる負担が大きい」と映ります。

年収と期待する範囲が合わない

人事の平均年収は549万円です(doda、登録者の現在の年収)。一方で1人目人事に期待する内容は、採用・労務・制度のすべてを一人で整える水準になりがちです。期待する範囲に対して提示額が低いと経験者は応募を見送ります。

年収を上げられないときは、決裁権限の広さ・経営者との距離の近さ・使える予算といった年収以外の選ばれる理由を用意します。

1人目は相談相手がおらず定着しにくい

人事が一人しかいない会社では、入社した人が判断に迷っても相談できる同じ職種の人がいません。評価の基準や報告先が決まっていないと、本人は「何をもって評価されるのか」が分からないまま働くことになります。

候補者はこの点を面接で感じ取ります。相談相手と評価の基準を入社前に示せるかどうかが、承諾にも定着にも影響します。

5つの理由と対応する章

理由 起きること 対応する章
評価する側に人事の専門家がいない 実力を判断できず、見た目で決めるか判断が遅れる。 面接の章
経験者が転職市場に出にくく、出てきても複数の会社から声がかかる 応募が集まらず、スカウトの返信も少ない。 採用手法・求人票とスカウトの章
任せる範囲が決まっていない 求人票が「何でもやる人」の文面になり、応募が減る。 要件の決め方・必須条件を緩める順番の章
年収と期待する範囲が合わない 提示額で比較され、辞退される。 年収の章
相談相手がおらず定着しにくい 入社後に孤立して早期に離れる。 定着の章

人事の採用市場はどうなっているか?

dodaの転職求人倍率は2026年9月に全体で2.89倍、人事を含む「企画・管理」で3.31倍でした。人事だけの倍率は公表されていません。

公表されている数字から分かることと、分からないことを分けて示します。

dodaの転職求人倍率

dodaの転職求人倍率レポート(2026年9月分、2026年10月22日発表)では、全体が2.89倍でした。職種別で人事を含む「企画・管理」は3.31倍で、4月から毎月上がっています。

月(2026年) 企画・管理の転職求人倍率
4月 2.82倍
5月 2.93倍
6月 3.05倍
7月 3.14倍
8月 3.28倍
9月 3.31倍

dodaの職種別の表に「人事」の列はなく、人事だけの倍率は公表されていません。dodaの平均年収の区分では、人事は企画/管理系に入っています。そのため「企画・管理」の数字には人事が含まれると考えられますが、経理や総務なども同じ区分です。人事の需給をそのまま表す数字ではありません。

求人倍率だけで1人目人事の採用は決まるのか?

求人倍率は転職を希望する登録者1人に対して何件の求人があるかを示します。倍率が高ければ探している人に対して求人が多いと言えます。

ただし1人目人事の場合は、倍率より「求める経験の中身」で決まります。採用に強い人・労務に強い人・制度に強い人は、同じ人事でも別の経験です。自社が求める経験を持つ人が少なければ、倍率が低くても採用は決まりません。倍率の数字を見る前に、何を任せるのかを絞れているかを先に確かめてください。

人事はいつ採用すべきか?

人事は、兼務している担当者の時間が採用と労務に取られて本来の仕事が止まり始めたときが採用の時期です。従業員30名前後がよく言われる目安ですが、公的な統計ではありません。会社ごとに事情が違います。

人数だけでなく、次の兆候で判断してください。

採用を考える兆候

兆候 確かめること 判断の考え方
応募対応と面接調整の時間が増えた 兼務の担当者が、1か月に採用へ使った時間を書き出す。 本来の業務を圧迫しているなら、専任か外部の力が必要。
採用人数が増えた 年間の採用予定人数と、いまの対応人数を比べる。 複数名の採用が続くなら、採用の実務を任せる人が要る。
労務の対応が遅れる 入退社の手続き・勤怠の確認・規程の見直しが期限に追われていないかを見る。 後回しが続くなら、労務を見る人が要る。
経営者が採用に時間を使いすぎている 経営者が面接・スカウトの返信・日程調整に使う時間を見る。 事業の判断に使う時間が減っているなら、採用の実務を渡す時期。

