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【採用コンサルが解説】採用ブランディングとは?メリットや設計方法、成功事例などをご紹介
【採用コンサルが解説】採用ブランディングとは?メリットや設計方法、成功事例などをご紹介

【採用コンサルが解説】採用ブランディングとは?メリットや設計方法、成功事例などをご紹介

「他社と差別化するためには、採用ブランディング戦略を設計すべき」 とHR業界・人事界隈ではよく言われます。 とはいえ 「採用ブランディングの設計方法が分からない」 「ブランディング策定後の運用方法を知りたい」 という方も多いと思います。 HeaRでは累計100社以上の採用ブランディング戦略の策定を実施し、採用ブランディングの効果や戦略設計方法については熟知しております。 そこでこの記事では、採用ブランディングの効果や戦略設計方法を具体的にごに紹介していきます。 具体的には、 - 採用ブランディングのニーズが高まっている背景 - 採用ブランディングと採用広報との違い - 採用ブランディングの戦略設計4Step などをテーマに、重要なポイントをご紹介していきます。

採用ブランディングとは

採用ブランディングの目的

採用ブランディングとは文字通り、採用活動において自社をブランディングすることです。

「ブランド」という言葉は、牛などの家畜に焼印をつける「Brandr(ブランドル)」が語源だと言われています。自分の家畜と他人の家畜を間違えないように焼き印を付けたことがブランドの始まりです。

ブランディングの役割は自社と他社の区別。採用ブランディングとは、候補者に「御社と◯◯社は★★★という点が異なる」「御社と◯◯社は★★★という点が異なるからこそ、御社が良い」と区別・知覚してもらうための取り組みです。

採用ブランディングに取り組むことで競争力が高まり、数多くの企業から自社を選んでもらえる確率が高まることでしょう。

採用ブランディングが注目される理由

労働人口の減少により有効求人倍率は増加の一途を辿っています。

職種によっては有効求人倍率が10倍以上。1人の候補者を採用するために10社と競争をしなければなりません。

企業側は候補者から選ばれるための努力が求められます。そこで注目されつつあるのが採用ブランディングです。候補者から選ばれる確率を高めるために採用ブランディングに取り組む企業が増えてきました。

また「今すぐ転職はしないけど、良い会社を知っておきたい」と考える転職潜在層に対して自社をアピールしておくことで中長期的な採用候補者数の最大化を図る、という点においても採用ブランディングは注目されています。

採用ブランディングの構成要素

ではいったい採用ブランディングが優れた企業とはどのような企業でしょうか?

HeaRでは採用ブランド力を3つの要素に分解しています。

  1. 企業の魅力度
  2. 体験の量
  3. 体験の一貫性

3つの要素の掛け算の値が大きいほど、採用ブランディングすなわち他社との区別がされやすく且つ候補者から選ばれやすくなると考えています。(採用ブランディングの策定方法は後章で説明)

採用ブランディングに取り組むべき企業

HeaRではこれまで100社以上の採用ブランディングに取り組んできました(以下、一例)

  • 毎年10名以上のエンジニアを採用しているSES企業
  • 採用に苦戦している地方企業
  • 業界◯位がゆえに、業界1番手に負け続けてしまっている企業
  • コモディティ化した事業を運営/アナログな商品を開発・販売している企業
  • DX人材を採用して事業開発・事業改善を図りたい企業 など

成功事例を分析した結果、採用ブランディングに取り組むべき企業さんの特徴は以下です

  • 自社に尖った特徴がないと思っている企業※実際はそんなことございません。採用ブランディングに取り組む過程で尖った特徴を必ず見つけることができますのでご安心ください
  • 選考辞退・内定辞退に一定のパターンがある企業
  • 最近応募数・質が減少傾向にある企業

採用ブランディングに取り組むことでこのような課題を解決できます。それでは次章以降で採用ブランディングのメリットや構築方法をインストールしていきましょう。

採用ブランディングに取り組むメリット

採用ブランディングを通して得られるメリットを7つ紹介していきます。

1. 企業の認知度向上

企業の認知度は2つに分類することができます。

  • 認知の量:どれだけの人に自社を認知してもらえているか
  • 認知の質:自社をどのように認知してもらえているか

採用ブランディングに取り組むことによって

  • 認知の量の向上:多くの人に知ってもらう
  • 認知の質の向上:狙ったかたちで認知してもらう

ことが期待できます。

2. 応募者数の増加

認知の量・認知の質が向上することで

  • これまで自社のことを知らなかった人から応募が来るようになる
  • これまで自社のことを魅力的に思ってなかった人から応募が来るようになる

採用ブランディングに取り組むことで、結果的に応募者数が増えることが期待できます。

3. 採用担当者が自社をアピールしやすくなる

自社の採用ブランディングを確立・言語化したあとは、採用担当者(人事や現場の面接官など)に必ず共有しましょう。言語化→共有のプロセスを経ることで、各採用担当者が自社の魅力を”同じ質”かつ”高いレベル”で候補者へ訴求することが可能になります。

