採用ピッチ資料の事例160選と作り方【業界別・2026年9月版】

2026-02-19
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2026-09-21

採用ピッチ資料の事例を業界別に160社まとめ、作り方まで1本で解説します。まず見るべき定番10選と実物スライド、全18セクションの構成テンプレート、作り方5つのSTEP、活用方法とよくある質問まで。2026年9月時点で全社のリンクを確認済みです。

※なお、掲載している160社のリンクはすべて2026年9月21日に確認済みです。

まず見るべき定番10選

最初に、業界を問わずまず目を通しておきたい10社をまとめます。選定基準は「更新頻度の高さ」「構成の完成度」「候補者への伝わりやすさ」の3点です。

1. SmartHR(2026年7月更新)

採用ピッチ資料という文化そのものを広めた火付け役が、労務・人事管理SaaSを展開するSmartHRです。同社は資料公開の効果を自社ブログで発信しており、公開後に応募数が5.3倍、閲覧数が40万回を超え、候補者との面談時間がより有意義になったと報告しています(参照: SmartHR社ブログ)。

更新頻度も高く、2〜3ヶ月に1度のペースで内容を見直し、採用ターゲットに合わせた細かなチューニングや訴求ポイントのA/Bテストを重ねてきました。2026年7月時点の最新版でも、プロダクトの事業規模と組織づくりの両方を数字で見せる構成は健在で、エンジニア採用の文脈でまず読むべき1本という位置付けは変わっていません。

この資料から学べるのは、1度作って終わりにせず、効果を測定しながら定期的に更新し続ける運用体制そのものが採用力になるという点です。

2. ミラティブ(2026年5月更新・全76枚)

ライブ配信×ゲームという独自領域で急成長したミラティブは、採用ピッチ資料公開の流れそのものを加速させた立役者としても知られています。「採用候補者様への手紙」という求職者に寄り添ったネーミングが公開当初から大きな話題を呼び、以降の各社の資料にも影響を与えました。

資料は同社が大切にする「エモさ」という独自の価値観を軸に、ミッション・数字・カルチャーの3層で丁寧に構成されています。2026年5月更新版は全76枚とボリュームがありますが、Letter形式の読みやすい文体で最後まで飽きさせない構成美が際立ちます。

この資料から学べるのは、資料のタイトルやネーミング一つで候補者体験と話題性の両方を作れるということです。中身の情報設計だけでなく「呼び方」も採用ピッチ資料の重要な設計要素になります。

3. マネーフォワード(2026年更新)

バックオフィスSaaSの最大手であるマネーフォワードは、「AI Vision 2026」を掲げ、会計・人事から金融まで広がる複数プロダクトの戦略とAI活用の方向性を1本の資料に統合しています。

事業領域が広がるほど資料は総花的になりがちですが、同社はプロダクト戦略とAI投資の方向性という2つの軸に絞り込むことで、事業規模の大きさをむしろ理解しやすい情報として提示しています。

この資料から学べるのは、事業ポートフォリオが広がった企業ほど、資料の軸を絞り込む編集判断が採用ピッチ資料の完成度を左右するという点です。

【無料資料】業界・更新年で絞り込める!採用ピッチ資料 160社一覧シート

4. LayerX(2026年更新)

バクラクをはじめとする複数プロダクトを急速に展開し、三井物産との協業も進めるLayerXは、AI×SaaSという事業ロジックをCompany Deck1本で俯瞰できるように設計しています。

急成長企業ほど事業展開のスピードに資料の更新が追いつかなくなりがちですが、同社は複数プロダクトの関係性と成長ロジックを整理して見せることで、複雑な事業構造を候補者が短時間で把握できるようにしています。

この資料から学べるのは、プロダクトが増えるほど「なぜその展開が合理的なのか」という事業ロジックの説明を厚くする必要があるということです。

5. サイボウズ(2026年更新)

kintoneやサイボウズOfficeで知られる老舗のサイボウズは、全社向けの会社紹介ではなく、エンジニア採用に特化した資料を用意している点が特徴です。

開発組織のリアルな実情を開示し、同社が掲げる「100人100通り」という働き方の理念を、実際の事例を交えて具体的に説明する構成になっています。老舗企業でありながら、対象読者を絞り込んだ資料設計になっている点が際立ちます。

この資料から学べるのは、全社向けの会社紹介とは別に、職種特化型の資料を持つことで訴求力が高まるということです。

6. freee

クラウド会計SaaS大手のfreeeは、「10分でわかる」を掲げたエンジニア向け会社説明資料を公開しています。プロダクトの事業規模と技術投資の全体像を、短時間で把握できるように設計されている点が特徴です。

情報量を絞り込みながらも、事業の技術的な難しさや投資の方向性は具体的に伝えており、忙しい候補者が最初に目を通す1本として機能しています。

この資料から学べるのは、情報量ではなく「読了までの時間」を資料設計の軸に置く発想です。候補者の可処分時間が限られていることを前提に設計されています。

7. Ubie(2026年8月更新)

「世界中の人々を適切な医療に案内する」をミッションに掲げ、AIを使った問診支援や病気推測のサービスを提供するUbieは、職種ごとに採用ピッチ資料を分けて公開している点が特徴的です。

求人票レベルの詳細な求人情報や、職種ごとの事業戦略まで踏み込んで公開しており、医師出身の共同代表というユニークな経営体制も資料の中で丁寧に説明されています。2026年8月更新版でもこの姿勢は継続しています。

この資料から学べるのは、職種ごとに資料を分割することで、候補者が自分に関係する情報だけを深く読み込める構成にできるということです。

8. 10X(2026年3月版)

チェーンストアECの垂直立ち上げプラットフォーム「Stailer」を運営する10Xは、「買い物」という消費行動体験のDX化を掲げ、大きな話題を集め続けてきた企業です。Culture Deckでは、マーケットやユーザーの課題、そして採用に対する考え方が丁寧に説明されています。

資料の外側にはなりますが、選考プロセスにおける1Dayトライアルも同社の特徴の一つで、資料で語る内容と実際の選考体験が一貫している点が評価されています。

この資料から学べるのは、採用ピッチ資料の内容と選考プロセスの設計を一致させることで、候補者に伝えたいメッセージの説得力が増すということです。

9. STORES(2026年8月更新)

オンラインストア開設や決済サービスを展開するSTORESは、社名変更を機に採用ピッチ資料も刷新しました。「STORESバリュー」という3つの行動指針を紹介するスライドは特に目を引く構成になっています。

