
マーケター採用が難しいのは、経験者が少なく「どのマーケターが必要か」も曖昧になりやすいからです。Webマーケターの求人倍率は39.4倍(レバテック、2026年3月)。AIの普及で変わる採用要件、手法7つの比較表、スカウト文面と面接での確認方法を解説します。(2026年10月更新)
マーケターとは、商品やサービスが売れる仕組みをつくる人です。ただし仕事の幅が広く、戦略を決める人と施策を動かす人と数字を分析する人では、必要な経験がまったく違います。採用を始める前に、自社が必要としているのがどの役割かを1つに絞ることが、マーケター採用の出発点です。
売れる仕組みをつくるには、価格の決定やプロモーションの対象選び、市場調査など幅広い領域に関わる必要があります。そのため一言でマーケターといっても、その中身は様々です。インターネット以外の領域で行う「オフラインマーケティング」と、オンライン上で行う「デジタルマーケティング」という分け方もあります。
マーケターの役割は、大きく3つのフェーズに分けると整理しやすいでしょう。
| フェーズ | 主な職種の例 | 任せる仕事 | 面接で確認したい経験 |
|---|---|---|---|
| 戦略設計 | CMO・事業責任者・プロダクトマーケター・商品企画 | 誰に何をどう売るかを決め、予算を配分する | 市場と顧客を調べて戦略を決め、その結果を数字で説明できるか |
| 施策実行 | 広告運用・SEO・SNS・CRM・コンテンツ制作・イベント | 決めた戦略を、チャネルごとの施策に落として動かす | 担当したチャネルと予算規模、自分で改善した指標を具体的に話せるか |
| 分析・改善 | データアナリスト・リサーチャー・データサイエンティスト | 数字から課題を見つけ、次の打ち手を提案する | 分析の結果をもとに施策を変え、成果につなげた経験があるか |
同じ「施策実行」でも、BtoBのリード獲得とBtoCのEC集客では、使う手法も成果の測り方も異なります。求人票に「マーケター」とだけ書くと、こうした違いが候補者に伝わりません。結果として、応募は来ても合う人がいない状態になりがちです。
マーケター採用が難しい理由は、需要に対して経験者が少ないことと、職種の幅が広く「求める人」が定まりにくいことの2つです。Webマーケターに限ると、レバテックの集計では求人倍率が39.4倍(2026年3月)です。転職市場全体の2.86倍(doda・2026年8月)を大きく上回ります。
転職市場全体の求人倍率は、dodaの集計で2.86倍(2026年8月)です。マーケティング職だけの倍率は公表されていませんが、dodaの職種区分「企画・管理」は3.28倍で、前年同月の3.14倍から上がっています(出典: doda転職求人倍率レポート データ)。
Webマーケターに絞ると、差はさらに開きます。レバテックがITエンジニア・クリエイター向けの人材紹介サービスの実績から出している職種別の求人倍率では、Webマーケターは39.4倍(2026年3月)でした(出典: レバテックITエンジニア・クリエイター スキル・職種別求人倍率2026年3月)。同じ集計の2024年6月は298.0倍で、月によって大きく動きます。1社のサービスの数字なので水準そのものより、「Webマーケターは他の職種と比べても、求人に対して転職希望者が極端に少ない」という傾向として読むのが適切です。
従来のマーケティングでは、販売戦略を立てる思考力や市場調査の結果を読み取る力が重視されていました。しかし顧客の意思決定にオンライン上の情報が大きく影響する現在は、SEOやSNS、Web広告の運用といった知識も欠かせません。さらに、計測ツールやCRMのデータを扱う力や、生成AIを使ってコンテンツ制作や分析を速める力も求められるようになっています。
こうした幅広いスキルを持つ人材はまだ少なく、転職市場に出てくるケースも多くありません。Web業界は変化が速いため、新しい手法を学び続ける力も必要です。需要は高まっているのに条件に合う人が少ないことが、マーケター採用が難しい大きな要因です。