これまで属人的に行われていた採用活動(面接・面談)が減っていき、各採用担当者が各候補者を惹きつけることが増えていくことでしょう。

4. 選考辞退率の減少

魅力的な採用ブランディングを確立することで、候補者を惹きつけやすくなります。

  • 求人票や採用サイトなどを見て、すでに意向度が高い状態で応募
  • 面接官が自社の魅力を高いレベルで伝えるので、意向度がさらに上昇

といった状態が期待できます。その結果、選考辞退率が減少したり内定承諾率の向上が見込めます。

5. 採用コストを抑えられる

採用ブランディングを強化すると、自主応募も増えることでしょう。また歩留まり(選考辞退率/内定承諾率)が良化すると、採用目標に必要な面談数も減少します。

結果、契約媒体数の削減・エージェント経由の採用数減少などを通して採用コストを抑えることが期待できるのです。

6. 採用後のエンゲージメント向上

採用ブランディングを強化すると、候補者も企業のことを多く理解したうえで内定承諾の意思決定をすることができます。すると入社後も「思った通りだ!」「入社して良かった」と、入社前後のギャップに苦しむことなくエンゲージメントの向上が期待できます。

採用のゴールは入社ではありません。入社後にエンゲージメントが高まることで、早期に事業成長に貢献してくれたり、入社後の定着率向上に寄与してくれることでしょう。

7. 既存社員のモチベーションアップ

採用ブランディングを言語化→共有する過程で、既存社員は自社の魅力を再認識します。社員の一員としての自覚や誇りが強まり、モチベーション向上につながることでしょう。

また既存社員が面接官として自社の話を候補者にして好意的な反応が返ってくると、さらにモチベーションが高まります。現場社員を巻き込んだ採用ブランディングに取り組むことで、採用だけにとどまらない効果を発揮することでしょう。

採用ブランディングの実施手順

採用ブランド力の構成要素は

  1. 企業の魅力度
  2. 体験の量
  3. 体験の一貫性

とお伝えしました。採用ブランディングの実施とは、この3つの要素の言語化→実践→分析→改善を繰り返していくことを指します。

また企業の魅力度とは「誰に」「何を」「どのように」の質に大きく左右されます。

それでは詳細な実施手順に入っていきましょう。

1. 求める人物像の策定

採用活動では”自社のターゲットから”選ばれる必要があります。自社のターゲット外(お見送りになってしまう方)からの応募が増えたところで、採用ブランディングが成功したとは言えません。

まずは自社の採用ターゲットを言語化しましょう。

  • スキルフィット(ポータブルスキルやテクニカルスキル)
  • カルチャーフィット
  • ミッションフィット
  • これらのフィットを持ち得ているであろう経歴・経験
  • 年収

などの情報を言語化しておくことで採用ブランディングの対象者「誰に」が明確になります。

上記情報にとどまらず採用ペルソナを策定する方法もおすすめです。採用ターゲットと採用ペルソナでは粒度が異なります。ターゲットは年齢・年収・経験などの要素にある程度幅を持たせますが、ペルソナは「一人の架空の人物」を想定して多数の要素を詳細に設定します。採用ブランディングの質向上や社内の共通認識を取りやすく効果もあるので、ぜひ取り組んでみてください。

ペルソナはイメージだけではなく、活躍している現社員を基に設計しましょう。一般的なデータだけでなくライフスタイルや趣味なども加味して、具体的にイメージできるペルソナを設計すると採用戦略の方向性が具体的になります。

・ナントナクで終わらせない採用要件(ペルソナ)の策定方法

https://hear.co.jp/recruit/persona-make/

2. 3C分析

求める人物像が固まったら、採用市場における自社の立ち位置を把握します。競争環境を把握することで、自社が打ち出すべき魅力の方向性が定まりやすくなります。

そこで活用するフレームワークが「3C分析」です。

  • 自社(Company)
  • 競合(Competitor)
  • 候補者(Candidate)

3C分析ではアンケートやインタビューを駆使しながら「自社や競合の魅力はどこか?」「候補者は会社に何を求めているのか?」を、定量的・定性的に言語化していきます。

魅力を言語化する際は、企業の魅力を4つに大分類しそこから詳細を掘り下げていきましょう。

  • Philosophy(企業理念)
  • Profession(事業内容・業務内容)
  • People(人・文化)
  • Privilege(待遇・働き方)