30名前後という目安をどう扱うか

従業員が30名前後になると、人事の専任が必要になるとよく言われます。人が増えて、入退社の手続き・評価・面談といった仕事が経営者や管理部門の手に負えなくなる時期だからです。

ただし30名より少なくても採用が続く会社には、先に採用の実務を外に出す選択肢があります。30名を超えていても、採用が年に数名で労務も落ち着いている会社は専任を急がないこともあります。人数は判断の入口と考え、上の表の兆候と合わせて見てください。

兼務から専任に切り替える順番

兼務をやめて専任を置くときは、いきなり全部を渡さずに先に何を渡すかを決めます。多くの会社で採用の実務は経営者の時間を最も使うため、最初に渡す対象になります。労務は社会保険労務士に任せている会社も多く、そこは当面そのままにする選び方もあります。制度の設計は採用と労務が回り始めてから着手する順番が現実的です。この順番はHeaRの考え方で、会社の状況によって入れ替わります。

1人目人事の年収はどう決めるか?

dodaの職種別平均年収で、人事は549万円でした。20代430万円・30代539万円・40代650万円・50代以上775万円と、経験で幅があります。この数字は登録者の現在の年収で、求人の提示額ではありません。

公表されている年収と、公表されていない提示額を分けて書きます。提示額は任せる範囲(採用のみ・採用と労務・制度まで)から決めます。

dodaの平均年収は登録者の現在の年収

dodaの「平均年収ランキング」は、2024年9月から2025年8月に登録した20〜65歳の正社員の回答(約60万件)を職種別に集計したものです。2025年12月1日に更新されました。人事は企画/管理系の22職種中14位で、経理と同額でした。

区分 人事の平均年収
全体 549万円
男性 633万円
女性 488万円
20代 430万円
30代 539万円
40代 650万円
50代以上 775万円

隣接する職種も参考になります。総務/庶務は534万円、経営企画/事業企画は703万円でした。制度や経営への関わりが深い役割を求めるほど、人事の平均より経営企画に近い水準を見込む場面が出てきます。

求人の提示額は公表データを確認できなかった

上の数字は転職サービスに登録した人がいま受け取っている年収で、求人が出している提示額とは別の数字です。人事の求人の提示額を職種別にまとめた公表データは、2026年10月時点で確認できていません。

経験者に転職を決めてもらうには、現在の年収より高い提示額が必要になる場面が多くあります。これはHeaRの採用支援で見てきた傾向で、数字で裏づけたものではありません。自社の提示額は求人サイトで同じ役割の求人を数件見比べて確かめてください。

任せる範囲から提示額を決める

年収は経験年数と任せる範囲で幅が大きく変わります。1つの相場に合わせるより任せる範囲から決めるほうが社内で説明しやすくなります。次の表はHeaRの考え方で、金額の目安ではなく決め方の軸です。

任せる範囲 担う仕事 提示額の決め方
採用のみ 求人票の作成・スカウト・応募者対応・面接の調整を担う。 dodaの30代539万円を比較の起点にし、採用の経験年数で幅をつける。
採用と労務 採用に加えて、入退社の手続き・勤怠・社会保険労務士との連携を担う。 30代539万円から40代650万円の間を起点にし、労務の経験の深さで決める。
制度まで(人事責任者を兼ねる) 評価・等級・報酬の制度を設計し、経営者に提案する。 40代650万円を起点にし、経営企画/事業企画703万円との差を確かめる。

決めた幅は面接に出る全員で共有します。面接官ごとに話す金額が違うと、内定後の辞退や不信につながります。年収を上げられないときは、決裁権限の広さ・経営者との距離・使える予算といった理由を用意します。理由の作り方は採用ブランディングの考え方が使えます。

1人目人事の要件はどう決めるか?採用・労務・制度の3軸

1人目人事の要件は採用・労務・制度の3軸ごとに「入社初日から必要なこと」と「入社後に補えること」を分けて決めます。1人目・2人目以降・人事責任者で必須と歓迎の置き方が変わるため、先に区分を決めてください。