2026年8月更新版では、ネットショップ作成サービスを核に、金融・決済まで広がった事業ポートフォリオを1冊にまとめた総合資料「STORES Book」として展開しています。

この資料から学べるのは、社名変更や事業フェーズの転換といった節目を、資料を刷新するトリガーとして活用する運用の仕方です。

10. キャディ(2026年8月更新)

金属加工部品の発注企業と、品質・納期・価格が最も適合する加工会社とをつなぐマッチングプラットフォームを展開するキャディは、製造業という難しい事業ドメインを非エンジニアにも伝わる言葉で解説する構成力が光ります。

職種ごとに資料を分け、CTOからの手紙というスタイルを取り入れているほか、給与テーブルまで公開している点が特徴的です。踏み込んだ情報開示によって、候補者が入社後の解像度を高められるように設計されています。

この資料から学べるのは、給与テーブルのような踏み込んだ情報の開示が、候補者の意思決定を後押しする材料になるということです。

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採用ピッチ資料とは?

採用ピッチ資料とは、事業内容・組織文化・働き方に加えて、事業や組織の課題までを候補者にありのまま伝えるスライド資料です。会社紹介資料や採用ブックとも呼ばれ、多くはSpeaker Deckなどのスライド共有サービスで一般公開されています。

投資家向けのピッチデッキの考え方を採用向けに応用したもので、候補者の応募意欲を高めることと、選考後半の不安を取り除くことの両方を担います。もともとは外資系企業やスタートアップでの活用が中心でした。近年は情報開示への抵抗が薄れたことで、大手企業や官公庁、中小企業にまで広がっています。

カジュアル面談や一次面接の前に候補者へ共有すると、認識のズレを防ぎ、選考離脱を減らす効果が期待できるでしょう。採用力の高い企業ほど更新頻度が高く、事業フェーズの変化に合わせて半年から1年ごとに改訂している傾向があります。

会社説明資料・採用サイト・カルチャーデックとの違い

採用ピッチ資料は、会社説明資料や採用サイトと混同されがちですが、読者も役割も別物です。最大の違いは、良い面だけでなく課題まで開示する点と、選考中の候補者に向けてストーリーとして完結させる点です。

資料主な読者役割伝える範囲更新の目安
採用ピッチ資料応募を検討中〜選考中の候補者応募意欲を高め、選考後半の不安を取り除く事業・組織・働き方・待遇に加えて課題まで半年〜1年ごと
会社説明資料説明会の参加者・取引先など幅広い層会社の概要を短時間で伝える事業内容と実績が中心(良い面が中心)年1回程度
採用サイト潜在層を含む求職者全般いつでも参照できる情報の置き場募集要項・社員紹介・制度などを網羅随時
カルチャーデックカルチャーの相性を確かめたい候補者価値観と行動指針を深く伝える文化・バリュー・働き方に特化文化の見直し時
エントランスブックカジュアル面談前の候補者・内定者面談や入社の前に知っておいてほしい情報を渡す面談の進め方・入社前後の案内随時

カルチャーや行動指針だけを厚く伝えたい場合は、採用ピッチ資料から一部を切り出してカルチャーデックとして独立させる企業も増えています。どれか1つを選ぶものではなく、採用ピッチ資料を軸に、読者と場面に合わせて使い分けるのが基本です。

採用ピッチ資料を作るメリットは何か?

採用ピッチ資料の導入には、認知獲得・事前スクリーニング・面談の質向上・自社理解の標準化という4つのメリットがあります。実際にSmartHR社は、資料公開後に応募数が5.3倍に増えたと自社ブログで公表しています。

これらの効果は独立しているわけではありません。認知度が上がって母集団が増えても、事前スクリーニングが機能していなければ選考の負荷はむしろ増えます。逆にスクリーニングだけを狙って課題の開示を厚くしすぎると、応募自体が減ってしまうこともあります。4つのメリットは、どれか1つだけを狙うのではなく全体で設計することが重要です。

  • 採用ターゲットからの認知度向上:Web上に公開することで、これまで接点のなかった層にも情報が届きます。採用市場での認知が薄い企業ほど、公開による認知獲得の伸びしろは大きくなります。SNSで拡散されれば採用ブランディングの土台にもなります。
  • 候補者の事前スクリーニング:魅力だけでなく課題も伝えることで、候補者が自分に合うかどうかを事前に判断できます。応募段階でミスマッチが見えている候補者は、選考の早い段階で辞退する傾向があります。結果として、入社後のミスマッチを減らせます。
  • 面談時間の圧縮と相互理解の促進:事前送付により会社説明にかかる時間を大きく省略できます。浮いた時間を、深い質疑応答にあてられます。面接官が毎回同じ説明を繰り返す負担も減らせます。
  • 自社理解の標準化:情報が1資料に網羅されているため、面接官やエージェントなど関係者全員が同じ水準で会社を語れます。「人によって言うことが違う」という状態を防げます。エージェント経由の紹介では、この標準化が推薦の精度にも直結します。

採用ピッチ資料のデメリットと注意点

採用ピッチ資料にも弱点はあります。多くは「作ること」より「保ち続けること」に関わるものです。制作前に体制を決めておけば避けられるでしょう。代表的な注意点は次の3つです。

  • 制作と更新に工数がかかる:内製の場合、ワークショップの準備から公開まで1〜2ヶ月が目安です。公開後も半年から1年ごとの更新が続くため、更新の担当者を決めずに始めると放置されやすくなります。
  • 情報開示の線引きが必要になる:給与レンジや事業課題をどこまで載せるかは、経営陣との合意が欠かせません。全面公開に抵抗がある場合は、限定公開のURLやパスワードで公開範囲を絞る方法もあります。
  • 古い資料は逆効果になる:売上や従業員数などの数字には有効期限が付きものです。実態とずれた資料は、選考が進むほど候補者の不信感につながります。

採用ピッチ資料はいつ使うのか?活用シーンと運用方法

採用ピッチ資料は、作って終わりではなく複数の接点で使い回すことで効果が最大化します。代表的な活用シーンは、Web公開・スカウト・面接前・面接当日・リファラル・内定後の6つです。

