
AIを採用に使うこと自体を禁止する法律は2026年9月時点の日本にありません。問われるのは職業安定法5条の4・5条の5と指針、個人情報保護法17・18・21条の枠内で運用し、候補者にどう伝えるかです。法律の要点、EU・NY市の規制、告知の4タイミング×3内容の設計、文面テンプレ6本を、AI-RPOを提供するHeaRが解説します。(2026年9月公開)
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結論から言うと、AIを書類選考や面接、候補者対応に使うこと自体を禁止する法律は、2026年9月時点の日本にはありません。ただし「何をしてもよい」わけではなく、職業安定法(5条の4・5条の5と指針)が集めてよい情報と募集情報の正確さを縛り、個人情報保護法(17・18・21条)が利用目的の特定と通知を求めます。この枠の中で運用し、候補者にどう伝えるかを設計するのが実務の中身です。
この記事は前半で法律の要点を、後半で候補者への告知・開示の設計と文面テンプレートを扱います。AIをどこまで任せるかの設計は採用AIエージェントの業務設計、書類選考に特化した法務論点はAI書類選考とは?で扱っているので、本記事は選考全体を横断する法律と告知に絞ります。なお本記事は法的助言ではありません。法令は改正されるため、運用前に最新の条文を確認し、個別の判断は弁護士等の専門家に確認してください。条文は2026年9月28日時点でe-Gov法令検索の職業安定法・個人情報保護法の原文を確認し、各章に原典へのリンクを置いています(2026年9月28日更新: 同月14日改正の職業紹介事業の業務運営要領を反映)。
| 根拠 | 何を求めているか | AI採用での意味 |
|---|---|---|
| 職業安定法5条の4 | 求人等に関する情報の虚偽・誤解を生じさせる表示の禁止。募集を行う者は正確かつ最新に保つ | AIが生成した求人票・スカウト文・チャットボットの回答も「募集に関する情報」。人が確認してから出す |
| 職業安定法5条の5と指針 | 求職者の個人情報は、業務の目的の達成に必要な範囲内で、目的を明らかにして収集し、目的の範囲内で保管・使用する。社会的差別の原因となるおそれのある事項などは原則収集しない | AIに読ませる情報の範囲を人が決める。AIが属性を推知する設計を避ける |
| 職業紹介事業の業務運営要領(2026年9月14日改正) | 求人者に代わる面接・スカウト・連絡の中継で、事業者の判断により選別・加工・評価を行えば職業紹介(AIによる自動判断も対象) | 委託先(採用代行・AI面接サービス)の設計と許可の有無を確認する |
| 個人情報保護法17・18・21条 | 利用目的の特定、目的外利用の制限、取得時の通知または公表 | 利用目的に「AIによる処理」を含めて通知・公表する。学習利用の有無を確認する |
| 厚生労働省「公正な採用選考」 | 本人に責任のない事項・本来自由であるべき事項を把握しない。適性・能力に基づく基準 | AIの評価項目と入力データからこれらを除く |
| EU AI法(参考) | 採用・選抜に使うAIは高リスク。雇用主は対象者に利用を知らせる義務(2027年12月2日適用) | EU域内で選考する場合に検討。国内のみなら直接の適用なし |
| 米ニューヨーク市 Local Law 144(参考) | 自動化された雇用判断ツールは1年以内のバイアス監査と結果公表、候補者への10営業日前の通知 | NY市の職務で募集する場合のみ。透明性の方向を示す先例 |
表の上5つが日本の現行法と行政の運営基準です。共通するのは、AIかどうかではなく「何を集めたか」「何に使うと伝えたか」「人が確認したか」が問われる構造だという点に尽きます。
職業安定法が採用AIに求めることは3つです。募集情報を正確に保つこと(5条の4)、求職者の個人情報を目的の範囲内で扱うこと(5条の5)、社会的差別の原因になりうる情報を集めないこと(指針)です。条文の名宛人には「労働者の募集を行う者」が含まれるため、人材紹介会社を使わず自社で採用している企業もそのまま対象になります。