前の章で整理したように、マーケターは戦略設計・施策実行・分析の3つのフェーズに分かれ、その中でも職種が細かく分かれています。採用担当は、自社が求める経験を正しく理解したうえで、その経験を持つ人に声をかける必要があります。
ただ、マーケティングの知識が浅いと、候補者の経歴を見ても合うかどうかの判断が難しくなります。これもマーケター採用の難易度を上げる一因です。初めてマーケターを採用する場合は、求人票やスカウトの対象者を現場のマーケターに確認してもらうなど、現場と一緒に進めるのが近道です。
社内に初めてマーケターを置く会社ほど、「戦略も立てられて広告もSEOも運用でき、分析もできる人」を1人で求めがちです。3つのフェーズすべての経験を持つ人はごく少なく、いても年収の条件が大きく上がります。
求人の条件を広げるほど、当てはまる人は減っていくのが現実です。最初の1人には何を任せ、何を外部の支援や業務委託で補うのかを決めておくと、探す相手が具体的になります。
経験のあるマーケターは複数の会社から声がかかっています。選考が長引けば、そのまま他社に決まってしまうでしょう。マーケターの経歴は社内で判断できる人が限られ、「現場の誰が面接するか」の調整で日程が延びることもよくあります。
選考期間と辞退の関係は、採用リードタイムの平均と目標日数で詳しく解説しています。
募集を始める前に決めておくべきなのは、任せたい成果・必須の経験・雇用形態・社内で判断する人の4つです。ここが曖昧なまま募集すると、応募が来ても書類で判断できず、面接のたびに基準が変わります。
「マーケティング全般を担当」ではなく、「BtoBの新規リードを月◯件に増やす」「ECの新規顧客の獲得単価を下げる」のように、入社後1年で任せたい成果を書き出します。成果が決まれば、必要な経験とフェーズは自然に絞られるはずです。
必須条件は3つ程度に絞り、それ以外は「歓迎」に回します。マーケターの場合は、担当したチャネル・扱った予算の規模・BtoBかBtoCかの3点が判断に効きやすい項目です。AIの普及で必須と歓迎の置き方も変わってきているので、次の章もあわせてご覧ください。
最初から正社員で探すのが難しい場合は、施策実行の一部を業務委託や副業の人材に任せ、戦略を決める人だけを正社員で探す方法もあります。逆に、業務委託で一緒に働いた人に正社員として入ってもらうケースもあります。
候補者の経歴を見て「この経験は自社で活きる」と判断できる人を、書類選考と面接に入れます。社内に判断できる人がいない場合は、外部のマーケターや採用支援会社に要件づくりから入ってもらうのも1つの方法です。
採用要件の決め方は、採用要件(ペルソナ)の設定方法と採用基準の作り方で詳しく紹介しています。
生成AIでデータの集計や記事・広告文の下書きが速くなり、マーケターに求める力は「作業をこなす力」から「AIを使いこなし、成果物の質を判断する力」へ移りつつあります。大企業のマーケティング責任者111名への調査では、47.7%が今後「AIを使いこなせる技術層の採用を拡大する」と答えました(IDEATECH、2026年7月)。
マーケティングの現場では、生成AIはすでに広く使われています。日本マーケティング協会が上場企業144社に聞いた調査では、文章系の生成AIを活用している企業は85%、画像系は58%でした(2025年4〜6月実施。出典: 日本マーケティング協会のプレスリリース)。
作業時間への影響も出ています。大企業のマーケティング責任者のうち、生成AIを導入した業務の作業時間の変化に答えた105名の結果を見てみましょう。「50〜70%未満削減できた」は28.6%、「70〜90%未満」は18.1%、「90%以上」は6.7%でした。合わせて53.4%が、AIを使った業務の作業時間を半分以上減らしています(出典: IDEATECH大企業マーケティング責任者への生成AI活用調査)。