候補者のキャリア課題を分類するフレームワークが「4P」です。キャリア課題を解決する企業側にとっては、自社の魅力を整理するフレームワークとも言えるでしょう。

・採用活動に必須のフレームワーク!4P戦略で候補者を惹きつける

https://hear.co.jp/recruit/recruitment-4p/

3. ポジショニングマップ・PoDの策定

自社の立ち位置を把握できたら、候補者から選ばれやすくなるためのポジショニングを策定していきます。訴求すべき魅力を戦略的につくることで採用ブランド力を高めていきましょう。

当ステップでは「ポジショニングマップ」もしくは「PoD」を策定していきます。ポジショニングマップもPoDも近しい考え方なので、取り組みやすい方法をお選びください。

PoDとはPoint of Differenceの略で

  • 候補者が求めていて
  • 自社が提供できて
  • 競合が提供しづらいもの

を指します。

策定する際の注意点を2つします。

まず自社の立場を考慮したポジショニング・PoDを策定しましょう。立場によって取るべき戦略が異なります。

  • 王者:守り+差別化
  • チャレンジャー:差別化
  • 負け犬:土俵変更+差別化

他にも以下のような注意点がございます。

  • KJF(Key Joining Factor / 入社決定要因)を意識する競合他社との差別化を意識するあまり、候補者の気持ちを無視した軸を選んでしまうケースを避けましょう
  • ターゲットに合わないポジショニング軸を使わないターゲットによって惹かれづらい軸があるので、常に求める人物像を立ち返るようにしましょう
  • 自社の強みが活かせる軸を選ぶ自社がその軸でナンバーワン群になれなかったとしたら、ポジションを取ることはできません

多くの企業は3C分析を通して自社の尖った魅力を見つけることができるので「うちには特徴がない」と悩んでいる企業さんはぜひ3C分析に取り組んでみてください。

競合分析は自社の採用状況や実際に入社した社員、他社の採用情報のリサーチなどを進め、複合的な情報から進めていくことが必要です。

・自社らしさで勝つための採用競合の分析方法とは

https://hear.co.jp/recruit/competitive-analysis/

4. コンセプトコピーの策定

競合他社との差別化ポイントを策定できたら、コンセプトコピーに落とし込んでいきましょう。印象的なコピーをつくることができれば、候補者からの興味・関心をより高めることができます。

以下要素を含んだコピーを作成できると候補者の印象に残りやすくなります

  • Simple:明解性(分かりやすいか?)
  • Originality:差別性(他との違いは?)
  • General:普遍性(陳腐化しないか?)
  • Sympathy:共感性(共感できるか?)

HeaRでは**「青春の大人を増やす」**をコンセプトコピーに設定していますが、以下のような狙いを持って策定しました。

コンセプトコピーは一朝一夕で完成するものではございません。何度もブレスト・議論を重ねて、納得できるものを作り上げていきましょう。

5. 採用ブランディングに沿った情報発信

採用ブランディングは、言語化して終わりではございません。策定したポジショニングマップ・PoDに該当する施策を打ち続けて”はじめて”ブランドが強固になります。

当ステップ以降は実行・実践に重きを置き、採用ブランド力の「体験の量」「体験の一貫性」を強化していきましょう。

体験の量を最大化するために、候補者とのあらゆるタッチポイントで魅力を発信していきます。

  • 採用広報(記事・動画・音声など)
  • 採用サイト
  • 求人票/スカウトメール
  • インターンシップ
  • SNS運用
  • 面接
  • 内定通知

など数多くのタッチポイントを創出することが重要です。

一方、量を追うあまり「体験の一貫性」が損なわれる企業が多いので、人事部もしくは経営陣が主導してコンテンツのチェックや面接官トレーニングの実施を通して質を担保していきましょう。

より詳細に設計する際はキャンディデイトジャーニーを策定することもおすすめしております。候補者に「いつ」「何を」「どのように」訴求するかを詳細に言語化する方法です。

6. PDCAを回す

採用ブランディングの目的は、候補者から選ばれる確率を高めるためです。策定した採用ブランドが機能しているか否かを定期的に分析・改善する必要があります。

対候補者に対してアンケート・ヒアリングを行い

  • 応募理由
  • 次選考に進んでいただけた理由
  • 印象に残っているコンテンツ
  • 面談で印象に残ったエピソード
  • 内定承諾理由

などを収集することで、採用ブランディングの良し悪しを判断しやすくなります。

他にも

  • 採用広報記事のPV数
  • SNS上での口コミ(量・質)
  • インターンシップ後のアンケート

なども参考にしながら採用ブランディングのPDCAを回していきましょう。

採用ブランディングの成功事例

採用ブランディングの成功事例を3社ご紹介します

1.サイボウズ株式会社

‍「チームワークあふれる社会を創る」を理念として掲げているサイボウズ社。制度・風土を改善し続けてきたことにより、働きがいのある会社ランキングでは上位にランクインしています。そんな同社も2005年は離職率28%でしたが、一人ひとりのワークスタイルを尊重し働きやすい会社を目指したことにより、2018年には離職率を4%まで下げることに成功しました。その結果、サイボウズ社といえば「100人いたら100通りの働き方があってよい」というキャッチコピーが有名になるほど、「働きやすそう」「個性尊重」「自由」というイメージを認知してもらうことができました。