採用基準の一般的な作り方は採用基準の決め方と採用ペルソナの作り方で扱っています。ここでは人事に絞って、具体的な分け方を示します。

最初に決める3つの問い

1つ目は最初の1年で3軸のうちどれを任せるかです。採用の実務が経営者の時間を最も使っているなら採用の軸を最優先にします。

2つ目は経営者との距離です。誰に報告してどこまで自分で決めてよいのかを決めます。制度を作る仕事は経営者の意思決定と近くなければ進みません。

3つ目はいま兼務している人が誰で何を渡すのかです。渡す仕事が決まっていなければ、入社した人が何をすればよいのか分からなくなります。

区分別の要件の表

軸 1人目人事 2人目以降 人事責任者
採用 ・必須:求人票の作成・応募者対応・面接調整を自分で回した経験
・歓迎:スカウトの運用や媒体選びの経験
・必須:1人目が持たない領域(新卒採用・専門職の採用など)の経験
・歓迎:面接官への教育の経験
・必須:採用計画を立てて経営者に説明した経験
・歓迎:採用チームをまとめた経験
労務 ・必須:入退社の手続き・勤怠の確認の流れを理解し、社会保険労務士と連携した経験
・歓迎:就業規則を見直した経験
・必須:1人目が弱い領域を補える経験
・歓迎:労務に関する資格
・必須:労務上のリスクに優先順位をつけて判断した経験
・歓迎:監査や労働基準監督署への対応の経験
制度 ・必須:なし(入社後に整える前提)
・歓迎:評価や等級の運用に関わった経験
・必須:評価制度を運用した経験
・歓迎:制度を設計した経験
・必須:評価・等級・報酬の制度を設計し運用した経験
・歓迎:組織開発や人事データの分析の経験

1人目人事で制度の必須要件を置かないのは、制度は採用と労務が回り始めてから整える会社が多いためです。この表はHeaRの考え方で、会社の状況によって入れ替わります。

人事経験の中身を分けて聞く

「人事経験5年」という経歴は、中身が人によって大きく違います。採用中心の人事と労務中心の人事では、できることが別です。大きな会社で一部だけを担当してきた人は、一人で全体を回す経験が少ない場合があります。

求人票と面接では年数ではなく「どの範囲を自分で決めて進めたか」を聞きます。同じ質問を面接官の全員が使えるように、聞く内容を先にそろえてください。

必須条件を緩めるならどの順番で緩めるか?

必須条件は入社後に補いやすいものから緩めます。人事の経験年数・同じ業界の経験・労務の実務・人事以外の職種からの転身の順で検討し、経営者と話して優先順位を決める力は最後まで残します。

応募が来ないからといって全部を緩めると、入社後に補えない部分で苦労します。補えるかどうかを基準にして、順番と育成の前提を示します。この順番はHeaRの考え方で、会社の状況で入れ替わります。

必須条件を緩める順番の表

順番 緩める要件 緩めてよい理由 緩めたときの手当て
1 人事の経験年数 年数より、どの範囲を自分で進めたかのほうが実力に近い。 年数の条件を外し、面接で担当した範囲を具体的に聞く。
2 同じ業界の経験 業界の特有の事情は、入社後の数か月で身につく人が多い。 最初の3か月で、業界の法令や取引の流れを教える計画を立てる。
3 労務の実務 労務は社会保険労務士に任せる形をとれる。 社会保険労務士との役割分担を決め、入社後の手続きの流れを引き継ぐ。
4 人事の経験そのもの(営業・採用代行会社・人材紹介会社の出身) 採用の現場を知る人は、採用の軸で早く戦力になる場合がある。 労務と制度は外部の専門家と補い、教える人と最初の3か月の計画を先に用意する。

最後まで緩めないもの

残したい項目は2つあります。経営者と話して優先順位をつけられることと、相談を受けて自分で判断し前に進められることです。1人目人事は決めるのも動くのも本人になります。この2つは入社後に教えるのが難しく、特に1人目では欠かせません。

人事以外から迎えるときの育成の前提

人事の経験がない人を候補にするときは、どんな経歴の人がどの軸で強いかを整理します。

出身 強み 足りない部分 育て方
営業職 候補者に会社の魅力を伝える力があり、事業を理解している。 労務と制度の知識がない。 採用の軸から任せ、労務は社会保険労務士と進める。
採用代行会社の出身 採用の実務を多くの会社で回した経験がある。 一つの会社に長く関わり、労務や制度を整えた経験が少ない。 採用を任せつつ、制度は経営者と週に一度話して整える。
人材紹介会社の出身 候補者の見極めと、条件の交渉に慣れている。 入社後の定着や、社内の制度に関わった経験が少ない。 入社後90日の計画を先に作り、定着と評価の運用を学べる場を用意する。