5条の4は、求人や労働者の募集に関する情報について、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示を禁じ、募集を行う者に情報を正確かつ最新の内容に保つ義務を課しています。2022年10月施行の改正で、企業自身がこの義務の主体になりました(出典: 厚生労働省「令和4年職業安定法の改正について」)。
AI採用の文脈でこの条文が効くのは、AIが文章を生成する工程です。生成AIで作った求人票、候補者ごとに自動生成したスカウト文、採用サイトのチャットボットが答える給与や勤務地の説明は、候補者から見ればすべて会社が出した募集情報です。存在しない制度を書いた求人票や、古い就業規則を答え続けるチャットボットは、この条文の「誤解を生じさせる表示」「最新に保つ措置を欠く」状態になりえます。生成した文面を人が確認してから出す運用と、チャットボットが根拠文書に基づいて答える設計は、そのままこの条文への対応です。
5条の5は、求職者の個人情報を「業務の目的の達成に必要な範囲内で、目的を明らかにして収集し、収集の目的の範囲内で保管・使用する」ことを求めます。本人の同意がある場合などは例外です。収集だけでなく保管と使用まで目的に縛られるため、選考のために集めた応募書類をAIの学習データに流用する発想は、この時点で慎重に扱う必要があります。
さらに指針(平成11年労働省告示第141号)は、業務の目的達成に必要な範囲内であっても原則として収集してはならない情報を3類型で挙げています。人種・民族・社会的身分・門地・本籍・出生地など社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想および信条、労働組合への加入状況です。厚生労働省「公正な採用選考の基本」はこれを具体化し、次の事項を応募書類に書かせたり面接で尋ねたりしないよう求めています。
AIを使う場合の実務は、これらをAIの評価項目から外すだけでは足りません。入力するデータからも外します。厚生労働省のページが「採用基準としないつもりでも、把握すれば結果として採否に影響を与える」と書いているとおりで、AIは与えたデータをすべて判定に使おうとするからです。
もう1つ、AI固有の論点があります。顔・声・文章の癖から、本人が書いていない属性(年齢・性別・国籍・健康状態など)をAIが推定してしまう可能性です。録画型のAI面接で表情や声を解析する場合や、SNSの投稿を集めて人物像を作る場合に起きやすく、集めてはいけない情報を「推知」で集めた状態になりえます。対策は、評価に使う項目を採用要件に紐づく行動や実績に限定し、AIに出力させる理由が要件の言葉になっているかを人が確認することです。評価の根拠が「表情が硬い」「声が低い」のような属性側の言葉で返ってくる設計は避けてください。
AIを組み込んだ採用代行やAI面接サービスに選考の一部を任せる企業が増えています。ここには職業安定法のもう1つの論点があります。厚生労働省職業安定局は2026年9月14日に「職業紹介事業の業務運営要領」を改正し、募集情報等提供と職業紹介の区分の具体例を追記しました。要領は法律そのものではなく行政の運営基準ですが、事業者は遵守を求められます。
要領は、次の行為を事業として行う場合、その判断がAIを活用した仕組みにより自動的に行われているかどうかにかかわらず、職業紹介事業の許可等が必要だとしています。
今回の改正で、3つ目について面接・スカウト・日程調整の例が具体化されました。AI面接サービスと採用代行の両方に関わる線引きです。
| 求人者に代わって行う行為 | 区分(要領の例) |
|---|---|
| 面接で、求人者があらかじめ設定した質問への回答の趣旨を明確化する範囲を超えて、設定されていない質問をする | 職業紹介に該当(例4-6) |
| 面接を録画・録音し、文字起こしと日付の付記をして求人者に提供する | 該当しない(例4-7) |
| 面接内容を評価し、「貴社において採用すべき人材です」等の評価の文言とともに提供する、またはその提供の要否を判断する | 職業紹介に該当(例4-8) |
| 求人者が指定した求職者へのスカウトで、定型文を使う、または形式的な挨拶や宛名だけを書き込む | 該当しない(例4-3) |
