SES企業の採用が難しい理由と採用方法|稼働率から考える経験者・未経験の2本立て【2026年10月更新】

2026-10-16
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2026-10-16

SES企業の採用が難しいのは、ITエンジニアの求人倍率が全体の約4倍あり、稼働率の都合で即戦力を求めやすいためです。経験者と未経験の配分の決め方・6つの手法の比較・求人票と選考の直し方・採用代行の使いどころを解説します。(2026年10月更新)

SES企業の採用はなぜ難しいのか?

SES企業の採用が難しいのは、ITエンジニアの転職求人倍率が全体の約4倍と高く、他社と同じ少数の転職者を取り合う構図になっているためです。dodaの2026年8月のレポートでは、エンジニア(IT・通信)が12.04倍で全体が2.86倍でした。

doda転職求人倍率レポートの「エンジニア(IT・通信)」は、採用予定の人数を転職希望者の数で割った倍率です。直近12か月で最も高いのは2025年12月の13.36倍でした。最も低い2026年4月でも10.36倍です。つまり1年を通して、転職希望者1人に対して10件以上の募集がある状態が続いています。

求人倍率は全体の約4倍

12.04倍を全体の2.86倍と比べると約4.2倍になります。エンジニアは他の職種よりはるかに選ぶ側に回りやすく、SES企業は事業会社や大手のIT企業と同じ候補者を取り合います。

時期 エンジニア(IT・通信)の求人倍率
2025年9月 11.03倍
2025年12月 13.36倍(直近12か月で最大)
2026年4月 10.36倍(直近12か月で最小)
2026年8月 12.04倍(全体は2.86倍)

人が動きにくい産業で他社から採用する

厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、情報通信業の入職率は11.2%で離職率は10.2%でした。産業全体は入職率が14.8%で離職率が14.2%なので、情報通信業は人の出入りが相対的に小さい産業です。

この数字にはSES以外の情報通信の事業も含まれます。SES企業だけの離職率ではない点に注意してください。それでも採用したい企業は多く動く人は多くない、という採用市場の姿は読み取れます。

候補者から見たSES企業の見え方

求人倍率が高いと、候補者は複数の会社を並べて比べます。比べる相手には自社の製品を持つ事業会社も入ります。事業会社は何を作る会社かが分かりやすい一方で、SES企業は入社後にどの案件に入るかが見えにくいと受け取られがちです。

この見えにくさは会社の実態というより伝え方の問題であることが多いものです。案件の例や先輩の経歴を具体的に見せれば、見えにくさは減らせます。具体的な書き方は後の章で扱います。

難しさは市場と事業の構造の二重になっている

求人倍率の高さは事業会社も同じ条件です。SES企業の採用がそれ以上に難しくなるのは、稼働率と案件という事業の構造が採用の選び方を狭めているためです。次の章でこの構造を順に見ていきます。

稼働率は採用にどう影響するのか?

SES企業の売上はエンジニアが案件に入って稼働することで生まれます。採用したエンジニアが案件に入れない期間は人件費だけが発生します。そのためすぐ稼働できる経験者を求める力が働き、応募の母集団が狭くなります。

HeaRはSIer・SES・受託開発・技術者派遣の企業を18社支援してきました。商談で繰り返し見えるのは、次の3つの連鎖です。

即戦力志向が母集団を狭くする

案件に入るまでの待機期間を減らしたいので、募集要件に実務経験3年以上や特定の言語での開発経験を置きます。要件を置くほど応募できる人は少なくなります。しかも経験者は求人倍率の高い市場にいるため、年収や待遇の見せ方で事業会社に負けやすくなります。

採用人数が案件の都合で動く

案件が決まると急いで採用し、案件が落ち着くと採用を止める進め方になりがちです。すると媒体の掲載やスカウトの運用が止まったり再開したりします。候補者が求人やスカウトで自社の名前を見る回数が増えないまま、競合のSES企業の名前だけを見続ける状態になります。