業務ごとに見ると、AIに任せやすい部分と人に残る部分は次のように分かれます。
マーケター自身も、求められる力の変化を感じています。事業会社のマーケティング部の管理職301名への調査では、今後特に重要になるスキルとして「生成AIツールを使いこなす技術力」を挙げた人が58.8%、「本質的な課題を特定する分析力」が43.9%でした(2024年12月実施。出典: キーワードマーケティング 生成AIに対するマーケターの意識調査)。
AIに任せられる業務が増えると、求人票の「必須」に何を書くかも変わります。以下は、こうした変化を踏まえてHeaRが採用要件を設計するときの置き直しの例です。会社の状況によって変わるため、自社の要件を見直すときのたたき台としてお使いください。
| 項目 | これまでの置き方 | AIの普及を踏まえた置き方 |
|---|---|---|
| 記事・広告文の制作 | 自分で数多く制作した経験を必須にする | 量をこなした経験は歓迎に下げる。AIの下書きを直して、公開できる品質に仕上げた経験を必須にする |
| データの集計 | ツールで集計してレポートを作れることを必須にする | 集計は歓迎に下げる。数字から課題を見つけて施策を変えた経験を必須にする |
| AIの活用 | 書かない、または歓迎にとどめる | 業務でAIを使い、使い方を自分で改善してきた経験を必須に上げる |
| 顧客の理解と戦略 | 上の役職だけに求める | 1人目のマーケターから必須にする。顧客に話を聞き、誰に何を売るかを考えた経験を確認する |
| 品質への責任 | 書かない | AIの出力の事実確認や、ブランドに合うかの判断を自分で行った経験を必須にする |
ポイントは、要件を下げるのではなく、確認する中身を「作業の量」から「判断の質」に移すことです。作業の経験年数で絞り込むと、AIを使いこなして少ない時間で成果を出している人を見落とすことがあります。
AIを使いこなせるかどうかは、面接で話を聞くだけでは判断しにくい力です。AIの使用を認めたうえで、短い実務課題に取り組んでもらうと確かめやすくなります。たとえば「当社の商品の広告文を、AIを使って30分で5案つくり、どれを出すかとその理由を説明してください」といった課題です。
見るべきなのは、できあがった案の出来だけではありません。AIにどんな指示を出し、出力のどこを直したかを説明してもらいましょう。なぜその案を選んだかまで聞くと、判断の質が見えてきます。課題の設計はワークサンプルテストとはで、候補者がAIを使う前提での選考の組み立て方は候補者がAIを使う前提の選考設計で紹介しています。
前出の大企業のマーケティング責任者111名への調査では、生成AIの普及が今後の採用計画に与える影響として、次の回答が並びました(出典: IDEATECH)。
採用人数を一律で減らすと答えたのは1割強にとどまり、多かったのは「求める人材を変える」という答えでした。同じ調査では、AIで浮いたリソースの使い道として「デジタル広告・Webコンテンツのさらなる量産」を挙げた人が60.2%います。AIで作業が減っても、その分を施策の量や質に回している会社が多いということです。
そのため、HeaRでは「AIを使えば◯人減らせる」とは考えていません。考え方を変えるのは、1人目に求める要件と体制の組み合わせです。たとえば、戦略を決めて成果物の質を判断できる正社員を1人採用し、作業はAIに任せる形があります。手の足りない施策は業務委託で補います。作業を担う若手を複数採用する計画を立てている場合は、その前にどこまでAIに任せられるかを確かめておくとよいでしょう。
マーケター採用で使われる主な手法は、ダイレクトリクルーティング・人材紹介・リファラル採用・採用広報とSNS・求人広告・業務委託や副業のマッチング・採用代行(RPO)の7つです。経験者を狙うなら、転職を考え始める前の人にも届くダイレクトリクルーティングとリファラル採用が中心になります。