| スカウトに、求職者の登録情報に応じて「職歴等を踏まえると月額○○万円で採用される可能性がある」等の文言を付す | 職業紹介に該当(例4-4) |
| 面接の日程調整や連絡の中継で、特定の求職者を優先するなど到達に先後をつける | 職業紹介に該当(例4-5) |
委託する側の実務は2つです。1つは、委託先のAIや担当者が「採用すべき」といった評価の文言を付けて返す設計になっていないか、通過・見送りの決定と候補者への連絡の判断が発注企業側にあるかを確認すること。もう1つは、選定や評価まで任せる契約であれば、委託先が職業紹介事業の許可を持っているかを確認することです。この改正に先立つ2026年2月の規制改革推進会議の資料(「AI等を活用した採用代行(RPO)の職業安定法上の課題と明確化」)では、AIを利用した採用代行サービスの実態把握はこれからだとされており、例示は今後も追記される可能性があります。
個人情報保護法で採用AIに関わる条文は3つです。利用目的をできる限り特定する(17条)、特定した目的の範囲を超えて扱わない(18条)、取得時に利用目的を通知または公表する(21条)。同意は常に必要なわけではなく、利用目的を特定して通知・公表していれば原則として利用できます。実務で確認するのは、利用目的の書き方と、AIサービスが入力を学習に使わない設定になっているかの2点です。
応募者向けのプライバシーポリシーや応募フォームに「採用選考のため」とだけ書いてある企業は多いです。AIで応募書類を評価したり、面接の映像・音声を解析したりする処理は、通常の書類選考とは性質が違います。利用目的は「面接の映像・音声・回答内容をAIが解析し、評価の参考にする」「応募書類の一次評価にAIを用いる」のように、AIによる処理が含まれることが分かる粒度で書いてください。後の章のテンプレート①がこの形です。
個人情報保護法は、取得と利用にあたって常に本人の同意を求めているわけではありません。利用目的を特定し、取得時に通知または公表していれば、目的の範囲内で利用できます。「AIを使うから同意書が要る」と一律に考える必要はありません。
ただし例外が3つあります。本人以外から求職者の情報を集める場合(リファレンスチェック、SNS調査)は、指針が本人の同意の下での収集を求めるためです。取得した情報をグループ会社や別の事業者に渡す場合は第三者提供の同意が要ります。そして、AIサービスが入力データを学習など応答以外の目的で扱う場合は、次に述べる注意喚起の対象です。場面別の整理は後の章(同意が必要なのはどの場面か)にまとめました。
個人情報保護委員会は2023年6月の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」で、個人情報取扱事業者が生成AIサービスに個人情報を含むプロンプトを入力する場合、特定された利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認するよう求めています。さらに、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、そのデータが応答結果の出力以外の目的で扱われる場合は、個人情報保護法に違反する可能性があるとして、AIサービスの提供者がそのデータを機械学習に利用しないことなどを十分に確認するよう求めた内容です。
実務の線引きはこうなります。応募者の氏名や連絡先つきの書類を、学習利用がオンの無料版チャットに貼る運用は避ける。業務で使うなら、学習に使わない契約と設定を確認し、識別情報を除いた要約を渡す。この線引きの具体は採用業務のAIプロンプト集の「入れてよい情報・入れてはいけない情報」で表にしています。
個人情報保護法の改正法が2026年7月に成立・公布されました。施行は段階的で、一部は2027年1月からです。改正の柱は、課徴金制度の導入、顔特徴データなどを「特定生体個人情報」として取扱事実の本人通知を義務づけること、子どもの個人情報の規律強化、委託先管理の見直しなどです。採用AIを直接規制する条項ではありませんが、録画型のAI面接で顔情報を扱う企業には、本人通知の義務が新たに関わります。施行時期とガイドラインは個人情報保護委員会の法令・ガイドラインのページで確認してください。