案件と人のミスマッチが入社後に出る

求人票には案件によるとだけ書き、入社してから配属が決まる会社は少なくありません。候補者は入社後にどの案件に入るのか分からないまま応募を判断します。希望と違う案件に配属されると、早期の離職につながります。

契約の形と採用での伝え方

案件の契約は準委任や請負の形が一般的です。派遣との区別は厚生労働省の告示「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」で示されています。実態として誰が業務の指示と労働時間を管理しているかが見られます。

採用の段階で意識したいのは、入社後の働き方を候補者に正確に伝えることです。常駐先での指示の受け方や勤務の形を曖昧にしたまま募集すると、入社後の認識違いが大きくなります。

案件の動きと採用の失敗パターン

3つの連鎖は案件の動きに合わせて採用がぶれるときに表面化します。次の表で自社に近い状況を確認してください。

状況 採用で起きること 打ち手
案件が急に決まった 急いで経験者を探し条件を妥協する。選考が雑になりミスマッチが増える 3か月先の受注見込みに合わせて、候補者を先に集めておく
案件が減った 採用を止める。再開したときに会社の認知がゼロに戻っている 人数を絞ってもスカウトと発信を続ける
待機が長引いた 未経験の採用が怖くなり、経験者だけに偏る 入りやすい案件を増やす。配属前の研修で配属を早める

どの状況でも共通するのは、採用を案件の動きに後追いで合わせていることです。先に動く仕組みを持てるかどうかが、採用の安定を左右します。

経験者と未経験のどちらを採用すべきか?

経験者と未経験のどちらにするかは、自社の育成に使える余力と案件の幅で決めます。育成の余力が小さく案件が高度なら経験者を中心にします。案件の幅が広く育成の仕組みがあるなら、未経験を一定数入れると母集団を広げながら採用単価を抑えやすくなります。

SES企業の採用で多い失敗は、全員を経験者で埋めようとして母集団を狭めることです。次の表で自社がどちらに向いているかを確認してください。

観点 経験者を中心にする 未経験を一定数入れる
向いている会社 ・高度な案件が多い
・育成を担える人が少ない
・運用や監視・テストなど入りやすい案件がある
・配属前の研修を用意できる
母集団 ・求人倍率の高い市場で他社と取り合う ・第二新卒・異業種からの転職者・スクールで学ぶ社会人まで広がる
入社後のコスト ・立ち上がりが早く待機期間が短い ・研修と配属までの待機期間が発生する
注意すること ・年収と案件の見せ方で事業会社と比べられる ・入社後のフォローが薄いと早期に離職する

HeaRの支援先でも、経験者だけ・未経験だけの会社は少数です。多くの会社は案件に入りやすい未経験枠と高度な案件向けの経験者枠を分けて人数の比率を決めています。比率は案件の受注状況に応じて見直します。

配分を決める3つの質問

配分に迷ったら、次の3つに答えてみてください。

  • 今ある案件のうち未経験が入れるものは何割か:入れる案件が少ないなら未経験を増やしても待機が長引く
  • 配属前の研修を誰が担当するか:社内の誰かの兼務なのか外部の研修を使うのかを決める
  • 3年後にどんなエンジニア構成にしたいか:経験者だけの組織は育成のノウハウが貯まりにくい

採用は単年で考えず3〜5年の構成で考えると、経験者と未経験の配分が決めやすくなります。

採用人数は受注見込みと連動させる

SES企業の採用人数は、案件の受注見込みと切り離して決めることができません。ただし受注が決まってから動くと、候補者との接点が間に合いません。目安は3か月先までの受注見込みを毎月更新し、その人数に合わせて候補者との接点を先に作っておくことです。

たとえば次の月の面談候補を常に一定数確保しておけば、案件が決まったときに選考を急ぐ必要がなくなります。反対に案件が減った月は、採用を止めずに接点づくりの活動に切り替えます。採用担当者が営業や現場とこの見込みを共有する場を、月に1回持つとぶれが小さくなります。

経験者はどう採用するのか?