1つの接点だけで使う想定で作ると、その接点でしか活きない資料になりがちです。制作段階から複数の接点を意識しておくと、後から使い回しやすい構成になります。

方法1:Web上に公開する

採用市場で一定の認知がある企業や、SNS上で発信力がある企業に特に効果的です。話題になればSNSで拡散され、自社の採用ブランディングにつながります。パスワード設定や限定公開URLで公開範囲をコントロールする企業も増えています。

認知がまだ薄い企業がいきなり全面公開すると、期待した拡散が起きないこともあります。まずはスカウトメールや面談での限定共有から始めて、反応を見ながら公開範囲を広げていくのも現実的な進め方です。

方法2:スカウトメールで送付する

画像優位性効果により、画像を入れることで候補者の72時間後の記憶率が大きく変わるとされています。テキストのみのスカウトメールに比べて、競合企業との差別化がしやすくなります。

資料全体ではなく、候補者の職種に関係するページだけを抜粋してリンクを添える運用も有効です。全18セクションをすべて読ませようとせず、まず開いてもらうことを優先してください。

方法3:面接前のメールに送付する

面談の2〜3日前に送るのがおすすめです。企業が望む候補者をスクリーニングしながら会社説明を事前に済ませておくことで、当日は深いコミュニケーションに時間を使えます。

送付時には「当日は資料の◯◯ページについて詳しくお話しします」と一言添えると、候補者が事前に目を通す確率が上がります。読んでいない前提で当日の説明をやり直すことになると、資料を送る意味が薄れてしまいます。

HeaRの自社採用でも、面接の3日前に資料を送っていました。課題や受け入れてほしいことまで載せていたため、多い時は応募者の約3割から、合わないと感じた理由を添えた辞退の連絡がありました。結果として、自社に合う候補者との面接に時間を使えるようになります。

方法4:面接の冒頭を質疑応答から始める

資料を事前に送っておくと、面接の冒頭10〜20分を会社説明に使う必要がなくなります。HeaRの面接では「事前にお送りした資料への質問から始めます」と伝え、事業や組織の深い部分の対話から入っていました。

面接官が毎回同じ説明を同じ熱量で繰り返す負担も減ります。浮いた時間で候補者の考えを深く聞けるため、選考の精度も上がるでしょう。

方法5:リファラル採用に使用する

知人経由で興味を持たれている候補者でも、事業やカルチャーまでは理解していないことがほとんどです。自社をより深く知ってもらうための広報とスクリーニングを兼ねて送付します。

紹介した社員自身が説明しきれない部分を資料が補ってくれるため、紹介する側の心理的なハードルも下がります。リファラル採用を強化したい企業ほど、この運用の優先度を上げる価値があります。

方法6:内定後のフォローとエージェントへの共有に使う

内定後は、働き方・評価・キャリアパスといった不安を取り除くページを抜粋して渡すと、家族への説明材料にもなるでしょう。人材紹介会社の担当者に共有しておけば、候補者への説明の水準が揃い、推薦の精度を高める助けになるはずです。

効果測定はどう行うか

6つの活用シーンに共通する効果測定の指標は、閲覧数/面談の質の変化/選考通過率や内定承諾率といった歩留まりの3つです。閲覧数だけでは資料の質は測れません。公開後は面談でのリアクションや選考の通過率の変化まで追い、次の更新に反映させてください。

数字に表れにくい改善点は、候補者に直接聞くのが近道です。HeaRでは面接の場で「資料の良かった点と改善点を1つずつ教えてください」と尋ね、集まった声をもとに約2ヶ月で4回の改訂を重ねました。


ここからは、160社を業界別に整理して紹介します。各章の冒頭には詳細コメント付きで紹介する企業を置き、そのあとに同じ業界の企業をリンク形式で並べています。2026年に資料を更新した企業には「(2026年更新)」を付記しました。作り方と構成テンプレートは、業界別の一覧のあとにまとめています。

SaaS・Fintech領域の採用ピッチ資料(67社)

国内の採用ピッチ資料の中でもっとも層が厚い領域です。BtoB SaaS・Fintechを中心に、詳細コメント付きの12社から紹介します。

11. HRBrain

人事評価・タレントマネジメントSaaSの草分けであるHRBrainは、従業員の目標設定から評価までの人事オペレーションをクラウド型ソフトウェアで効率化するサービスを展開しています。資料全体を通じて「チャレンジ」を応援する社風が伝わる設計になっており、複雑になりがちな人事DXの説明を「わかりやすさ」で貫いています。

12. うるる(2026年更新)

「人のチカラ」を軸に、ITやAIを活用した生産性向上サービスを展開するうるるは、クラウドソーシング「シュフティ」や入札情報速報サービス「NJSS」といったニッチな事業領域を、印象的なビジュアルとともに数字でわかりやすく提示する資料を公開しています。

13. Nstock

未上場株の取引所構想まで見せる株式報酬SaaSの異色資料を公開するNstockは、スタートアップの資本政策という難しいテーマを、候補者目線でかみ砕いて説明しています。

14. ログラス

経営管理クラウドの導入シェアNo.1を掲げるログラスは、事業成長のスピード感とプロダクト思想を両輪で伝える資料設計になっています。

15. カンム(2026年更新)

Visaカードアプリ「バンドルカード」を運営するカンムは、決済領域の複雑な事業構造をシンプルな言葉に言い換える工夫が光る資料を展開しています。「文化が現れている日常シーン」「◯◯の文化があることによって」といった題目で、会社の文化の意義や具体例を丁寧に伝えている点が特徴です。

16. スマートキャンプ(2026年更新)

SaaS比較メディア「BOXIL」や「BALES」を展開するスマートキャンプは、BtoBマーケティング支援というtoB色の強い事業を丁寧に解きほぐす資料を公開しています。撤退事業の紹介や組織のエンゲージメントスコアの公開など、組織の健康状態をオープンにする姿勢が特徴的です。

17. PLEX(2026年更新)

運転士特化の転職・求人サイト「ドライバージョブ」を運営するPLEXは、物流業界を取り巻く課題をわかりやすく説明し、「日本を動かす仕組みを作る」というメッセージで仲間を募る資料を展開しています。メンバー紹介のスライドには、働く楽しさや向いている人物像が具体的に書かれており、働く環境をイメージしやすい構成になっています。

