内定承諾率とは?平均・辞退が起きる構造・フェーズ別の上げ方を解説【2026年最新】

2026-09-21
2026-09-21

内定承諾率の計算式・平均から、辞退が起きる構造(併願比較・選社軸・不安)、フェーズ別の上げ方までを解説します。面接3日前の資料送付で約3割が事前辞退した自社実測など、採用支援の現場データをもとにHeaRが実務目線でまとめました。(2026年9月公開)

内定承諾率とは?——計算式と、辞退率・決定率との違い

内定承諾率とは、内定を出した人数のうち、承諾して入社の意思を示した人数の割合です。計算式は「内定承諾者数 ÷ 内定通知数 × 100」で、採用活動の最終盤の歩留まりを示します。似た指標と混同しやすいため、先に整理しておきましょう。

指標 計算式 何を映すか
内定承諾率 承諾者数 ÷ 内定通知数 オファー後の意思決定で選ばれたか
内定辞退率 辞退者数 ÷ 内定通知数 承諾率の裏返し(承諾後の辞退を含む場合あり)
採用決定率・入社率 入社者数 ÷ 応募者数 採用フロー全体の効率

注意したいのは、辞退には「内定通知への辞退」と「承諾した後の辞退」の2種類があることです。とくに新卒では承諾後の辞退が起こりやすく、どちらの数字を見ているのかを社内で揃えておかないと、対策の議論がかみ合いません。

内定承諾率の平均はどれくらいか

リクルート就職みらい研究所の就職プロセス調査(2026年卒)によると、大学生の就職内定辞退率は12月1日時点で6割を超える水準で推移しています。同じ調査では、内定を取得した学生の65.2%が2社以上の内定を持ち、平均取得数は2.52社でした。学生1人が複数の内定から1社を選ぶのが標準であり、単純化すれば新卒の内定は「出しても半分以上は選ばれない」のが全国平均の景色だと言えます。

中途採用は職種・年収帯・選考スピードで大きくばらつくため、全国平均より「自社の過去実績との比較」が実用的です。まず直近1年の承諾率を職種別に出し、それを基準値にして改善を測ることをおすすめします。

平均と比べて一喜一憂することに、実はあまり意味はありません。大切なのは、辞退がどの構造で起きているかを理解することです。

承諾率が下がる本当の構造——候補者は「比較」で決めている

辞退の理由を候補者アンケートで聞くと「他社とのご縁」「条件面」といった当たり障りのない回答が返ってきます。しかし実際の意思決定はもう少し構造的です。私たちが採用支援の現場で見る限り、承諾・辞退は次の3つの要素で決まっています。

  1. 併願比較:候補者は複数の内定を並べて比較するのが前提です。自社単体の魅力ではなく「併願先と比べたときの相対的な魅力」が問われます
  2. 選社軸との一致:候補者が会社を選ぶ軸は、ミッション共感・カルチャー・事業内容・業務内容・成長環境・人との相性・働き方・待遇の8つに大別できます。承諾されるのは、その候補者が最も重視する1〜2個の軸で勝っている会社であって、8つすべてで勝っている会社ではありません
  3. 残っている不安:入社後の実像が見えない、意思決定の材料が足りない、相談相手がいない——比較で勝っていても、不安が残っていると人は決められません

この構造から逆算すると、打ち手は「候補者の選社軸を選考中に特定する」「その軸で併願先との違いを語る」「不安を先回りで解消する」の3方向に整理できます。やみくもに施策を足す前に、自社の辞退がどの要素で起きているかを見立ててください。

新卒と中途で、比較の相手が違う

同じ「併願比較」でも、新卒と中途では比較の相手が異なります。対策を立てる前に、この違いを押さえておきましょう。

新卒の比較相手は、同時期に内定を出した他社です。前述のとおり平均2.5社の内定を持って比較するうえ、実務が1年前倒しで動く現在は、早く内定を出した会社から順に「保留の棚」に置かれていきます。加えて、保護者の意向や同期になる内定者の顔ぶれといった、本人以外の要素が意思決定に入り込むのも新卒の特徴です。新卒採用の年間構造は新卒採用代行の記事で詳しく解説しています。