| 手法 | 向いている場面 | 注意すること | 社内の工数 |
|---|---|---|---|
| ダイレクトリクルーティング | 経験やチャネルを指定して、転職を考え始めた人に直接声をかけたいとき | 文面を候補者ごとに書き分けないと返信が来にくい | 多い(候補者探し・文面・やり取り) |
| 人材紹介 | 採用したい時期が決まっていて、紹介会社に母集団づくりを任せたいとき | 要件と見送り理由を共有しないと、合わない紹介が続く | 中程度 |
| リファラル採用 | 社内に同じ職種の社員がいて、知り合いに声をかけてもらえるとき | 紹介してほしい人物像を具体的に伝えないと紹介が出てこない | 中程度(制度づくりに時間がかかる) |
| 採用広報・SNS | 自社のマーケティングの取り組みを外に発信できるとき | 成果が出るまでに数ヶ月かかる | 多い(継続的な発信) |
| 求人広告 | 若手やポテンシャル層を広く集めたいとき | 経験者は求人広告を見ていないことが多い | 少ない |
| 業務委託・副業マッチング | 正社員の採用までの間、施策の実行を任せたいとき | 社内に知見が残りにくいので、引き継ぎ方を決めておく | 少ない |
| 採用代行(RPO) | 社内に採用の手が足りない、要件づくりから任せたいとき | 任せる範囲と、社内で判断することを分けておく | 少ない(判断のみ) |
職種を問わない採用手法の全体像は、採用手法の比較で一覧にしています。
まず取り組みたいのがダイレクトリクルーティングです。ダイレクトリクルーティングサービスには、今は積極的に転職活動をしていなくても、市場価値を知るために登録している人が一定数います。こうした転職潜在層にいち早く声をかけられるため、競争率が高いマーケターの採用には欠かせない手法です。
媒体は、あらかじめ決めた要件をもとに選びます。たとえば経験豊富なマネージャークラスを探すならビズリーチ、若手のハイキャリア層ならAMBI、自社の想いへの共感を重視したい場合はWantedlyが候補になります。1つの媒体で足りない場合は、複数を組み合わせて自社に合う形を探していきましょう。
返信があってカジュアル面談をする場合は、実際の業務をよく知る現場のマーケターにも参加してもらいましょう。進め方はダイレクトリクルーティングの進め方で紹介しています。
経験のあるマーケターは忙しいことが多く、効率よく転職活動を進めるために人材紹介を使う傾向があります。経験者との接点を増やすためにも、人材紹介は活用したい手法です。紹介会社にはハイクラスに強い会社や、スタートアップへの紹介に強い会社など、それぞれ特徴があります。今の紹介件数や紹介される人の合い方に課題がある場合は、他の紹介会社も検討してみましょう。
紹介会社を使う場合は、紹介会社の担当者との関係が採用の成否を分けます。次のような取り組みを続け、紹介しやすい環境をつくっていきましょう。
詳しくはエージェントコントロールの方法をご覧ください。
リファラル採用は、転職市場に出てくることが少ない経験者に届く手法です。特におすすめなのは、社員のエンゲージメントが高い会社や、採用したい人と近い経歴の社員が多くいる会社です。
ダイレクトリクルーティングや人材紹介に比べると軌道に乗せるまでの労力は大きいものの、合う人に出会いやすく、採用コストも下げられます。まずは採用したい人と経歴が近いマーケター社員を含めたチームをつくり、紹介してほしい人物像を社内に具体的に伝えるところから始めましょう。「リファラル採用をしています」と周知して待つだけでは紹介は増えません。紹介された人を内定まで進める流れや、社員が紹介しやすくなる制度もあわせて整えていきます。進め方はリファラル採用の始め方で紹介しています。
マーケターは情報感度が高く、SNSや記事で仕事の情報を集めている人が多い職種です。自社のマーケティングの取り組みを発信していくと、こうした人たちに会社を知ってもらえます。発信の具体的な方法は、後の章(応募を増やすには何を発信すればよいか)で紹介します。