18. PRONI(2026年更新)

B2B発注業者比較サイト「アイミツ」を企画・運営するPRONIは、中小企業向けSaaSを複数展開するグループとしての全体像を、採用目線でシンプルに整理しています。自社の課題をオープンにすることで、課題解決思考の強い候補者への訴求を狙う構成が特徴です。

19. atama plus

一人ひとり専用のカリキュラムを作るAI教材を展開するatama plusは、教育×AIという事業テーマの社会的意義と、プロダクトの技術的な難しさの両方を伝える資料を公開しています。

20. IVRy

AI電話SaaSを展開するIVRyは、デザインの完成度が高く、ビジュアル面での採用ピッチの作り込み方として参考にしたい1本です。

21. estie(2026年更新)

315兆円規模とされる商業用不動産市場を狙うデータ基盤を展開するestieは、不動産テックという専門領域を、数字とストーリーの両方で語る構成の資料を公開しています。

22. BASE

ネットショップ作成サービス「BASE」を展開するBASE社は、サービス紹介に加え、プロダクト作りの哲学と行動指針、社内制度や福利厚生までを1本の資料にまとめています。働く環境そのものをイメージしやすい構成になっている点が特徴です。

続けて、同領域の残り企業を紹介します。

そのほかのSaaS・Fintech企業一覧

No. 会社名(資料リンク)
23 Finatext Holdings(2026年更新)
24 UPSIDER, Inc.
25 株式会社kickflow(2026年更新)
26 弥生株式会社
27 ディグル株式会社(DIGGLE)
28 三井物産デジタル・アセットマネジメント
29 株式会社M&Aクラウド(2026年更新)
30 PKSHA Technology
31 FLUX Inc.
32 Sales Marker
33 株式会社SalesNow
34 株式会社RevComm(2026年更新)
35 株式会社Zeals
36 株式会社Sapeet
37 株式会社アルダグラム
38 株式会社shizai
39 株式会社ユビレジ(2026年更新)
40 Attelu(アッテル)(2026年更新)
41 OLTA株式会社
42 Leaner Technology社
43 オプティマインド社
44 Sansan社
45 ストックマーク社
46 エクサウィザーズ社
47 HENNGE社
48 モノグサ社
49 コインチェック社
50 CINC社(2026年更新)
51 アダコテック社
52 Findy社
53 Gaudiy社
54 プレイド社
55 テックタッチ社
56 KAIZEN PLATFORM社
57 ドクターズプライム社
58 ANDPAD社
59 チカク社
60 カラビナテクノロジー社
61 sizebook社
62 カウンターワークス社
63 メリービズ社
64 トヨクモ社
65 ブレインパッド社
66 foriio社
67 Mikatus社
68 Progate社
69 マーケティングロボティクス社
70 SQUEEZE社
71 HiCustomer社
72 LeapMind社
73 LINE Financial社
74 コミューン株式会社(2026年更新)
75 デジタリフト社
76 malna株式会社
77 iCARE社

HR・人材領域の採用ピッチ資料(20社)

人材業界は自社の採用力そのものが商材の説得力に直結するため、採用ピッチ資料の作り込みに力を入れている企業が多い領域です。

78. アトラエ(2026年更新)

「Green」や「wevox」を運営するアトラエは、白黒を基調としたシャープなデザインの資料を展開しています。事業紹介の最後には必ず社員インタビューを配置し、情報を補完する構成になっています。エンジニアの成長支援にも積極的で、ヒトへの投資を惜しまない姿勢が資料全体から伝わります。

79. LAPRAS(2025年更新)

AIを用いたヘッドハンティングサービスを運営するLAPRASは、事例紹介や今後のロードマップを詳細に記載した資料を公開しています。部活動やイベントの写真を多く盛り込むことで、社内の雰囲気をイメージしやすくしています。

80. リンクアンドモチベーション(開発職向け版)

組織と個人をつなぐプラットフォーム「モチベーションクラウド」を展開するリンクアンドモチベーションは、ソフトウェアエンジニア向けに特化した資料を公開しています。開発組織やチーム体制までオープンにしており、入社後のイメージをしやすくする工夫がされています。

そのほかのHR・人材企業一覧

No. 会社名(資料リンク)
81 カオナビ社
82 識学社
83 WEIN社
84 スローガン社
85 エムスリーキャリア社
86 ディップ社
87 ROXX社
88 オープンワーク株式会社
89 ビザスク社
90 ワンキャリア社
91 リクルートスタッフィング社
92 エン・ジャパン株式会社
93 レバレジーズ株式会社(2026年更新)
94 株式会社キャリアデザインセンター
95 株式会社ネオキャリア(2026年更新)
96 株式会社ABABA
97 株式会社リブセンス

製造・エンタープライズ領域の採用ピッチ資料(20社)

製造業や大手エンタープライズは、事業の専門性をどう候補者に翻訳するかが資料の勝負どころになる領域です。

98. MonotaRO

製造業向けECの最大手であるMonotaROは、エンジニア向けの会社紹介資料を公開しています。膨大なSKUを支える物流・データ基盤の技術的な難易度を、エンジニア視点で丁寧に解説しています。

そのほかの製造・エンタープライズ企業一覧

No. 会社名(資料リンク)
99 ウイングアーク1st社
100 アペルザ社
101 TBM社
102 テックハウス社
103 スタートアップテクノロジー社
104 ガイオ・テクノロジー株式会社(2026年更新)
105 株式会社フレクト(2026年更新)
106 日本電気株式会社(NEC)
107 株式会社Mico
108 Ecbo社
109 グローバ社
110 フェズ社
111 ユウマペイント社
112 マティックス社
113 レッドホースコーポレーション社
114 ナチュラルプランツ社
115 アシスト社
116 ベーシック社
117 ハウテレビジョン社

メディア・エンタメ領域の採用ピッチ資料(10社)

メディア・コンテンツ企業は、事業の社会的インパクトとクリエイティブな組織文化の両方を見せる資料が多いです。

118. ユーザベース

経済情報プラットフォーム「SPEEDA」「NewsPicks」を展開するユーザベースは、事業インフラとしての情報サービスという特殊なポジショニングを軸にした資料を公開しています。