人事以外から迎えるときは、教える人・最初の3か月で任せる範囲・確認の仕組みの3つを先に決めます。社内に人事の経験者がいなければ、教える役を外部の専門家や業務委託の人事に頼めるかを採用の前に確かめておきます。体制がないまま迎えると、本人にも会社にも負担がかかります。

正社員・業務委託・採用代行(RPO)はどう使い分けるか?

正社員で採用するか、業務委託に任せるか、採用代行(RPO)で実務を外に出すかは、任せたい仕事の量と継続性で決めます。仕事が日常的に続くなら正社員が向きます。期間を区切るなら業務委託、採用の実務だけが追いつかないなら採用代行です。

費用の型と立ち上がりの早さが違うため、比較表で整理します。会社名は出さず、種類で書きます。

3つの選択肢の比較表

選択肢 費用の型 任せられる範囲 立ち上がり 向く状況
正社員の1人目人事 給与に加えて、採用時の費用がかかる型が多い。 採用・労務・制度の全体。社内にノウハウが残る。 採用に時間がかかり、入社後も習熟期間がいる。 人事の仕事が日常的に発生し、社内に知識を残したいとき。
業務委託(副業・フリーランスの人事) 月額や時間あたりで契約する型が多い。 契約で決めた範囲。制度設計や採用の立ち上げなど。 契約後すぐに動き出しやすいが、稼働できる時間は限られる。 常勤が決まるまでつなぎたいとき。制度づくりなど期間を区切れる仕事があるとき。
採用代行(RPO) 月額固定や成果に応じた費用の型がある。 採用活動の実務(候補者探し・スカウトの運用・日程調整など)。労務や制度は対象外。 要件が決まっていれば開始しやすい。 採用の実務に手が回らないとき。採用人数が増えたとき。

業務委託の1人目人事で足りるのはどんな会社か?

1人目人事を業務委託で迎える方法は、副業やフリーランスの人事経験者が増えたことで選びやすくなっています。足りるのは、人事の仕事が日常的に多くなく、制度づくりや採用の立ち上げのような期間を区切れる仕事を任せる会社です。

一方で毎週のように入退社や面談の対応が発生する会社は、稼働時間が限られる業務委託だけでは回りません。社内にノウハウが残りにくい点にも注意が必要です。契約の範囲と秘密保持、個人情報の扱いは契約で明確にしてください。業務委託は入社前に仕事ぶりを見る手段としても使えます。

採用代行を使う場合の考え方

採用代行は採用活動の実務を任せる選択肢で、1人目人事の代わりにはなりません。労務や制度の仕事が対象外になるためです。

要件が固まっていない段階では、先に要件の整理から始めます。費用の目安は採用代行の費用相場、委託できる業務は採用アウトソーシング(RPO)とはで整理しています。スタートアップの場合はスタートアップ向け採用代行8社の比較も参考になります。

HeaRのAI-RPOは、スカウトの運用や日程調整といった採用の実務を先に外に出して、1人目人事が制度と労務に集中できるようにする使い方ができます。採用の実務に追われて制度づくりに着手できない会社には、人事の採用前か採用と並行して実務を外に出す選択肢があります。

人事の採用手法はどれを選ぶか?

人事の採用手法は管理部門に強い人材紹介・求人媒体・ダイレクトスカウト・リファラル・顧問や副業の人事の5つに分けられます。経験者を急ぐなら人材紹介とスカウト、育成を前提に広く募るなら求人媒体が向いています。