求人広告は、多くの人に一度に募集を知らせたいときに向いています。ただ経験のあるマーケターは求人広告を自分から探していないことが多く、経験者採用の主力にはなりにくい手法です。若手やポテンシャル層を探す場合や、ほかの手法と組み合わせて使う場合に向いています。
正社員の採用が決まるまでの間、施策の実行を外部の人材に任せる方法もあります。採用を急ぐあまり基準に満たない人を採用するのは、会社にとっても本人にとってもよくありません。とはいえ、必要なマーケティング施策を止められない場合もあるでしょう。
その場合は、採用できるまでのつなぎとして、副業・フリーランスの人材や支援ツールを検討しましょう。たとえば次のようなサービスがあります(各サービスの内容は2026年10月時点の公式サイトをご確認ください)。
社内に採用の手が足りない場合は、採用代行(RPO)に採用業務を任せる方法もあります。要件づくりからスカウト文面の作成、候補者とのやり取りまでを任せ、社内は面接と最終判断に集中できます。
マーケターに届くスカウト文面は、「なぜあなたに送ったのか」「入社したら何を任せるのか」「どんな数字を見ている会社か」の3点を具体的に書いたものです。マーケターは自分の経験が活きるかどうかを数字と裁量で判断するため、事業の説明だけの文面では返信につながりにくくなります。
「急成長中」「裁量が大きい」のような、どの会社でも書ける言葉だけで終わる文面は読まれにくくなります。裁量が大きいなら、何をどこまで任せるのかを具体的に書きましょう。全員に同じ文面を送っていることが伝わると、マーケターほど返信しなくなります。
マーケター向けの母集団形成の進め方は資料「デジタルマーケター母集団形成方法の教科書」で、スカウトの文例は「スカウトメール事例集」で紹介しています。
マーケター採用の母集団を増やすには、1つの手法に頼らず、媒体選び・紹介会社との連携・採用広報・採用ピッチ資料・ウェビナー・SNSを組み合わせます。マーケターは発信の中身で会社のマーケティングの力量を判断するため、発信そのものが選考の一部になります。
マーケターが興味を持ちそうな記事や、知りたい情報を書いて発信していきましょう。マーケターが求める情報は専門的なことが多いため、人事だけで書くのではなく、社内で活躍している社員に協力してもらうのがおすすめです。
採用広報記事は、まだ自社を知らない段階から応募を考える段階まで、相手の状況に合わせて用意する必要があります。母集団形成が目的なら、まだ自社に興味のない人にも役立つ内容が有効です。マーケター採用であれば「CMOが考える、市場価値の高いマーケターに必要なスキル」のようなテーマが考えられます。詳しくは採用広報とはをご覧ください。
採用ピッチ資料のポイントは、できるだけ情報を開示することです。中でも、今足りていないものや、事業を伸ばすために解決したい課題を書くことが重要です。経験のある人ほど、自分の力が強く求められている組織や、経験を活かして貢献できる組織に魅力を感じます。
マーケター採用に特に力を入れている場合は、マーケター向けの資料をつくり、マーケティング領域の課題や目標を書くのも一手です。作り方は採用ピッチ資料の作り方で紹介しています。
自社のマーケティング施策を公開するウェビナーも効果的です。「この会社の取り組みは面白い」「ここで働けば自分も成長できそう」という印象を持ってもらえます。参加者が満足する内容をつくれれば、参加者からの応募だけでなく、口コミで会社を知る人も増えるでしょう。
情報感度が高いマーケターには、SNSで仕事の情報を集めている人が多くいます。SNSでの発信は、こうした人たちに自社を知ってもらうきっかけになります。発信を通じて社内の雰囲気を伝えていけば、カルチャーが合う人からの応募も集めやすくなります。