そのほかのメディア・エンタメ企業一覧

No. 会社名(資料リンク)
119 PIVOT株式会社(2026年更新)
120 株式会社日本経済新聞社
121 クックパッド株式会社
122 株式会社サイバーエージェント
123 Schoo株式会社
124 CINRA社
125 Lang-8社
126 dely社
127 mikan社

コンサル・専門サービス領域の採用ピッチ資料(7社)

専門性の高いサービスを扱う業界だからこそ、「何をしている会社か」を平易な言葉に翻訳できているかが差になる領域です。

128. ベイジ

BtoBマーケティングとUI/UXデザインを強みとするコンサル型のWeb制作会社であるベイジは、100枚を超えるスライドで丁寧に会社紹介をする資料を公開しています。これまでの実績や、仕事に取り組むうえでの考え方・価値観を説明する内容になっています。

129. Goodpatch(2025年更新)

UI/UXデザインファームの代表格であるGoodpatchは、青と白で統一されたデザインの資料を公開しています。ミニマムながら情報がしっかり伝わるグラフなど、企業情報を知るためだけでなく、デザインの参考にもしたい要素が詰まっています。

そのほかのコンサル・専門サービス企業一覧

No. 会社名(資料リンク)
130 株式会社Re-grit Partners
131 イグニション・ポイント株式会社
132 フューチャー株式会社(2026年更新)
133 株式会社セブンデックス
134 ギリア社

地域・公共・その他領域の採用ピッチ資料(26社)

印刷EC、不動産、モビリティなど、SaaS・IT以外の事業ドメインでも採用ピッチ資料の活用は広がっています。

135. ラクスル(2026年更新)

印刷EC発で、広告・金融まで事業を広げた中小企業支援基盤のラクスルは、複数事業をまたぐ会社紹介を、ミッション「仕組みを変え、世界を変える。」で束ねる構成の資料を公開しています。

136. FABRIC TOKYO(2026年更新)

クラウド上に採寸データを登録し、オーダースーツやシャツをオンラインで購入できるサービスを展開するFABRIC TOKYOは、ファッショナブルなスライドが目を惹く資料を公開しています。「転チャレ」という社内転職制度がユニークで、制度を利用した社員の生の声が聞ける点も魅力です。

137. ユアマイスター

クリーニングや修理の職人とユーザーをつなぐBtoBtoCプラットフォーム「ユアマイスター」を展開するユアマイスター社は、「はたらくを楽しくすることば『WORK WORD』」というメンバーメッセージを資料冒頭に置き、働くうえで必要なマインドセットを明確にしています。Speaker Deck上のファイル名が「loveletterfromus」になっているなど、候補者体験への細かな気配りも特徴です。

そのほかの地域・公共企業一覧

No. 会社名(資料リンク)
138 オープンハウス
139 株式会社トラストバンク(2026年更新)
140 株式会社Luup
141 株式会社Pale Blue
142 株式会社エアークローゼット
143 エムスリー株式会社
144 コドモン株式会社(2026年更新)
145 ファンタラクティブ株式会社
146 株式会社ココナラ
147 株式会社GA technologies
148 VALU社
149 Chatwork社
150 ビビットガーデン社
151 GMOペパボ社
152 メドレー社
153 OKAN社
154 アジアクエスト社
155 APB社
156 ラクス社
157 ユーティル社
158 SARUCREW社
159 株式会社マクアケ(2026年更新)
160 Mercari Culture Doc(Web形式)

採用ピッチ資料に必要な項目とは?

必要な項目は、企業の魅力を表す4P(Philosophy=企業/People=人/Profession=事業/Privilege=待遇)で整理すると網羅漏れを防げます。18セクションの構成テンプレートも、この4Pを軸に設計しています。

採用ピッチ資料の役割は選考フェーズによって変わります。認知から応募までの段階では候補者の意欲を高めることが役割です。選考から入社までの段階では候補者の不安を取り除くことが役割になります。この2つの役割を4Pで網羅的にカバーするのが基本設計です。

4Pはそれぞれ、候補者が知りたい問いに対応しています。

  • Philosophy(企業):なぜこの会社が存在するのか。ミッションや創業ストーリーで答えます。
  • People(人):誰と働くことになるのか。組織図やメンバー紹介、カルチャーで答えます。
  • Profession(事業):何をしている会社で、日々どう働くのか。事業内容や仕事の解像度で答えます。
  • Privilege(待遇):働くことで何が得られるのか。給与や評価制度、福利厚生で答えます。

4Pの考え方そのものをより詳しく知りたい方は、採用の4Pの解説記事も参考にしてください。カルチャーや行動指針を特に厚く伝えたい場合は、採用ピッチ資料の一部を切り出してカルチャーデックとして独立させる企業も増えています。

なお、採用ピッチ資料の解説記事は他にも数多く存在します。しかしそのほとんどは事例集や作り方の解説にとどまり、登録不要ですぐに使える構成テンプレートそのものを公開している記事はほとんどありません。次の章では、この4Pを実際のページ構成にどう落とし込むかを、具体的な表で示します。

4Pのバランスが崩れると起こる失敗

4Pのどれかに偏った資料は、候補者に見透かされます。Philosophyだけを厚くした資料は「理念は立派だが実務がイメージできない」と受け取られがちです。逆にPrivilegeだけを厚くすると「待遇でしか語れない会社」という印象を与えてしまいます。

もっとも多い失敗は、意欲向上パートだけを作り込み、不安解消パートを後回しにするパターンです。魅力ばかりが並ぶ資料は、選考が進むほど「本当のところはどうなのか」という疑念を候補者に持たせます。課題の開示(次の章のテンプレート#15)を早い段階で入れておくと、この疑念を先回りして解消できます。

4Pごとの材料は、社内の異なる人が持っていることがほとんどです。Philosophyは経営陣、Peopleは人事や現場メンバーが主な情報源です。Professionは事業責任者、Privilegeは人事や労務が主な情報源になります。後の章で解説する作り方STEP1のプロジェクトメンバー選定は、この4Pの持ち主を過不足なく集める作業でもあります。

採用ピッチ資料の構成テンプレート【2026年版・全18セクション】

構成テンプレートは、表紙からクロージングまでの全18セクションと、職種特化のオプション項目で構成します。各セクションの役割・対応する4P・入れる要素・分量目安・定番10選での実例を1枚の表にまとめました。