SES企業が経験者を採用するには、案件の中身と成長の見通しと年収への還元を、求人票とスカウトで具体的に伝えます。応募を待つ求人広告だけでなく、候補者に直接届くスカウトを組み合わせるのが基本です。

経験者の採用は次の5つの順で進めます。

  • 採用像を絞る:経験年数ではなく、どの案件に入れる人かで決める。ペルソナの作り方も参考になる
  • 案件の情報を具体的にする:業界・使う技術・チームの規模・上流工程に関われるかを書く
  • 還元の仕組みを見せる:スキルが上がると単価や年収がどう変わるかを書く
  • スカウトで直接届ける:条件の羅列ではなく、なぜその人なのかを1文で書く。詳しくはエンジニアのスカウトで整理している
  • 選考を速くする:他社と並行している候補者が多いので結果の連絡を早くする

採用像は経験年数でなく入れる案件で決める

募集要件を実務経験3年以上のように年数で決めると、案件が求める力と合わない人が混ざります。反対に必要な力を逃す場合もあります。案件ごとに必要な力を書き出し、それを満たす人の経歴を採用像にすると、スカウトの対象も決まります。

年収は金額だけでなく上がり方を見せる

経験者は年収を他社と比べます。SES企業が事業会社と同じ金額で並ぶのが難しいときは、金額そのものより上がり方を見せます。スキルや担当する案件の変化で年収がどう変わるのかを、実在の社員の例で示すのが効果的です。

昇給の基準が曖昧なままだと、候補者は上がらない前提で比べます。評価の項目と見直しの時期を求人票に書き、面接でも同じ内容を説明してください。待遇の説明が求人票と面接で食い違うと、内定後の辞退につながります。

エンジニア採用全体の難しさと対策はエンジニア採用が難しい理由で、媒体の選び方はエンジニア採用の媒体比較で扱っています。

未経験はどう採用して育てるのか?

未経験の採用は案件に入りやすい職種を決めて配属前の研修を用意し、入社後のフォローを設計することで成り立ちます。経験者の取り合いから離れて母集団を広げられる一方で、研修と待機の期間が費用として発生します。

未経験の母集団を探す場所

未経験の候補者は第二新卒・異業種からのキャリアチェンジを考えている人・プログラミングスクールで学んでいる社会人に分かれます。経験者向けの媒体だけでなく未経験歓迎の求人が載る媒体を使います。スクールとの連携も接点になります。

配属前に決めておくこと

未経験の採用で先に決めるのは入社後の道筋です。次の3点が決まっていないと候補者は不安になり、入社後の早期離職にもつながります。

  • 最初に入る案件の種類:運用・監視・テスト・保守のどれから始めるか
  • 配属までの期間と研修の内容:入社後の何日間で何ができるようになるか
  • 相談できる人:配属後も相談できる先輩や担当者がいるか

求人票に研修制度ありと一行書くだけでは伝わりません。入社後何か月でこの案件に入る・3年目の先輩はこの案件を担当している、と具体的に書くと不安が減ります。

入社後のフォローが定着を決める

未経験者が早期に辞めるときは、技術についていけない・誰に相談すればよいか分からない・思っていた仕事と違う、という不安が積み重なっています。採用して放置するのでなく、採用して育てる設計が定着率を左右します。

具体的には入社直後の面談の頻度を決め、配属後の最初の3か月は案件の担当者とは別に相談できる人を置きます。これは採用の訴求にもなります。面接でこの仕組みを説明できる会社は、入社後の不安を小さくできます。

事例:大手技術者派遣がターゲットを変えた新卒採用

HeaRが支援した大手技術者派遣(技術者が数千名規模)の新卒採用の事例です。この会社は母集団が大きい一方で、選考の途中での辞退と内定辞退が課題でした。やりたいことがはっきりしている優秀層は自社の製品を持つ事業会社を第一に志望しやすく、併願されると選考の後半で負ける構造があったためです。