ただし、採用に関する情報だけを発信しないよう注意が必要です。マーケターにとって役に立つ情報を発信し、「読む価値があるアカウント」だと思ってもらうことが先です。採用と相性がよいのは、拡散されやすく手軽に始められるX(旧Twitter)です。反響が大きかった内容をnoteで詳しく書くなど、組み合わせて発信していくのもよいでしょう。
マーケター採用の戦略は、事業計画と連動した採用計画・ペルソナ・ポジショニングマップ・PoD(他社にない魅力)・ブランディング・候補者体験(CX)の6つのステップで設計します。手法や媒体を選ぶ前に、この順番で「誰に何を伝えるか」を決めておくと、発信やスカウトの内容がぶれません。
事業を伸ばすには、事業の成長に貢献できる人材の採用と育成が欠かせません。特に商品企画や販売戦略にも関わるマーケターの採用は、事業の成長に大きく影響します。採用計画を立てるときは事業計画と連動させ、いつまでにどんなスキルを持った人が必要なのかを考えていきましょう。
具体的には、まず事業の仕組みを深く理解し、事業の成長に必要なスキルを整理します。そのうえで、そのスキルを持った人をどうすれば採用できるのかを考え、戦略と戦術を決めていきます。
採用におけるペルソナとは、採用したい人物像のことです。多くの人に魅力的に見えるよう求人をつくるより、特定の1人を想定して施策を行うほうが、結果として自社が求める層に届きます。
ペルソナは、年齢や性別などの属性で絞り込むのではなく、「自社で活躍するのはこんな経験やスキルを持っている人だ」というところから始めます。そこから「このスキルを持っている人は、どんな働き方をしていて、どんな悩みを持っているだろうか」と深く掘り下げていきましょう。転職しようとするマーケターは、たとえば次のようなタイプに分かれます。
「自社を希望しそうなのはどんな志向を持った人か」という面からも、ペルソナを深めていきましょう。詳しくは採用要件(ペルソナ)の設定方法をご覧ください。
採用競争が激しい今、他社との違いを示せなければ、経験のあるマーケターを採用するのは難しいのが実情です。ポジショニングマップをつくり、自社の違いをはっきりさせましょう。自社が強いと思える分野で2つの軸を決め、4つの象限で整理するのがおすすめです。たとえば「事業形態×予算規模」「志向性×給与」などが考えられます。
ここで比べる相手は、必ずしも事業上の競合ではありません。候補者が一緒に検討しそうな会社を採用上の競合として決め、そのうえで違いを探っていきましょう。自社の魅力の整理には採用の4Pも使えます。
ポジショニングマップや社員の意見をもとにPoDを設計します。PoDとはPoint of Differenceの略で、候補者が求めているのに他社では提供できていない価値のことです。
一般的には大きな魅力でも、候補者が求めていなければ伝えても効果はあまりありません。候補者が求めていても、競合も提供できているものは、自社が選ばれる理由にはなりません。PoDがない場合は、まずつくるところから始めましょう。
自社の採用ブランディングの設計図をつくります。具体的には、次の項目を図にしていきます。
設計図をつくっておくと、自社の採用の方向性がはっきりし、社内で同じ認識を持てます。詳しくは採用ブランディングとはをご覧ください。
CX(Candidate Experience、候補者体験)の戦略を決めます。候補者との接点の1つひとつで候補者にとっての価値を高めていくと、採用力が上がり、自社のファンも増えていきます。
CXの戦略を立てるときは、キャンディデートジャーニーマップをつくり、「認知→応募→各選考→内定・入社」の段階ごとに施策を決めていくのがおすすめです。施策を書き出すだけでなく、理想の状態とそれに対する課題、対応策を段階ごとにまとめていきましょう。詳しくは採用CXとはをご覧ください。
面接で確認したいのは、論理的思考力・戦略的思考力・改善を回す力の3つと、実績の中身です。マーケターの実績は数字で語られることが多いため、その数字の前提(期間・予算・自分の担当範囲)まで聞くと、本人の力量が見えてきます。