手法ごとに費用の型と向く状況が違います。自社の要件と急ぐ度合いに合わせて組み合わせてください。会社名は出さず、種類で書きます。

5つの手法の比較表

手法 費用の型 向く状況 注意すること
管理部門に強い人材紹介 採用が決まったときに年収に応じた手数料がかかる型が多い。 経験者を急いで探すとき。 任せる範囲と見送りの理由を共有しないと精度が上がらない。
求人媒体 掲載の期間や枠に応じて費用がかかる型が多い。 経験者と未経験の両方を広く募りたいとき。 掲載しただけでは応募を待つ形になる。求人票の書き方で結果が変わる。
ダイレクトスカウト 利用料に加えて、採用時の費用がかかる型もある。 転職を考えはじめていない層にも声をかけたいとき。 返信が少ない。人事に響く文面を作る必要がある。
リファラル 紹介への謝礼を会社が決める。 社風に合う人を探したいとき。 紹介の候補が限られる。紹介者との関係を考えて選考を進める。
顧問・副業の人事 月額や時間あたりで契約する。 常勤が決まるまでつなぎたいとき。入社前に仕事ぶりを見たいとき。 稼働時間に限りがある。契約の範囲を明確にする。

採用手法の費用感は採用コストの平均で整理しています。スカウトの運用はダイレクトリクルーティングとスカウト返信率の平均と上げ方が参考になります。

経験者と未経験の人事で手法を分ける

経験者と人事以外から迎える候補を同じ求人票で募集すると、どちらにも合わない文面になりがちです。経験者は人材紹介とスカウトを中心にし、任せる範囲と決裁権限を前面に出します。人事以外の出身者は求人媒体を中心にし、教える体制と最初の3か月の計画を前面に出します。

経営者の人脈と社会保険労務士を使う

人事の経験者は他社の人事や社会保険労務士とのつながりを持っていることが多くあります。顧問の社会保険労務士に、人事の転職を考えている人を知らないかを聞く方法があります。社員のリファラルはリファラル採用のメリット・デメリットで進め方を整理しています。

1人目人事の求人票とスカウトには何を書くか?

求人票には任せる範囲・決裁権限・経営者との距離・使うツール・年収の幅・体制と評価を書きます。スカウトでは「なぜあなたに声をかけたのか」と「入社後に任せる範囲」を書き、定型文は避けます。

候補者が1人目人事の求人で知りたいのは、任される範囲と会社の中での位置づけです。最低限書く項目と、スカウト文の型を1つ示します。

求人票に書く項目

  • 任せる範囲:採用・労務・制度のうち、最初の1年で担当する仕事を具体的に書く。兼務している人から何を引き継ぐのかも書く
  • 決裁権限:採用の人数や媒体の予算、制度の変更をどこまで自分で決められるか
  • 経営者との距離:誰に報告するか、経営者と話す頻度、経営会議に出るかどうか
  • 使うツール:求人管理や勤怠、給与計算で使っているツール。導入の予定があるならその計画も書く
  • 年収の幅:経験に応じた幅で示し、幅の決め方(経験年数や任せる範囲)も書く
  • 体制と評価:人事の人数、相談できる外部の専門家(社会保険労務士など)、入社後に何をもって評価するか

「やりがいのある仕事」「成長できる環境」のような、どの会社でも書ける表現は避けます。候補者が知りたいのは、任される範囲・判断できる場面・相談できる相手の有無といった事実です。

スカウト文の型

人事の経験者は現職で信頼され、複数の会社から声をかけられています。定型文は読まれにくいため、次の3点を入れます。

  • なぜあなたに声をかけたのか(経歴のどこに注目したか)
  • 入社後に任せる範囲と、経営者との距離
  • 働き方と評価(リモートの可否・決裁権限・評価の基準)

文面の例を示します。会社名・人物は架空です。

件名:採用の仕組みづくりを任せたい、1人目の人事としてのご相談

〇〇様

はじめてご連絡します。株式会社〇〇の代表の△△です。

〇〇様のご経歴の中で、前職で採用の流れを整えて年間の採用人数を増やした経験に注目しました。
当社は従業員が増える一方で、採用と入退社の手続きを私と管理部門で兼務しており
手が回らなくなっています。

入社後に任せたいのは、採用の仕組みづくりと入退社の手続きの引き継ぎです。
採用の人数と媒体の予算は、〇〇様が決められます。
私とは週に一度話す時間をとり、社会保険労務士の方とも連携できる体制です。
リモートは週3日まで可能です。

まず30分、当社の状況をお話しする機会をいただけないでしょうか。

「成長できる環境です」といった一般的な言葉は入れず、任せる範囲と判断の流れを具体的に書くのがこの型の要点です。

1人目人事の面接では何を見極めるか?