そこでHeaRはコピーを磨く前にターゲットを再設計しました。軸はやりたいことが明確な優秀層から、やりたいことがまだ見つかっていない方と、事業会社を志望しても内定を得づらい方へずらしています。そのうえで、やりたいことがなくても成長できるという安心感を伝えるコンセプトを決めました。会社説明会の資料と採用パンフレットまで一貫して制作しています。結果として、選考の歩留まりと内定承諾率が改善しました。改善の幅は先方の都合で公表していません。

この事例は新卒採用ですが、中途の未経験採用にも考え方を転用できます。事業会社と同じ経験豊富で希望が明確な人を取り合うのをやめ、育つ環境を求める人へ軸を移すということです。ただし安心感の訴求は、研修や育成の制度が実際にあって初めて成り立ちます。コピーで終わらせず制度の中身を求人票や資料で見せる必要があります。

SESの採用手法にはどんなものがあるか?6つの比較

SES企業が使える主な採用手法は、求人広告・ダイレクトリクルーティング・人材紹介・リファラル採用・技術発信・採用代行(RPO)の6つです。採用人数が毎月変わるSES企業では、固定の運用が必要な手法と必要なときに足せる手法を分けて組み合わせます。

手法 向いている場面 注意すること 社内の工数
求人広告 ・未経験歓迎の枠で母集団を広げたい
・複数名をまとめて採用したい
・掲載期間中の費用が先に出る
・原稿が似てしまい埋もれやすい
原稿づくりと応募対応が必要
ダイレクトリクルーティング ・経験者を狙って直接届けたい
・求める案件が決まっている
・文面の質で返信率が大きく変わる
・運用を止めると成果が止まる
候補者探しと送信と返信対応で工数が大きい
人材紹介 ・急ぎで経験者が必要
・社内に運用の余力がない
・採用一人あたりの費用が高くなる
・要件を共有しないと紹介が合わない
要件の共有と面接調整が中心
リファラル採用 ・社員の人脈が厚い
・定着しやすい人を採用したい
・紹介する社員への配慮が要る
・人数を計画しにくい
制度づくりと運営の調整が必要
技術発信・イベント ・長期で会社の認知を作りたい
・技術に強みがある
・成果が出るまでに時間がかかる
・現場の協力が要る
現場エンジニアの時間が必要
採用代行(RPO) ・採用人数が毎月変わる
・スカウトを送る人手が足りない
・要件が決まっていないと成果が出にくい
・判断が必要な場面は社内で担う
要件の共有と最終判断に絞れる

どの手法も単体では限界があります。たとえば人材紹介だけに頼ると採用一人あたりの費用が膨らみやすくなります。ダイレクトリクルーティングで候補者を探し、採用が決まりにくい時期だけ紹介会社を足せば、固定の費用を抑えながら採用人数の変動に対応できます。費用の全体像は採用コストで整理しています。

経験者枠と未経験枠で手法を分ける

経験者枠はダイレクトリクルーティングと人材紹介を中心にします。未経験枠は求人広告とスクールや大学との接点を中心にします。リファラル採用と技術発信は、どちらの枠にも効く長期の土台として続けます。

手法ごとに追う数字

手法を組み合わせたら、手法ごとに数字を追います。追う数字はスカウトの返信率・応募から面談に進んだ割合・面談から選考に進んだ割合・内定の承諾率・入社から配属までの日数の5つです。

数字を見ると、直すべき場所が分かります。返信率が低ければスカウトの書き出しを、面談から選考に進む割合が低ければ面談での説明を、承諾率が低ければ内定後の連絡を見直します。入社から配属までの日数が長ければ、研修と案件の確保の見直しにつながります。

求人票とスカウトには何を書くべきか?