このテンプレートは、160社分の採用ピッチ資料を分析して抽出した定番の構成パターンをベースにしています。「役割」列は意欲か不安のどちらに効くセクションかを、「4P」列はどの魅力軸に対応するかを示しています。自社の状況に合わせてセクションの取捨選択や順序の入れ替えをして使ってください。全セクションを埋める必要はありません。

# セクション 役割 4P 入れる要素 分量目安 定番10選での実例
1 表紙 — — 資料名(候補者に寄り添う名前も検討)・更新年月 1枚 ミラティブ社「採用候補者様への手紙」
2 この資料について 意欲 — 誰向けか・読み方・所要時間 1枚 freee社「10分でわかる」
3 会社概要 意欲 Philosophy 設立・規模・拠点・沿革の要点 1〜2枚 —
4 ミッション・ビジョン 意欲 Philosophy ミッション+その背景にある創業ストーリー 2〜3枚 —
5 事業紹介 意欲 Profession 何を・誰に・どう提供しているか。業界外にも伝わる言葉で 3〜5枚 カンム社「シンプルな言い換え」
6 市場と成長性 意欲 Profession 市場規模・成長率・なぜ今この事業か(事業ロジック) 2〜3枚 LayerX社「なぜこの展開が合理的か」
7 今後の事業展開・ロードマップ 意欲 Profession 中期の事業計画・プロダクトロードマップ・「これから作るもの」 1〜2枚 LAPRAS社「今後のロードマップを詳細記載」
8 数字で見る会社 意欲/不安 Profession 売上成長・導入社数など「実感できる単位」に翻訳した数字 1〜2枚 SmartHR社「事業規模×組織を数字で」
9 組織とメンバー 意欲 People 組織図・メンバー構成・経歴のバックグラウンド分布 2〜3枚 —
10 カルチャー・行動指針 意欲/不安 People バリュー+「文化が現れている日常シーン」の具体例 3〜5枚 カンム社「◯◯の文化があることによって」
11 働き方・福利厚生 不安 Privilege リモート実態・勤務制度・福利厚生(候補者が比較検討で必ず見る項目) 2〜3枚 —
12 仕事の解像度(1日/1週間/四半期の流れ) 不安 Profession 職種別の1日のスケジュール・1週間の会議体・四半期の動き方 1〜2枚 4P×2フェーズの「選考-入社×Profession」に対応
13 評価・給与 不安 Privilege 評価制度の仕組み・給与レンジ・昇給の実例 2〜3枚 サイボウズ社「実情の開示」
14 キャリアパス・成長支援 不安 Profession/People 入社後の成長イメージ・研修・キャリアの分岐例 2〜3枚 —
15 課題も正直に 不安 Philosophy いま困っていること・これから作る文化(誠実さの開示) 1〜2枚 スマートキャンプ社「撤退事業・スコア公開」
16 募集職種と求める人物像 意欲/不安 Profession 職種別の役割・チーム・向いている人/向いていない人 2〜4枚 PLEX社「向いている人物像を具体に」
17 選考フロー・FAQ 不安 — 選考ステップ・所要期間・カジュアル面談の入口 1〜2枚 —
18 クロージング 意欲 — 候補者へのメッセージ・次のアクション(応募/面談リンク) 1枚 —

職種特化オプション(エンジニア採用など)

セクション 役割 入れる要素 実例
技術環境・開発組織 意欲/不安 技術スタック・開発プロセス・チーム体制・技術ブログや登壇の実績 サイボウズ社「開発組織のリアルな実情」・リンクアンドモチベーション社「開発職特化版」

職種特化オプションは、採用競争が激しい職種から優先的に足すのが基本です。エンジニア採用の比重が大きい企業であれば、この技術環境・開発組織のページを厚くすることで、他の職種と比べて情報の非対称性が大きいエンジニア候補者の不安を狙って解消できます。

この表をそのまま台本にしてスライドを作ることもできますが、実務では「自社用メモ」や「担当」「ステータス」といった作業列を追加したスプレッドシートに写して使うと、チームでの分担や進捗管理がしやすくなります。あわせて、制作の抜け漏れを最終確認できるチェックリストも無料で配布しています。

【無料資料】そのまま使える!採用ピッチ資料 構成テンプレート実務版

構成テンプレートの使い方とチェックリスト

構成テンプレートは、上から順にすべて埋める設計図ではなく、自社に必要なセクションを選び取るための素材集として使います。表の左端の番号は推奨される掲載順であり、絶対の並び順ではありません。自社の採用コンセプトに合わせて、意欲パートと不安パートの中で順序を入れ替えても問題ありません。

テンプレートの使い方ルール

  • 事業の「なぜ」から始める:何をしている会社かの前に、なぜその事業をやっているのかを先に見せます。候補者が意思決定に使うのは事業の社会的意義や成長性であり、機能の一覧ではありません。
  • 1枚1メッセージ:ページ数より密度を優先します。1枚の中に「事業紹介」と「市場の成長性」を両方詰め込みたくなったら、それは2枚に分けるサインです。
  • まず主読者の1職種を決める:全職種向けに薄く書くと、誰にも刺さりません。全職種共通パートと職種別パートの二部構成にする方法や、職種ごとに資料そのものを分ける方法もあります。サイボウズ社やリンクアンドモチベーション社は、エンジニア特化版を別で用意しています。
  • 数字は実感できる単位に翻訳する:「売上◯億円」より「導入◯社・1社あたり◯人が利用」の方が候補者に伝わります。「従業員◯名」も、部署別の人数や平均年齢を添えると、入社後の景色が具体的に想像しやすくなります。
  • 意欲向上パートと不安解消パートの配分を意識する:認知から応募向け(#3〜10)と選考から入社向け(#11〜17)を意識して並べます。カジュアル面談用なら前半を厚く、内定者フォロー用なら後半を厚くするとよいでしょう。用途ごとに全ページ版と抜粋版の2パターンを用意しておくと、配布先に応じて出し分けられます。
  • 更新される前提で作る:数字には有効期限があります。作成の段階で、更新オーナーと更新頻度を決めておきましょう。

私たちHeaRが100社以上の採用ピッチ資料制作を支援してきた中で見えてきたのは、読後感の設計を後回しにした資料ほど、候補者に響かないという傾向です。項目を埋め終えた後に、通しで読んで「この会社で働きたい」と思えるかを必ず確認してください。