参照:https://logmi.jp/business/articles/321507

2.株式会社SmartHR

候補者に社内情報をオープンにすることで3年半で100名以上の採用に成功したSmartHR社。「透明性」にこだわり、情報のオープン化、インパクトのある企画、従業員エンゲージメントを高める取り組みなどをしてきました。採用ピッチ資料をWEB上に公開したことも反響を呼び、資料公開から約1年で応募数は5.3倍に。資料内には福利厚生や給与テーブルなどの記載もあり、選考段階から情報のオープン化にこだわっています。また、バリューには「自律駆動」を掲げており、主体的な行動をした社員を日常的に称賛する風潮があります。候補者には包み隠さずすべてをお伝えすることで、自社にあった人材の採用に成功しています。

参考:https://careerhack.en-japan.com/report/detail/1110

3.株式会社メルカリ

オウンドメディア「mercan(メルカン)」によって採用ブランディングに成功したメルカリ社。メルカリ内で働く人についての記事を公開することで「人」を魅せるブランディングを強化しています。「社外と社内の情報やイメージの格差をなくし、入社後のミスマッチをなくす」べく、創刊から2年半で1000本以上の記事を公開しています。記事を読んで「一緒に働きたい!」と思ってくれた方からの応募が多く、創業して5年で社員数1000人を超える企業に成長しました。

参考:https://www.fastgrow.jp/articles/mercari-ishiguro-saimaru

採用ブランディングに取り組むうえでのポイント

採用ブランディングに取り組む際のポイント・注意点をご紹介します。

1. 全社を巻き込めるかが鍵

採用ブランディングは人事や採用担当者だけで完遂できるものではございません。

  • 経営陣:意思決定のサポート/経営方針とアラインさせるための議論 など
  • 現場社員:自社の魅力の収集/情報発信への協力 など
  • 面接官:採用ブランディングを体現した面接の実施 など

全社を巻き込めるか否かによって採用ブランディングの質や浸透スピードが変わります。人事や経営陣が音頭をとって「今こそ採用ブランディングが必要だ!」と全社を巻き込んでいきましょう。

2. 結果が出るまでに時間がかかる

採用ブランディングに着手してすぐに結果が出ることは稀です。HeaRの支援実績でも早くて6ヶ月、平均では12ヶ月前後で結果が出始めます。

つまり採用ブランディングに着手する際は、12ヶ月間は続ける覚悟が必要です。採用ブランディングが上手いと感じる企業さんが「実は2年以上も同じコンセプトで発信し続けている」なんてことも多く存在します。

まずは策定した採用ブランディングを1年ほど訴求しつつ、その後に分析・改善フェーズに移ることをお勧めしております。

3. 継続的な情報発信が必要

採用ブランディングの実施手順「5. 採用ブランディングに沿った情報発信」でもお伝えしましたが、採用ブランディングは、言語化して終わりではございません。策定したポジショニングマップ・PoDに該当する施策を打ち続けて”はじめて”ブランドが強固になります。

継続的に情報発信をしないと

  • 候補者に覚えてもらえない/忘れられる
  • 候補者に間違った認識を与えたままになる

可能性があります。全社を巻き込みながら、継続的な情報発信を行っていきましょう。

4. 定期的な振り返り・改善が重要

アンケートやインタビューを通して採用ブランディングを定量的・定性的に分析しましょう。競合他社の動きや社会の風潮に合わせて適切なポジショニングを取り続ける必要があります。

採用活動を行う過程で

  • 応募数・質が減少傾向
  • 選考辞退・内定辞退が増加傾向
  • 辞退理由に一定のパターンが出てきた
  • 自社の尖っていた特徴が弱まりつつある

といった傾向が出始めたら改善の兆しかもしれません。候補者から選ばれ続けるためにも定期的に振り返り・改善を行っていきましょう。

採用ブランディングを強化して候補者から選ばれる企業へ

採用ブランディングに取り組むことで採用力を高め、候補者から選ばれる企業を目指しましょう。

採用ブランディングにお困りの際はHeaRにご相談ください。

  • 採用ブランディングに関する豊富な実績やノウハウ
  • 採用BI「HITOME(ひとめ)」を活用した定量的・定性的な自社分析
  • 20,000名超の独自データベースを活用した「HeaR Survey」で競合分析

などの特徴がございます。

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