日本の現行法に、選考でAIを使うことを候補者に一律に開示する明文の義務はありません。ただし利用目的の通知・公表義務(個人情報保護法21条)を満たそうとすれば、AIによる処理を書くことになるため、実質的には「書かない」選択肢がなくなります。海外はさらに進んでおり、EU AI法は雇用主に利用を知らせる義務を、ニューヨーク市は10営業日前の通知を定めました。国内でも業界団体が「人間の介在と最終決定権」「導入企業への事前通知」を遵守事項にしています。
告知を設計すべき理由は、法律より先に候補者側にあります。TalentX社が2026年4月に実施した「AIネイティブ採用調査2026」(転職を検討する中途候補者221名)では、選考でAIが使われていると察知した候補者は52.8%、AI活用に何らかの利点を認めた候補者は約8割でした。評価した点は「24時間いつでも応募・問い合わせができる」40.1%、「評価の客観性・公平性」39.2%。一方で懸念は「自分の熱意や個性が伝わらない」42.5%、「機械的で人間味のない対応」35.8%で、最も求めているのは「自分を深く理解した対話」40.1%でした。
この数字が示すのは、候補者はAIの利用そのものを嫌っているのではなく、「知らされないこと」と「人が見ていないこと」を嫌っている、ということです。半数以上が察知している以上、伝えない選択は候補者に「隠している」と映ります。伝えたうえで、人がどこで見ているかを示すほうが、辞退と悪評の両方を減らします。
参照点として、海外と業界の基準も押さえておきましょう。EU AI法は採用・選抜に使うAIを高リスクに分類し、26条で雇用主に対し、労働者代表と対象となる労働者に高リスクAIの利用対象になることを知らせる義務(7項)と、AIが判断や判断の補助を行う対象となる自然人にその旨を知らせる義務(11項)を定めています。適用は2027年12月2日です。ニューヨーク市のLocal Law 144は2023年7月から執行されており、自動化された雇用判断ツールを使う雇用主に、使用前1年以内のバイアス監査と結果の公表、候補者への10営業日前の通知、代替の選考手続を求める機会の提供を義務づけています。国内では、AIによる採用面接・人事評価サービス協議会(AIAC)が2025年10月に事業者ガイドラインを制定し、公平性・プライバシー・人間中心・透明性・説明責任の5原則と、「差別的な評価の排除及び人間の介在と最終決定権」「導入企業への事前通知」などの遵守事項を定めています。日本国内だけで採用する企業に海外の義務が直接及ぶわけではありませんが、透明性と人の関与を求める方向は共通です。
告知は、応募前・応募時・選考中・結果通知の4つのタイミングに、AIを使っている事実・使う範囲と人の関与・問い合わせや再確認の窓口の3つの内容を配置して設計します。1箇所に長い説明を置くのではなく、候補者がそのタイミングで知りたいことだけを短く置くのが要点です。
| タイミング | AIを使っている事実 | 使う範囲と人の関与 | 窓口 |
|---|---|---|---|
| 応募前(募集要項・プライバシーポリシー・採用サイト) | 選考の一部にAIを用いる旨 | どの工程で使い、合否の最終決定は人が行うこと | 問い合わせ先 |
| 応募時(応募フォーム・チャットボット冒頭) | フォームの注記/「AIが回答しています」の表示 | 書類の一次評価にAIを使う旨/担当者に引き継ぐ場合があること | 人に切り替える導線 |
| 選考中(AI面接の案内・スカウト・日程連絡) | 録画と解析の有無/AIで下書きした旨(必要な場合) | 解析結果の使い方、人が評価に関わること、代替手段 | 受けられない場合の相談先 |
| 結果通知(見送り連絡・問い合わせ対応) | 選考にAIによる分析が含まれていた旨 | 最終判断を人が行ったこと | 人による再確認を求める窓口 |