制作後のチェックリスト

  • 主読者の職種を決めたか(二部構成/別建ての判断込み)
  • Whyから始まっているか
  • 4Pの抜け漏れはないか
  • 数字は実感単位か
  • 課題の開示はあるか
  • 文化の「日常シーン」はあるか
  • 向いていない人も書いたか
  • 選考フローと所要期間はあるか
  • 次のアクションは1つに絞れているか
  • 更新オーナーは決まっているか

このチェックリストは、制作後の最終確認だけでなく、STEP1のプロジェクトメンバー選定時に配っておくのもおすすめです。ワークショップの前に全員が目を通しておくことで、当日の議論が「何を書くか」ではなく「どう書くか」に早く進みます。

採用ピッチ資料の作り方【5つのSTEP】

採用ピッチ資料は、プロジェクトメンバーの選定からアップデートまでの5つのSTEPで作ります。もっとも時間がかかるのはSTEP2のワークショップで、ここで自社の魅力と課題をどれだけ言語化できるかが資料全体の質を左右します。

STEP1〜STEP3が設計、STEP4が制作、STEP5が運用のフェーズにあたります。設計を丁寧に行うほど、制作フェーズで手戻りが少なくなります。逆に設計を飛ばしてスライド作成から始めると、途中で「何を伝えたいのか分からなくなる」状態に陥りやすいので注意してください。

STEP1:プロジェクトメンバーを選定する

まず6〜10名のメンバーを、職種や役職に偏りが出ないようバランスよく選びます。会社へのエンゲージメントが高いメンバーを選ぶことも重要です。人選が偏ると、資料の内容も一部の視点に寄ってしまいます。

人数が多すぎるとワークショップの進行が難しくなり、少なすぎると視点の偏りを補正できません。6〜10名という範囲は、この2つのバランスから導かれた目安です。

経営陣・現場マネージャー・若手メンバー・人事の4層から最低1名ずつ入れると、意欲パートと不安パートの両方に説得力のある材料が集まりやすくなります。特に若手メンバーは、入社を決めた理由や入社前後のギャップを覚えている貴重な語り手です。経営陣だけで作ると、候補者目線から遠いメッセージになりがちなので注意してください。

STEP2:ワークショップで自社の魅力と課題を抽出する

所要時間2〜3時間のワークショップで、付箋やホワイトボードを使いながら魅力と課題を言語化します。自社の魅力はブレストからグルーピング(7グループ程度)、そしてキャッチコピー化という流れで進めます。課題についても同様に、短期・中長期・受け入れてもらいたいことに分類して整理します。

ファシリテーターは、制作の主担当ではなく進行に専念できる人が務めると議論が進みやすくなります。経営陣が同席する場では発言が偏りやすいため、最初の10分は役職を伏せて付箋を書いてもらう、といった工夫も有効です。

グルーピングでは「なぜそう感じるのか」を1つずつ深掘りするのがコツです。「風通しがいい」という付箋が出たら、「誰が」「どんな場面で」そう感じたのかを掘り下げると、具体的なエピソードに変わります。抽象的な言葉のまま資料に載せると、候補者には他社との違いが伝わりません。

このワークショップの草稿づくりや構成案出しに、生成AIを補助として使う企業も増えています。ブレストで出た付箋の内容をAIに読み込ませて論点のグルーピング案を作らせたり、キャッチコピーの叩き台を複数出させたりする使い方です。ただし、自社らしい言葉に磨き上げる最終判断は、必ず人が行ってください。AIが作った文章をそのまま載せると、他社の資料と似た言い回しになりやすい点にも注意が必要です。

STEP3:採用コンセプトを設計する

「採用ピッチ資料を通して候補者にどんなイメージを持ってもらいたいか」を、キャッチコピーの形に仕上げます。HeaRの場合は「働くって、青春だ」というコンセプトを掲げています。

コンセプトは、STEP2で集めた魅力の中から最も自社らしいと感じるものを起点に作ります。複数の候補が出た場合は、社外の人にも見せて「この会社らしいと思うか」を確認すると、社内目線の思い込みを避けられます。

コンセプトを固める際は、前の章で示した4P×選考フェーズの構成テンプレートに立ち返ると、抜け漏れなく設計できます。認知から応募まではPhilosophyとProfessionで意欲を高め、選考から入社まではPeopleとPrivilegeで不安を取り除く、という配分を意識してください。

コンセプトは1行のキャッチコピーだけでなく、資料全体を通して繰り返し登場させることで機能します。表紙/事業紹介/クロージングの少なくとも3箇所で同じ言葉やトーンに触れられるようにすると、候補者の記憶に残りやすくなります。

STEP4:読後感を意識して制作する

デザインをスタイリッシュに見せることよりも、候補者の読後感を優先して制作します。STEP3で決めた採用コンセプトに沿った一貫したメッセージで、自社らしさを表現することがポイントです。

HeaRが100社以上の制作に伴走してきた実感でも、読後感の設計を後回しにした資料は、情報が正しくても候補者の心に残りにくい傾向があります。項目ごとの正しさより、通し読みしたときの印象を優先してください。

読後感を確認する方法として有効なのが、社内の第三者に通し読みしてもらい「読み終えた直後の一言」を聞くことです。制作に関わったメンバーは内容に慣れすぎていて、候補者目線での違和感に気づきにくくなっています。可能であれば、選考中の候補者や内定者にも読んでもらい、率直な感想をもらうとよいでしょう。

このとき「面白かった」だけで終わらせず、「どのページが一番印象に残ったか」まで聞くと、資料の中で機能しているページとそうでないページの差が見えてきます。印象に残らなかったページは、次の更新で内容を見直す候補になります。

STEP5:定期的にアップデートする

会社の状況は日々変化していきます。事業や組織の成長に合わせて定期的に更新し、面接でもらったフィードバックも資料に反映させてください。更新を前提にしない資料は、公開から半年で古い情報だらけになります。