論理的思考力とは、物事を矛盾なく筋道立てて考えられる力のことです。マーケターはビジネス職の中でもとりわけ数字を扱うことが多い職種で、施策の結果として出てくる数字の動きを分析し、次の施策に活かすことが求められます。
MECEやロジックツリーなどのフレームワークを知っているだけでなく、そうした考え方が自然にできている状態が望ましいでしょう。プレゼンの機会があるポジションでは、論理的に話す力もあわせて確認します。
戦略的思考力とは、目的を達成するために、限られた資源を何に集中させるかを選べる力のことです。そのためには、大局的かつ長期的に物事を見る必要があります。
限られた資源をどう使うかで、商品やサービスの未来は大きく変わります。プロモーションと商品力の強化のどちらに力を入れるか、認知を広げる施策と競合との違いを伝える施策のどちらを優先するか、といった選択を迫られる場面もあるでしょう。こうした場面で適切に選べるかどうかが、マーケターの力量を分けます。
PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を順番に繰り返すことです。マーケターには、自分の仮説から計画を立てて実行し、結果の数字を分析することが求められます。そのうえで次の仮説を立て、また実行していきます。マーケティングの手法は変化が速いため、サイクルを回すだけでなく、そのスピードも大切です。
「CPAを半分にした」「リードを3倍にした」といった実績は、それだけでは本人の力量を判断できません。予算の規模や期間、チームの中で本人が担当した範囲によって、同じ数字でも意味が大きく変わるからです。次のような質問で、数字の前提まで確認しましょう。
| 確認したいこと | 面接で候補者に聞く質問の例 |
|---|---|
| 本人が担当した範囲 | 「その施策の中で、ご自身が決めたことと、チームや代理店が担当したことを分けて教えてください」 |
| 数字の前提 | 「その成果は、どのくらいの予算と期間で出したものですか。始める前の数字も教えてください」 |
| うまくいかなかった経験 | 「成果が出なかった施策を1つ挙げて、そこから何を変えたかを教えてください」 |
| 自社の状況で考える力 | 「当社の今の状況(予算・体制)で同じ目標を任されたら、最初の3ヶ月で何から手をつけますか」 |
| 学び続ける姿勢 | 「最近新しく試した手法やツールと、その結果を教えてください」 |
面接だけで判断しにくい場合は、自社の実際の課題に近いテーマで短い提案をしてもらうワークサンプルテストも有効です。AIを使いこなせるかを確かめる課題の例は、前の章(AIの普及で、マーケター採用の要件はどう変わったか)で紹介しました。面接質問の組み立て方は面接で聞くべき質問もあわせてご覧ください。
AIが特に役立つのは、スカウト候補者の絞り込み・候補者ごとの文面の下書き・面接日程の調整・書類の一次確認といった定型の工程です。マーケター採用は候補者への個別対応が多い分、定型の工程をAIに任せると、人は面接と口説く場面に時間を使えます。
マーケター採用で時間がかかりやすい工程と、AIを使ったときの変化は次のとおりです。
| 工程 | 人だけで進める場合 | AIを使う場合 | 人が確認すること |
|---|---|---|---|
| スカウト候補者の絞り込み | 媒体で検索し、1人ずつ経歴を読む | 要件に合う経歴をAIが先に並べる | 並んだ候補者が要件に合っているか |
| スカウト文面 | 候補者ごとに一から書く | 経歴に合わせた下書きをAIがつくる | 送る理由と任せる仕事が具体的に書けているか |
| 面接日程の調整 | メールで候補日を何度もやり取りする | 候補日の提示と確定を自動化する | 調整がうまくいかなかったケースへの対応 |
| 書類の一次確認 | 担当者が全件を読む | 要件との一致度をAIが整理する | 判断の最終決定と、見送る理由の妥当さ |