3つの内容のうち、候補者の受け止めを最も変えるのは真ん中の「使う範囲と人の関与」です。「AIを使っています」だけでは不安が増えます。「書類の一次評価にAIを使い、通過・見送りの決定は採用担当者が行います」まで書いて、初めて安心に変わります。どの工程で人が確認するかは、採用AIエージェントの業務設計の承認ポイントの設計と同じものです。告知の文面は、その設計を候補者向けの言葉にしたものになります。
テンプレートは6本です。プライバシーポリシー、募集要項、応募フォーム、チャットボットの冒頭、AI面接の同意、見送り連絡の順に、そのまま使える文面を載せます。[ ]の中は自社の運用に置き換えてください。文面の長さより、書いてあることが実際の運用と一致していることが大切です。運用に無いことを書くと、5条の4の「誤解を生じさせる表示」の側に回りかねません。
当社は、応募者の個人情報を採用選考のために利用します。選考の一部において、応募書類の一次評価および[面接日程の調整・お問い合わせへの回答]にAI(人工知能)を用いることがあります。AIによる評価は参考情報として扱い、通過・見送りの決定は当社の採用担当者が行います。応募者の個人情報を、当社が利用するAIサービスの学習に用いることはありません。
本選考では、応募書類の一次評価にAIを活用しています。最終的な合否は採用担当者が判断します。AIの利用についてご不明な点は[採用担当窓口]までお問い合わせください。
ご入力いただいた内容は、採用選考のために利用します。一次評価にはAIを用い、結果は採用担当者が確認したうえで選考を進めます。詳細は[応募者向けプライバシーポリシー]をご覧ください。
HeaRの自社採用サイトのチャットでは、次の表示を出しています。
AIによる自動応答です。回答内容は正確でない場合があります。
Recruit-botの設計では、これに「担当者におつなぎすることもできます」を添え、給与や待遇に踏み込んだ質問や不安を含む発言は人に引き継ぎます。チャットボットの回答は募集情報の一部になるため、根拠文書に基づいて答え、根拠が無いときは答えない設計と組み合わせるのが前提です。実装の詳細は採用サイト向けAIチャットボットの記事を参照してください。
一次面接は録画形式で行い、映像・音声・回答内容をAIが解析します。解析結果は評価の参考情報として採用担当者が確認し、合否はAIのみで決定しません。録画データは採用活動以外の目的には使用せず、[保管期間]経過後に削除します。録画形式での受験が難しい場合は、[担当窓口]までご相談ください。代替の面接方法をご案内します。
実際に運用されているAI面接サービスの同意画面には、録画と解析を行うこと、録画・文字起こし・解析結果を選考企業に共有すること、採用活動以外に使わないことが項目として並び、同意前であればキャンセルできる設計になっています。自社で案内文を作る場合も、この4点(録画・解析・共有先・目的外不使用)に「人が確認する」「代替手段がある」の2点を足した6点をそろえてください。
選考の結果、今回はご希望に沿えない結果となりました。本選考では書類の一次評価にAIによる分析を用いておりますが、最終的な判断は採用担当者が行っております。選考の進め方についてご不明な点がある場合は、[担当窓口]までご連絡ください。担当者が内容を確認のうえ回答いたします。
見送り理由そのものは書きません。書くのは「AIを使った範囲」「人が判断したこと」「問い合わせ先」の3点です。この一文があるだけで、「AIに落とされた」という不信を法的な争いや悪評に発展させる前に受け止められます。
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同意の要否は場面で分かれます。通常の書類選考や面接日程の調整にAIを使う場合は、利用目的の通知・公表で足り、同意は原則不要と考えられます。同意が要るのは、本人以外から情報を集める場合、取得した情報を第三者やグループ会社に渡す場合、AIサービスが入力を学習など応答以外の目的で扱う場合です。録画型のAI面接は、法律上は通知・公表の問題ですが、実務では同意画面を置くのが標準になっています。
| 場面 | 同意の要否 | 根拠・考え方 |
|---|---|---|