SES企業の求人票とスカウトで最も大切なのは、入社後に入る案件と成長の見通しを具体的に書くことです。案件によるとだけ書くと候補者は入社後の姿が見えず、応募を見送ります。

候補者が知りたいことは、次の5つに整理できます。

候補者が知りたいこと 書き方の例
最初に入る案件 入社後は金融系システムの運用と保守から始まります、のように業界と仕事の中身を書く
使う技術 Javaを使う案件が中心です、のように案件の実例とあわせて書く
案件を選べるか 希望をヒアリングして面談で合意してから配属します、のように配属の決め方を書く
年収や単価への還元 スキルと稼働に応じて年収が上がる仕組みがあります、のように昇給の基準を書く
相談できる人 配属後も月1回担当者と面談します、のようにフォローの頻度を書く

求人票の全体は次の順で組み立てると読みやすくなります。冒頭に入社後の1年間の流れを置き、次に案件の実例を2〜3件並べます。そのあとに研修と相談の体制、評価と昇給の基準、最後に選考の流れと所要日数を書きます。選考の流れを先に見せるのは、他社と並行する候補者が日程を組みやすくなるからです。

書けない項目があるときは無理に埋めず、配属先は面談で相談して決めます、と決め方だけでも書きます。書けないこと自体が自社の仕組みを見直す材料になります。

スカウトの書き出し

スカウトでは求人票と同じ内容を長く貼らず、候補者の経歴のどこに注目したかを最初の1文に置きます。たとえば次のような書き方です。

Javaでの開発経験を拝見し、金融系の案件でご活躍いただけると考えました。

なぜその人なのかが分かる書き出しは、条件だけを並べた文面より返信されやすくなります。2文目には入社後に任せたい案件の具体例を置きます。

書かないほうがよいこと

未経験歓迎・アットホームな職場・成長できる環境、のように、どの会社でも書ける言葉だけを並べるのは避けます。候補者は他社の求人と見比べているので、自社の案件や先輩の経歴といった固有の事実がないと印象に残りません。

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選考と配属前の面談では何を確かめるか?

選考では候補者が希望する働き方と自社の案件を照らし合わせ、入社前に認識を揃えることが大切です。選考の速さと現場エンジニアの同席が辞退を防ぎます。配属前の面談はミスマッチによる早期離職を防ぎます。

選考の速さが辞退を防ぐ

エンジニアの求人倍率は高いので、候補者は複数の会社を並行して受けています。面接の回数が多く連絡が遅い会社から辞退が出るのは自然な流れです。カジュアル面談から最終面接までを1〜2週間で終えられるよう、日程の候補を先に出し結果は当日か翌営業日に連絡します。カジュアル面談の進め方と選考のリードタイムも確認してください。

面接で確かめる3点

面接では次の3点を候補者と確認します。

  • 希望する案件と働き方:やりたい仕事と避けたい仕事、勤務地や出社の希望
  • これまでの経験と得意なこと:案件で実際にしていた役割と、そこで工夫したこと
  • 入社後に伸ばしたいこと:3年後にどうなっていたいか

面接官が現場の実態を具体的に話せるかも重要です。人事担当者だけでなく、実際に案件で働くエンジニアが同席すると候補者の信頼が上がります。内定後の対応は内定承諾率で整理しています。

配属前の面談でミスマッチを防ぐ

案件と人のミスマッチを防ぐ最も確実な方法は、配属を決める前に候補者と案件の担当者が話すことです。候補者の希望と案件の内容を事前にすり合わせ、合わない場合は別の案件を探します。

採用の段階でも案件のどこまでを約束するかを決めておきます。案件が確定していない時期に希望の案件に必ず入れると伝えると、入社後の認識違いにつながります。確約できないことは希望を聞いたうえで決めると正直に伝えるほうが、入社後の信頼を損ないません。