中途の最大の比較相手は、他社ではなく現職です。転職には現状維持という強力な選択肢が常にあり、オファー後に現職から引き止め(カウンターオファー)が入ることも珍しくありません。年収などの条件だけで戦うと、現職の昇給提示で簡単にひっくり返されます。「なぜ現職では実現できないのか」を候補者と一緒に言語化しておくことが、中途のクロージングの核心です。また中途は意思決定が速いため、選考に時間がかかること自体が辞退の最大要因になります。

▶ 自社の辞退はどの構造で起きているか|無料で壁打ちする

内定承諾率を上げる打ち手——フェーズ別マップ

承諾率対策というと内定後のフォローが注目されがちですが、勝負の大半は内定を出す前に決まっています。フェーズ別に、効く打ち手を整理しました。

フェーズ 主な打ち手 解消する要素
選考前 ペルソナ・採用基準の明確化、採用ピッチ資料の事前送付 選社軸の不一致(ミスマッチの前倒し)
選考中 面接での選社軸の特定と口説き、選考スピードの短縮、現場社員との接点 併願比較・不安
オファー時 オファー面談(条件提示ではなく意思決定支援)、条件の柔軟な調整 併願比較・不安
内定後 内定者フォロー(役割付与型)、入社までの定期接点 承諾後の不安・心変わり

選考前——ターゲットのずれは後工程で取り返せない

承諾率の議論で見落とされがちなのが、選考前です。採用ターゲット(ペルソナ)が曖昧なまま母集団を集めると、選社軸の合わない候補者が選考に乗り、どれだけ面接やフォローを磨いても最後に辞退されます。まず採用基準とペルソナを言語化し、「誰の・どの選社軸に応える会社なのか」を採用チームで揃えてください。募集段階から仕事の実像・カルチャー・働き方を開示しておくことも、後述する「ミスマッチの前倒し」として承諾率に効いてきます。

選考中——面接がクロージングの本丸

承諾率がいちばん動くのは面接です。候補者の選社軸を序盤の質問で特定し、終盤でその軸に対応する自社の魅力とエピソードを語る。この「見極めと惹きつけの両立」ができる面接官の割合が、そのまま承諾率に反映されます。面接官によって面接後の辞退率が違う場合は、個人の問題ではなく訓練の問題です。詳しくは面接官研修の記事で解説しています。

選考スピードも軽視できません。選考に時間がかかるほど、その間に併願先が内定を出し、比較の土俵から外れていきます。日程調整の自動化や書類選考の効率化で「応募から内定までの日数」を縮めることは、それ自体が承諾率対策です。

オファー時——面談を「条件提示の場」から「意思決定支援の場」へ

オファー面談を条件を伝えるだけの場にしている会社は、もったいないことをしています。候補者はこの時点で複数の選択肢と不安を抱えており、必要なのは説得ではなく意思決定の支援です。併願状況を率直に聞き、候補者の選社軸で各社を比較したらどうなるかを一緒に整理する。自社が負けている軸は認めたうえで、勝っている軸を具体的に語る——誠実な比較支援は、それ自体が「この会社は信頼できる」という最後の一押しになります。

内定の伝え方にも設計の余地があります。ポイントは3つです。

  • タイミング:最終面接から通知までの日数は短いほど良く、可能なら最終面接の場か当日中の一報が理想です。「すぐに決めてくれた」という事実自体が、求められている実感になります
  • 誰が伝えるか:人事の事務連絡ではなく、最終面接官や配属先の責任者から「なぜあなたに来てほしいか」を添えて伝えると、条件表だけでは動かない気持ちが動きます
  • 期待の言語化:金額や等級と一緒に、「入社後に何を任せたいか」「選考のどこを評価したか」を具体的に伝えます。評価の理由は、候補者が家族や知人に相談するときの「この会社を選ぶ説明材料」にもなります