| 応募書類の一次評価にAIを使う | 原則不要(通知・公表で足りると考えられる) | 個人情報保護法21条。利用目的にAIによる処理を含めて公表する |
| 面接日程の調整・問い合わせ対応にAIを使う | 原則不要(明示は行う) | AIが対応していることの表示と、人への切り替え導線 |
| 録画型AI面接で映像・音声を解析する | 実務上は同意画面を置く | 21条の通知・公表で足りるが、処理の性質が通常と異なるため明示的な同意が標準。2027年以降は顔特徴データの本人通知義務にも留意 |
| リファレンスチェック・SNS調査をAIに行わせる | 必要 | 指針が本人以外からの収集に本人の同意を求める。SNS調査は収集してはならない情報を拾いやすく、原則避ける |
| 評価結果をグループ会社・別会社と共有する | 必要 | 第三者提供の同意(個人情報保護法27条)。委託か共同利用かの整理も要る |
| 入力データがAIの学習に使われる | 必要(または学習利用をオフにする) | 個人情報保護委員会の注意喚起。応答以外の目的で扱われる場合は同意なしでは違反の可能性 |
判断に迷う場面では、同意の要否を詰めるより先に、応募時点で「選考の一部にAIによる分析を用いる」と書いてしまうのが実務的です。利用目的の特定と通知の要請を満たしやすくなり、候補者の受け止めも安定します。
備えは3つです。評価に使った項目と人が確認した記録を残すこと、AIに結果だけでなく理由を出力させること、合否の最終決定を人が行う運用にしておくことです。この3つがそろっていれば、候補者からの問い合わせに「事実として」答えられます。選考基準そのものを開示する義務は現行法に確認できませんが、説明できない選考は採用ブランドを削ります。
問い合わせへの回答は、次の型で組み立てるとよいでしょう。AIを使った範囲を示す。最終判断を人が行ったことを示す。必要なら人が書類を再確認したうえで、結果に変わりがないことを伝える。理由の詳細には踏み込まない。
お問い合わせありがとうございます。本選考では応募書類の一次評価にAIによる分析を用いておりますが、通過・見送りの判断は採用担当者が行っております。ご連絡を受け、担当者が改めて応募書類を確認いたしましたが、結果に変更はございません。今回の結果はあくまで当社の採用要件との適合によるもので、ご経歴やお人柄を否定するものではありません。
HeaRのAI書類審査では、AIが評価のランクだけでなく理由・強み・懸念点・面接で確認すべき点を文章で出力し、判断が割れる書類は人が確認する設計にしています。「人が後から検証できる状態を保つ」ことが、この章の備えの実装にあたります。
ツールや採用代行にAIの処理を任せる場合、確認すべきことは7項目です。学習利用の有無、データの保管場所と期間、責任の分界、人の最終判断の設計、告知文面の提供、監査とログ、停止と切り替えの条件です。契約書と規約で確認し、口頭の説明で済ませないでください。
| # | 確認項目 | 確認の仕方 |
|---|---|---|
| 1 | 入力した応募者データをAIの学習に使わないか | 規約・契約の条項で確認。API構成や設定で学習利用がオフになっているか |
| 2 | データの保管場所・保管期間・削除 | 国内外どこに保管されるか、選考終了後いつ削除されるか |
| 3 | 責任の分界 | 誤った評価や情報漏えいが起きたとき、ツール提供者と自社のどちらが何を負うか |
| 4 | 人の最終判断が設計に組み込まれているか | AIの判定だけで不合格が確定しない仕組みか。判断が割れる層を人が見る承認ポイントがあるか |
| 5 | 候補者向けの告知文面を提供してくれるか | 利用目的・同意画面・見送り連絡の文面の雛形があるか。無ければ本記事のテンプレートで自社が用意する |
| 6 | 評価の理由が出力され、ログが残るか | 「なぜその評価か」を後から人が確認できるか。AIACのガイドラインは説明責任を原則に挙げている |
| 7 | 止められるか、切り替えられるか。職業紹介該当性 | 異常時にAIの処理を止め、人の運用に戻せるか。採用代行・AI面接なら、評価の文言(「採用すべき」等)を付けて返さない設計か、候補者の選定と合否連絡の判断が自社側にあるか、選定まで任せるなら委託先が職業紹介の許可を持つか(2026年9月改正の業務運営要領 例4-6〜4-8) |