早期離職につながる3つのずれ

入社後すぐに辞める人の多くは、採用の段階で生まれたずれに悩んでいます。ずれは次の3つに分けられます。

ずれ 起きる場面 採用段階の打ち手
案件のずれ 希望と違う案件に配属される 配属前に案件の担当者と候補者が話す。確約できないことは確約しない
成長のずれ 思ったほどスキルが上がらない 3年後のキャリアの例を、実在の先輩で見せる
待遇のずれ 年収や単価の還元が想像と違う 昇給の基準を求人票と面接で同じ内容で説明する

どれも入社後の施策だけでは直しにくく、募集や面接で伝えた内容と実態を揃えることが最も効果的です。

辞退を防ぐ内定後の連絡

内定を出してから入社までの間は、候補者が他社と比べ直す時期です。内定の連絡のあとに、配属を予定している案件の担当者との面談や、先輩エンジニアとの座談会を用意すると不安が減ります。連絡が途切れる期間を作らないことが基本です。

AIを使うとSES採用のどこが速くなるか?

AIを使うと、候補者探しとスカウト文面の下書きと日程調整と応募書類の一次確認が速くなります。ただし最終的な判断と候補者と会う場面は人が担います。採用人数が毎月変わるSES企業ほど、運用の手間を減らす効果が出やすい領域です。

業務 AIで速くなること 人が担うこと
候補者探し 保有技術や経歴から案件に近い候補者を横断して探す どの候補者に声をかけるかの最終判断
スカウト文面 経歴を読み込んで1通ごとの下書きを作る 内容の確認と送信の判断
日程調整 候補日の提示と変更への返信を自動で進める 面談そのもの
応募書類 経歴を案件の要件と照らして一次確認する 通過と見送りの判断

特に効果が大きいのは、案件ごとに変わる要件と候補者の経歴を照らし合わせる作業です。案件が決まるたびに人が経歴を読み直す手間を、AIが一次確認として肩代わりできます。AIの採用活用の全体像はAI採用で整理しています。

AIに任せないこと

AIが出した候補者の順位や下書きは、そのまま使いません。経歴に書かれていない人柄や希望は、AIには分からないためです。候補者への返信や面談での説明など、会社の考えを伝える場面は人が担います。

また、AIに入れる情報の扱いも先に決めておきます。候補者の個人情報をどのツールに入れてよいかを社内で決め、使わないツールに入れないようにします。

スカウトの運用や一次確認をAIで回したい場合はAI-RPOが対応します。

採用代行(RPO)はどんなときに使うべきか?

採用代行は採用人数が案件の都合で毎月変わる・スカウトを送る人手がない・社内に運用のノウハウがない、といった場面で使います。要件が決まっていない場合は、先に要件を整理する採用コンサルティングから始めるほうが成果につながります。

使う場面は状況によって次のように分かれます。

  • 要件が固まっていない:経験者と未経験の比率・求人票・選考の設計から相談する。採用コンサルティングで現状の整理から進める
  • スカウトを送れていない・返信が遅い:候補者探しと文面の運用をAI-RPOに任せる。判断が必要な場面だけ社内で対応する
  • 採用ブランディングを整えたい:候補者から選ばれる理由を言葉にする。採用ブランディングで考え方を整理している

依頼する前に決めておくこと

採用代行に依頼する前に、次の3点を決めておくと成果が出やすくなります。

  • 採用したい人数と時期:案件の受注見込みに合わせて、3か月ごとに見直す
  • 経験者と未経験の比率:どちらを何人採用するかを分けて伝える
  • 社内で判断する場面:面接の合否や条件の提示など、会社が決める場面を明確にする

この3点が決まっていないと、運用の方向がぶれて成果が出にくくなります。決まっていない場合は、先に採用コンサルティングで整理します。

自社で運用する場合と採用代行を使う場合の違い

観点 自社で運用する 採用代行を使う
採用人数の増減 担当者の手が空かないと運用が止まる 人数が変わっても運用を続けやすい
ノウハウ 担当者が試行錯誤して貯める 他社の運用実績を取り入れられる
社内の役割 候補者探しから面談まで担う 要件の共有と最終判断に集中できる