内定後——フォローは「マメな連絡」より「役割付与」

内定者フォローの定番は「人事がマメに連絡する」ですが、手厚いフォローがかえって「重い」と受け取られるケースがあります。参考になるのが、HR NOTEに掲載されたサツドラホールディングスの事例です。同社は1対1のマメな連絡をやめ、内定者を「内定者人事」として説明会やインターン運営に巻き込み、内定者同士が交流できる適度な距離感の接点に切り替えた結果、内定承諾後の辞退率が33%から0%になったと報告されています(内定者の母数は非公開のため、数字は幅を持って見る必要があります)。

この事例の本質は、内定者を「フォローされるお客様」から「採用活動の当事者」に変えたことです。役割があると自分ごとになり、同期との横のつながりが会社への接着剤になります。

実務でフォロー計画を作るときは、接点を「多くする」のではなく、目的別に配置してください。

接点 目的 頻度の目安
内定者面談(1on1) 不安・状況変化の把握 承諾直後+入社前の計2回程度
同期・社員との接点(懇親・座談会) 横のつながり・働くイメージ 数ヶ月に1回
情報の開示(社内報・事業の進捗共有) 会社の「今」を知り続けてもらう 月1回程度・軽い形式で
役割・参加機会(イベント手伝い・インターン) 自分ごと化 本人の状況に合わせ任意で

新卒の内定期間は長く、卒業研究や学業の妨げになる頻度は逆効果です。「マメすぎず、放置しない」の設計は、内定から入社までの接点を分解した採用CXの記事でも詳しく扱っています。

情報開示の逆説——「早い辞退」は承諾率を上げる

意外に思われるかもしれませんが、承諾率を上げるうえで効果的だったのは「隠さないこと」でした。HeaRの支援先で、面接の3日前に採用ピッチ資料(事業・カルチャー・働き方をまとめた資料)を応募者へ送る運用にしたところ、応募者の約3割から面接前に辞退の連絡が来るようになりました。

一見すると失敗に見えますが、逆です。この3割は、面接をしても・内定を出しても・入社しても、どこかで辞退か早期離職に至った可能性が高い層です。合わない候補者が早く抜けることで、面接の工数は残る7割に集中でき、内定を出す段階では選社軸の合った候補者だけが残ります。ミスマッチの顕在化は早いほど安く、遅いほど高くつく——内定承諾率は、選考の最終盤だけで上げるものではなく、入口の情報開示から積み上がる指標です。採用ピッチ資料の作り方と事例は採用ピッチ資料の事例160選にまとめています。

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承諾率の改善は「データの整備」から始める

打ち手を選ぶ前に、次の3つのデータを整備してください。承諾率対策が精神論で終わる会社は、例外なくここが抜けています。

  1. 面接官別の3指標:各面接の通過率・面接後の辞退率・内定承諾率を、面接官別に分解するのが第一歩です。面接後の辞退率が高い面接官は惹きつけに、承諾率が低い場合はクロージングに課題があると切り分けられます
  2. 辞退理由の記録:「他社とのご縁」で片づけず、どの併願先に・どの軸で負けたかを記録します。辞退連絡の場は最も率直な情報が取れる機会です
  3. フェーズ別の歩留まり:応募→面接→内定→承諾の各段階の通過率と所要日数を出し、どこで候補者が抜けているかを特定します

この整備ができると、「承諾率が低い」という漠然とした課題が「◯◯さんの最終面接後の辞退率が高い」「エンジニア職はA社に働き方の軸で負けている」という打ち手に直結する解像度になります。

ひとつだけ注意点を添えると、承諾率を単独のKPIにしないでください。承諾率だけを追うと、「承諾しそうな候補者にしか内定を出さない」という歪みが生まれ、見かけの承諾率は上がる一方で採用数が減ります。承諾率は採用数・内定数とセットの参照指標とし、目標値は全国平均ではなく自社の前年同時期・職種別の実績に対して置くのが健全です。

内定承諾の法的な位置づけ——「追いかけすぎ」は逆効果になる

前提として、内定承諾書や誓約書に候補者を拘束する法的な効力はありません。承諾後でも候補者には辞退する自由があり、企業側が損害賠償などで争っても実益はほぼないのが実情です。この前提を採用チームで共有しておかないと、承諾を「確定」と誤解した強引な引き止めが起きます。