採用代行やAI面接サービスにAIごと任せる場合は、7番目が特に重要です。前述の2026年9月改正の業務運営要領のとおり、求人者に代わって評価の文言を付けて返す設計や、事業者の判断でスカウト文を個別化する設計は職業紹介に当たりうるため、通過・見送りの決定と候補者への連絡の判断が自社にあることを、契約と運用の両方で確認してください。HeaRのAI-RPOはこの前提で、AIの一次評価と人の最終判断、候補者向けの告知文面までを運用設計に含めています。
失敗は5つに集約されます。利用目的が「採用選考のため」のまま、AIの利用を伝えないまま録画面接をする、AIの判定だけで見送りを確定する、集めてはいけない情報をAIに推知させる、委託先の設計を確認しないまま任せる、の5つです。
A. 2026年9月時点で、採用へのAI利用を禁止する法律はなく、違法ではないと考えられます。ただし職業安定法5条の5と指針が集めてよい情報を制限し、個人情報保護法が利用目的の特定と通知・公表を求めます。この枠内で運用し、合否の最終判断を人が行う設計にしてください。
A. 一律の開示義務は現行法にありません。ただし利用目的の通知・公表義務を満たそうとすればAIによる処理を書くことになり、実質的に伝えることになります。候補者の半数以上がAI利用を察知しているという調査もあり、伝えたうえで人の関与を示すほうが辞退と悪評を減らします。
A. 現行法で直ちに禁止されるものではありません。ただし表情や声から属性を推知する設計は、指針が収集を禁じる情報を拾うおそれがあります。評価項目を要件の行動・実績に限定し、録画形式が難しい候補者向けの代替手段を用意してください。2027年以降は顔特徴データの本人通知義務にも留意が要ります。
A. 通常の書類選考や日程調整にAIを使う場合は、利用目的の通知・公表で足り、同意書は原則不要と考えられます。本人以外から情報を集める場合、第三者に提供する場合、AIサービスが入力を学習に使う場合は同意が要ります。録画型AI面接は実務上、同意画面を置くのが標準です。
A. 「採用選考のため」に加えて、どの工程でAIを使うか、AIの評価は参考情報で最終決定は人が行うこと、応募者の情報をAIの学習に使わないことの3点を書きます。文面はこの記事のテンプレート①をそのまま置き換えて使えます。
A. AIを使った範囲と、最終判断を人が行ったことを事実として伝え、必要なら人が書類を再確認したうえで回答するのが基本です。理由の詳細には踏み込みません。この回答ができるように、評価項目・人の確認記録・AIの理由出力を残しておくことが備えになります。
A. 日本国内だけで採用しているなら直接の適用はありません。EU域内の候補者を選考する場合はEU AI法(採用AIは高リスク・2027年12月2日適用)、ニューヨーク市の職務で募集する場合はLocal Law 144(バイアス監査と10営業日前の通知)が関わります。国内でも透明性と人の関与を求める方向は同じです。
A. 通過・見送りの決定と候補者への連絡の判断が自社側にある設計なら整理しやすいです。厚生労働省は2026年9月14日改正の業務運営要領で、求人者に代わって面接を行い「採用すべき人材です」等の評価の文言とともに提供する行為や、事業者の判断でスカウト文を個別化する行為は職業紹介に該当するという例を示しています。委託先が職業紹介の許可を持つか、判断の主体がどこにあるかを契約前に確認してください。
AIを採用に使うこと自体は、日本の現行法で禁止されていません。問われるのは、何を集めたか(職業安定法5条の5と指針)、何に使うと伝えたか(個人情報保護法17・18・21条)、募集情報を正確に保ったか(5条の4)、人が最終判断をしたかの4点です。候補者の半数以上がAI利用を察知している以上、伝えない選択はありません。4つのタイミングに3つの内容を配置し、この記事のテンプレートを自社の運用に合わせて置き換えてください。
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