採用代行の費用の目安は採用代行の費用相場で整理しています。SES企業の場合は採用人数が変わる時期に合わせて契約の範囲を見直せるかを事前に確認しておくと安心です。

自社の採用の進め方に迷う場合は、AI-RPOまたは採用コンサルティングで相談を受け付けています。

SES採用のよくある質問

Q. SES企業の採用はなぜ難しいのですか?

A. ITエンジニアの転職求人倍率が高く、他社と同じ少数の候補者を取り合うためです。dodaの2026年8月のレポートでは、エンジニア(IT・通信)が12.04倍で全体の2.86倍の約4.2倍でした。加えて稼働率の都合で即戦力を求めやすく、母集団が狭くなります。

Q. SES企業は未経験を採用してよいですか?

A. 案件に入りやすい職種と配属前の研修を用意できるなら、採用してよいと考えます。母集団が広がり経験者の取り合いから離れられます。ただし研修と待機の期間に費用がかかるため、入社後のフォローを先に設計しておくことが前提です。

Q. 経験者と未経験の比率はどう決めますか?

A. 自社の育成に使える余力と案件の幅で決めます。高度な案件が多く育成を担う人が少ないなら経験者を中心に、運用・監視・テストなど入りやすい案件があるなら未経験を一定数入れます。比率は案件の受注状況に応じて定期的に見直します。

Q. 求人票には何を書けばよいですか?

A. 最初に入る案件・使う技術・案件を選べるか・年収への還元・相談できる人の5点です。案件によるとだけ書くと候補者は入社後の姿が見えません。書けない項目は、決め方だけでも書いておくと不安が減ります。

Q. 案件が決まっていないうちに採用してよいですか?

A. 採用してよいですが、入社後の道筋を先に決めておきます。最初に入る案件の種類・配属までの期間・相談先を、候補者に説明できる状態にしてください。確約できないことは希望を聞いて決めると伝えます。

Q. SESと派遣・請負の違いは何ですか?

A. 契約の形と、誰が業務の指示と労働時間を管理するかで区別されます。厚生労働省の告示「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」が基準を示しています。採用の段階でも入社後の働き方を候補者に正確に伝えてください。

Q. 採用代行(RPO)は採用人数が毎月変わっても使えますか?

A. 使えます。採用人数が変わる会社ほど、候補者探しやスカウトの運用を外に出すと人手の増減に左右されにくくなります。ただし要件が決まっていない段階では、先に要件の整理から始めるほうが効果的です。

Q. 人材紹介だけに頼ってもよいですか?

A. 急ぎで経験者が必要な時期には有効ですが、人材紹介だけに頼ると採用一人あたりの費用が膨らみやすくなります。ダイレクトリクルーティングやリファラル採用と組み合わせ、紹介会社には要件と見送りの理由を共有すると精度が上がります。

まとめ

SES企業の採用が難しいのは、ITエンジニアの求人倍率が全体の約4倍あり、稼働率の都合で即戦力を求めやすく母集団が狭くなるためです。さらに案件と人のミスマッチが入社後の早期離職として表に出ます。

進め方は5つです。経験者と未経験の比率を決めて手法を組み合わせます。求人票とスカウトに案件と成長の見通しを具体的に書き、選考は速く進めて配属前に候補者と案件を照らし合わせます。AIで運用の手間を減らし、人は判断と面談に集中します。

自社の採用の設計に迷う場合は採用コンサルティングで、スカウトの運用を任せたい場合はAI-RPOで相談を受けています。エンジニア採用の全体像はエンジニア採用が難しい理由もご覧ください。

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監修者

大上 諒

代表取締役CEO

HeaR株式会社 代表取締役CEO。累計250社以上の採用支援に従事し、AI-RPOなど次世代の採用ソリューションを開発・提供。「青春の大人を増やす」をミッションに掲げる。

編集者

HeaR編集部

編集部

HeaR株式会社 編集部。累計250社以上の採用支援で得た知見を発信。

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