面接では前職で自分が決めた範囲・経営者との進め方・入社後の優先順位を見極めます。人事の経験がない経営者でも質問と判断の材料を先に決めておけば、実力を見分けやすくなります。

人事の専門家が社内にいないため、会話の印象だけで決めると見た目に左右されます。聞く質問と見送る判断の例を先に決めておくと、面接官が変わっても同じ基準で見られます。面接全体の設計は採用面接の質問例140選で整理しています。

経営者が聞く質問5つ

質問 見たいこと
「前職の採用・労務・制度のうち、あなたが最終的に決めた範囲を教えてください。」 任されていた範囲と、一人で進めた経験の深さ。
「経営者や上司と意見が分かれたとき、どのように進めましたか。」 経営者と話して優先順位を決められるか。
「当社の人事として、最初の3か月に何から手を付けますか。その理由も聞かせてください。」 会社の状況を踏まえて優先順位をつけられるか。
「相談できる人がいない状態で、判断した経験はありますか。どう決めましたか。」 一人でも判断し、前に進められるか。
「うまくいかなかった施策と、その後に変えたことを教えてください。」 失敗から仕組みを変えた経験があるか。

STAR型の質問例3つ

過去の具体的な場面を、状況(Situation)・課題(Task)・行動(Action)・結果(Result)の順に聞く形です。1人目人事では次の3つが使いやすい質問です。

  • 現場から反対された運用や制度を導入した場面を教えてください。(状況と課題を聞き、どう説得したか行動を掘り下げる)
  • 労務の手続きでミスや遅れが起きた経験はありますか。そのとき何をして、どう再発を防ぎましたか。(誰にいつ伝えたか、仕組みをどう変えたかを聞く)
  • 採用の目標に届かなかった場面を教えてください。何を変えて、結果はどうなりましたか。(原因の見立てと、次の打ち手の選び方を聞く)

答えが抽象的なときは、「その場にいたのは誰ですか」「あなたは具体的に何をしましたか」と場面に戻して聞きます。STAR型の面接の進め方は、下の資料にまとめています。

見送る判断の例

次のような場合は見送りを考える材料になります。1つだけで決めず、複数が重なったときに判断してください。

  • 担当した範囲を聞いても、「チームで」「全体で」という答えが続き、本人が決めた部分が出てこない
  • 経営者と意見が分かれた場面で、反論も相談もせずに従った話しか出てこない
  • 前職の社員や候補者の個人情報を、具体的な名前や事情まで含めて話す
  • 自社の状況を聞いても、一般的な人事の話に終始し、当社の優先順位が出てこない

人事は社員の個人情報を扱う仕事です。話し方や守秘への意識は、仕事ぶりを推し量る材料になります。選考の連絡を遅らせないことも、経験者の辞退を減らすうえで欠かせません。進め方はカジュアル面談と内定承諾率の記事で整理しています。

【無料資料】STAR型質問面接

1人目人事を定着させるには何をすればよいか?

1人目人事を定着させるには、最初の90日で任せる範囲と優先順位を決めます。相談相手を用意し、評価の基準を入社前に言葉にすることも欠かせません。1人目は相談できる同職種の人がいないため、会社が相談の場を作ります。

入社後の関わり方の一般的な設計はオンボーディング完全ガイドで整理しています。ここでは1人目人事に絞って示します。

最初の90日で決めること

期間 決めること 経営者の役割
最初の30日 現状の把握。いま誰が何を兼務していて、どの仕事がどう回っているかを書き出す。 兼務している仕事と、引き継ぐ順番を伝える。
31〜60日 最初の1年で取り組む優先順位を決める。採用・労務・制度のうち何から着手するかを選ぶ。 優先順位に合意し、決裁の範囲を確認する。
61〜90日 優先順位の1つ目を実行し始め、結果を確認する。 結果を聞き、次の優先順位の判断を一緒に行う。