更新の頻度と担当者はSTEP1の時点で決めておくと、公開後に放置される事態を防げます。詳しい頻度の目安は、後の章のよくある質問でも触れています。

よくある質問

採用ピッチ資料の事例の探し方や作り方について、よく寄せられる質問に回答します。

Q. 採用ピッチ資料と会社紹介資料・カルチャーデックの違いは何ですか?

A. 会社紹介資料が事業内容を中心に伝えるのに対し、採用ピッチ資料は候補者の意思決定を助けることを目的に、組織文化・働き方・待遇・課題までを含めて構成します。企業文化に焦点を絞った資料はカルチャーデックと呼ばれ、採用ピッチ資料の一部として内包されることが多いです。詳しくはカルチャーデックの解説記事で整理しています。

Q. 採用ピッチ資料は何枚くらいが適切ですか?

A. 目安は30〜60枚です。全職種共通パートと職種別パートを分ける場合は、共通パートを20〜30枚程度に絞り、職種別パートで枚数を調整すると読みやすくなります。1枚1メッセージを守ると、自然にこの枚数に収まります。枚数を絞りたい場合は、前の章の18セクションから自社に効くセクションだけを選んでください。枚数を増やすこと自体は目的ではないため、伝えたいメッセージが同じページは思い切って統合しても構いません。この記事の事例でも、ミラティブ社の全76枚のように厚みのある資料から20枚台の資料まで幅があります。

Q. 採用ピッチ資料はどこに公開すればいいですか?

A. 自社の採用サイト/スライド公開プラットフォーム/スカウトメールの添付/カジュアル面談前のメールの4つが主な公開先です。認知拡大を狙うならWeb公開、選考の質を上げるならメール添付を優先してください。複数の公開先を併用する場合は、前の章の運用方法で触れた「まずは限定共有から」という進め方を参考にしてください。スライド公開はSpeaker DeckやSlideShareが定番で、今回の160社の大半もいずれかを利用しています。

Q. 更新はどのくらいの頻度で行うべきですか?

A. 半年から1年に1回が目安です。売上や組織人数など変化の早い数字は、更新オーナーを決めたうえで四半期ごとに見直すと陳腐化を防げます。前の章の作り方STEP5でも触れたとおり、更新オーナーと頻度は公開前に決めておくのが理想です。全ページを毎回見直す必要はなく、数字を含むページだけを対象にした「軽い更新」と、構成そのものを見直す「大きな更新」を分けて考えると運用の負荷を抑えられます。

Q. 制作にはどのくらいの期間がかかりますか?

A. 内製の場合は、ワークショップの準備から公開まで1〜2ヶ月が目安です。外注する場合はキックオフから納品まで1.5〜2ヶ月程度が一般的で、初稿から2回程度の修正を挟むケースが多くなっています。内製・外注のいずれでも、ワークショップの日程調整が最初のボトルネックになりやすいため、関係者のスケジュールは早めに押さえておくとよいでしょう。

Q. 外部に制作を依頼する場合の費用はどれくらいですか?

A. 外部の制作会社に依頼する場合は数十万円からが相場です。ワークショップの設計やデザインの作り込みまで含めるかで金額は変わります。採用代行(RPO)とあわせて検討したい場合は、採用代行(RPO)の費用相場も参考にしてください。

Q. 内製と外注、どちらがいいですか?

A. 社内にヒアリングやライティングのノウハウがあれば内製、時間や構成力に不安があれば外注が向いています。内製は自社のリアルな言葉が残しやすい一方、担当者の他業務との兼務で後回しになりやすい弱点があります。外注は第三者視点で構成を整理してもらえる一方、ヒアリングの精度が担当者の力量に左右されます。外注費用を検討する際は、採用サイト全体の制作費用感もあわせて把握しておくと予算感がつかみやすくなります。関連して採用サイト制作の費用相場も参考にしてください。

Q. 採用ピッチ資料はどんなツールで作ればいいですか?

A. PowerPoint・Keynote・Googleスライド・Canva・Figmaのいずれかで作る企業がほとんどです。社内にデザイナーがいない場合は、テンプレートが豊富なCanvaや、共同編集がしやすいGoogleスライドから始めるのが手軽です。複数人で同時に編集する場面が多いワークショップの段階では、クラウド型のツールの方が進行がスムーズです。

Q. デザインはどこまで作り込むべきですか?

A. 作り込みすぎる必要はありません。読後感を優先し、コーポレートカラーで全体を統一する程度の作り込みで十分候補者に伝わります。デザインに時間をかけすぎて更新が滞る方が、資料の鮮度としては損になります。凝ったアニメーションや特殊なレイアウトは、更新のたびに作業コストがかさむ原因にもなりやすいため、シンプルな型を決めて運用する方が長続きします。

Q. 新卒採用と中途採用で資料は分けるべきですか?

A. ターゲットの関心が大きく異なる場合は分けるのがおすすめです。新卒向けは成長支援やキャリアパスの比重を、中途向けは仕事の解像度や評価・給与の比重を高めると、それぞれに刺さりやすくなります。1つの資料で両方をカバーしたい場合は、前の章の構成テンプレートの「募集職種と求める人物像」以降を新卒版・中途版で差し替える形にすると、共通パートを使い回せます。

まとめ

採用ピッチ資料は、企業の魅力と課題の両方をありのまま伝えることで、応募数の増加とミスマッチの防止を同時に実現するツールです。作り方はプロジェクトメンバーの選定からアップデートまでの5STEP、必要な項目は4Pで整理した18セクションの構成テンプレートで網羅できます。

一度作って終わりにせず、半年から1年に1回のアップデートを前提に運用することが、資料の効果を長く保つ最大のポイントです。更新オーナーと頻度を決めないまま公開すると、どれだけ良い資料も数ヶ月で情報が古くなってしまいます。

まずはこの記事の構成テンプレートをそのまま使って、自社に必要なセクションを洗い出すところから始めてみてください。全社共通で埋めるべき項目と、職種ごとに出し分ける項目を最初に切り分けておくと、その後の制作がスムーズに進みます。

構成の骨子ができたら、この記事の定番10選と業界別の一覧に戻り、同じ業界・近い規模の企業が各セクションをどう見せているかを見比べてみてください。

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監修者

大上 諒

代表取締役CEO

HeaR株式会社 代表取締役CEO。累計250社以上の採用支援に従事し、AI-RPOなど次世代の採用ソリューションを開発・提供。「青春の大人を増やす」をミッションに掲げる。

編集者

HeaR編集部

編集部

HeaR株式会社 編集部。累計250社以上の採用支援で得た知見を発信。

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