HeaRのAI-RPOの運用設計では、月30件の面接日程の調整にかかる時間が、メールの往復で7〜8時間だったものが1時間前後になります(採用リードタイムの平均と目標日数で紹介した試算と同じ前提です)。浮いた時間を、マーケターとの面談や口説く場面に回せるのが、AIを使う一番の利点です。
ただし、どの経歴を「自社に合う」と判断するかは、AIではなく人が決める部分です。要件とAIへの指示を最初に人がしっかり決め、出力は人が確認する前提で使いましょう。AIを使った採用代行の詳細は、AI-RPOのサービス紹介をご覧ください。
A. 経験者の数に対して求人が多いことと、職種の幅が広く「どのマーケターが必要か」が曖昧なまま募集しやすいことが主な理由です。Webマーケターの求人倍率は39.4倍(レバテック・2026年3月)で、転職市場全体の2.86倍(doda・2026年8月)を大きく上回っています。
A. 入社後1年で任せたい成果から逆算して決めます。売上や問い合わせに直結する施策を動かしたいなら施策実行の経験者、何から手をつけるかを決めてほしいなら戦略設計の経験者です。1人ですべてを担える人はごく少ないため、足りない部分は業務委託や外部の支援で補う前提で探すと、見つかりやすくなります。
A. 経験者を探すなら、ダイレクトリクルーティングとリファラル採用が中心になります。どちらも転職を考え始める前の人に届くためです。採用したい時期が決まっている場合は人材紹介を組み合わせ、社内に採用の手が足りない場合は採用代行(RPO)に任せる方法もあります。
A. 外部のマーケターに面接や課題の評価に入ってもらうか、採用支援会社に要件づくりから相談する方法があります。社内だけで進める場合は、実績の数字の前提(予算・期間・担当範囲)を聞く質問を用意しておくと、マーケティングの専門知識がなくても判断しやすくなります。
A. 人数を一律に減らせるとは限りません。大企業のマーケティング責任者への調査では、採用人数を一律で削減すると答えたのは12.6%でした。47.7%は「AIを使いこなせる技術層の採用を拡大する」と答えています(IDEATECH・2026年7月)。人数より先に、AIに任せる業務と人が判断する業務を分け、1人目に求める要件を見直すことをおすすめします。
A. 施策実行の一部を業務委託や副業の人材に任せ、戦略を決める人だけを正社員で探す方法があります。業務委託で一緒に働いたあとに正社員として入社してもらうケースもあります。採用の条件を広げすぎていないかも、あわせて見直しましょう。
A. 「なぜあなたに送ったのか」「入社したら何を任せるのか」「どんな数字を見ている会社か」の3点を具体的に書くことです。どの会社でも書ける言葉だけの文面は、マーケターほど読み飛ばします。
A. 成果の数字だけでなく、その前提を聞きます。どのくらいの予算と期間で出した成果か、チームの中で本人が決めたことは何かを聞きます。うまくいかなかった施策から何を変えたかもあわせて聞くと、本人の力量が分かります。
マーケター採用が難しいのは、経験者の数に対して求人が多いことに加え、職種の幅が広く「どのマーケターが必要か」が決まらないまま募集しやすいからです。まずは入社後1年で任せたい成果を決め、必須の経験を絞り込みましょう。
そのうえで、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用を中心に手法を組み合わせ、送る理由と任せる仕事が伝わる文面で声をかけていきます。面接では実績の数字の前提まで聞き、自社の状況で力を発揮できる人かどうかを確かめましょう。
HeaRは累計250社以上の採用を支援してきました。マーケター採用の要件づくりや採用戦略の設計から相談したい場合は、採用コンサルティングのサービス紹介をご覧ください。
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採用課題に合わせた最適な打ち手を、HeaRが共に設計します。
まずは資料でサービスの全体像をご確認ください。