90日という区切りは、HeaRが採用支援で入社後の立ち上がりを見るときに使っている目安です。会社の状況に合わせて調整してください。

相談相手の作り方

人事が一人しかいない会社では、相談相手を会社が用意する必要があります。経営者と週に一度、30分の話す時間をとります。労務は社会保険労務士に、判断に迷う場面を相談できる関係を作ります。

人事の経験者が社外にいるなら、業務委託や顧問として月に数回、壁打ちの相手を頼む方法もあります。入社した人が「判断を誰に聞けばよいか」を迷わない状態を、入社前に作っておきます。

評価の決め方

入社後に何をもって評価するのかを、入社前に言葉にします。たとえば採用なら、採用人数と入社後の定着。労務なら、手続きの期限を守れているか。制度なら、評価制度の運用が始まったか。評価する人に人事の専門家がいない会社では、こうした事実で見られる項目を選ぶと、本人にも基準が伝わります。評価の面談は最初の半年は短い間隔で行い、基準を一緒に見直します。

1人目人事の採用でよくある質問

Q. 人事は何人目で採用すべきですか?

A. 人数に決まった基準はありません。従業員30名前後がよく言われる目安ですが、公的な統計ではありません。兼務の担当者が採用と労務に使う時間が増えて本来の仕事を圧迫したとき、採用人数が増えて経営者が面接に時間を取られているときが、採用を考える時期です。

Q. 人事経験がない人でもよいですか?

A. 採用できますが、教える人・最初の3か月で任せる範囲・確認の仕組みを先に決める必要があります。営業・採用代行会社・人材紹介会社の出身者は、採用の軸で早く戦力になる場合があります。労務と制度は、社会保険労務士など外部の専門家と補う形が現実的です。

Q. 業務委託で足りますか?

A. 人事の仕事が日常的に多くなく、制度づくりや採用の立ち上げのように期間を区切れる仕事なら足ります。毎週のように入退社や面談の対応がある会社は、常勤が向きます。業務委託は入社前に仕事ぶりを見る手段にもなります。契約の範囲と個人情報の扱いは明確にしてください。

Q. 採用担当と労務担当はどちらを先に採用しますか?

A. 経営者の時間を何が最も使っているかで決めます。多くの会社では採用の実務が先ですが、労務の遅れが続いている会社は労務を先にします。労務は社会保険労務士に任せる形をとれるため、採用の実務を先に人か外部に任せて、労務は当面そのままにする選び方もあります。

Q. 1人目人事の年収の目安はいくらですか?

A. 任せる範囲から決めます。dodaの平均年収では、人事は全体で549万円、30代が539万円・40代が650万円でした。これは登録者の現在の年収で、求人の提示額ではありません。求人サイトで同じ役割の求人を数件見比べ、幅を決めて面接官で共有します。

Q. 1人目人事の採用にはどれくらいかかりますか?

A. 期間を示す公表データは確認できていません。任せる範囲と要件が固まっていれば短くなり、条件を増やしすぎると長引きます。応募が集まらないときは、業務委託でつなぎながら常勤の採用を進める方法があります。選考の連絡を遅らせないことも、辞退を減らすうえで大切です。

まとめ

1人目人事の採用が難しいのは、評価する側に人事の専門家がおらず、経験者が転職市場に出にくく、任せる範囲と年収が決まらないまま募集しやすいためです。入社後に相談相手もいません。dodaの人事の平均年収は549万円、「企画・管理」の求人倍率は3.31倍でした。人事だけの倍率は公表されていません。

次にやることは2つです。1つ目は採用・労務・制度のうち最初の1年で何を任せるかを決め、必須と歓迎に分けて書き出すことです。2つ目は求人票に任せる範囲と決裁権限を書き、面接で「前職で自分が決めた範囲」を聞くことです。採用の実務が追いつかない場合は、採用代行の費用相場も確認してください。法務や経理といった別の管理部門の採用は法務の採用が難しい理由と採用方法と経理の採用が難しい理由と採用方法も参考になります。

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監修者

大上 諒

代表取締役CEO

HeaR株式会社 代表取締役CEO。累計250社以上の採用支援に従事し、AI-RPOなど次世代の採用ソリューションを開発・提供。「青春の大人を増やす」をミッションに掲げる。

編集者

HeaR編集部

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HeaR株式会社 編集部。累計250社以上の採用支援で得た知見を発信。

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