とくに注意したいのが、他社の選考辞退を迫ったり、執拗に意思確認を繰り返したりする、いわゆるオワハラ(就活終われハラスメント)です。短期的には承諾を取れたように見えても、「決めさせられた」という感覚は承諾後の辞退やSNSでの悪評として返ってきます。承諾は候補者の自由意思による選択であり、企業にできるのは選ばれる材料を揃えて意思決定を支援することまで——この設計思想のほうが、結果として歩留まりは高くなります。

内定承諾率のよくある質問(FAQ)

Q. 内定承諾率の平均はどれくらいですか?

A. 新卒は内定辞退率が6割を超える水準で推移しており、承諾率でみると半分を下回るのが平均的な景色です(リクルート就職みらい研究所・就職プロセス調査)。中途は職種・年収帯でばらつくため、自社の過去実績を基準値にするのが実用的です。

Q. 内定承諾率と内定辞退率の違いは何ですか?

A. 承諾率は「内定通知のうち承諾された割合」、辞退率はその裏返しです。ただし辞退には承諾後の辞退も含まれるため、どの時点の辞退を数えるかを社内で定義しておく必要があります。

Q. 辞退の理由は候補者に聞いてもいいのでしょうか?

A. 聞いて問題ありません。むしろ辞退連絡の場は率直な情報が得られる貴重な機会です。「今後の改善のために」と前置きし、どの会社に・どの点で決めたかを伺うと、選社軸ベースの負け筋が蓄積できます。

Q. オヤカク(保護者への確認)は必要ですか?

A. 新卒で親の反対による辞退が実際に出ているなら有効です。内定者本人の同意を取ったうえで、保護者向けの会社案内や説明の場を用意する形が一般的です。ただし本人の意思決定を支える施策が先で、オヤカクは補助と位置づけてください。

Q. 承諾後の辞退は防げますか?

A. ゼロにはできませんが、減らせます。承諾後の辞退は「入社までの間に不安が育つこと」で起きるため、放置とマメすぎる連絡の中間——役割付与や同期との接点づくりで、会社との関係を「自分ごと」にしておくのが有効です。

Q. 内定承諾の期限は設けるべきですか?

A. 設けて構いませんが、短すぎる期限で迫ると「決めさせられた」感が残り、承諾後の辞退リスクに転化します。併願状況を聞いたうえで、他社の結果が出るタイミングを踏まえた現実的な期限を相談して決めるほうが、結果的に歩留まりは良くなります。

Q. 知名度のない中小企業でも承諾率は上げられますか?

A. 上げられます。承諾は知名度の総合点ではなく、候補者の上位1〜2の選社軸で決まるためです。軸を特定して口説く設計は、むしろ大手より意思決定の速い中小企業のほうが徹底しやすい領域です。

Q. 何から手をつけるべきですか?

A. 面接官別の3指標(通過率・面接後辞退率・承諾率)を出すことからです。どのフェーズ・誰の面接で候補者が抜けているかが分かれば、打ち手は自然に絞られます。

まとめ:承諾率は「最後の説得」ではなく「全フェーズの積み上げ」

内定承諾率は、オファー後のフォローだけで上げる指標ではありません。入口の情報開示でミスマッチを前倒しし、面接で選社軸を特定して口説き、オファー面談で意思決定を支援し、内定後は役割付与で自分ごと化する——フェーズ別の積み上げが結果として承諾率に表れます。まずは面接官別のデータを整備し、自社の辞退がどの構造で起きているかを特定するところから始めてください。

HeaRでは、採用CXの設計から面接官トレーニング、選考データの整備までを採用コンサルティングとして支援しています。自社の辞退の構造がどこにあるか、無料の壁打ちからご相談いただけます。

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監修者

大上 諒

代表取締役CEO

HeaR株式会社 代表取締役CEO。累計250社以上の採用支援に従事し、AI-RPOなど次世代の採用ソリューションを開発・提供。「青春の大人を増やす」をミッションに掲げる。

編集者

HeaR編集部

編集部

HeaR株式会社 編集部。累計250社以上の採用支援で得た知見を発信。

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