高卒採用全体のスケジュール
高卒者を対象とした採用活動は、毎年ハローワークから案内される年間スケジュールにもとづいて進行します。
ここでは、高校生と企業それぞれの動きを詳しく見ていきましょう。
高校生の動き
高校生の就職活動は、2年生の終わりから3年生の始まりにかけて徐々に本格化します。
まず、2年生の1月から3月にかけて三者面談が始まり、自身の進路を具体的に考え始めます。
そして、3年生になると4月から就職説明会が開催され、企業の情報収集がスタートします。
7月から8月にかけては、企業選定や職場見学が行われ、どの企業に応募するか具体的に決定します。
9月中旬には応募書類を提出し、いよいよ採用選考や面接が開始されます。
また、9月末から11月中旬にかけては、一次募集で内定を得られなかった生徒向けに二次募集が行われます。
- 2年生:1~3月 三者面談開始
- 3年生:4月~ 就職説明会開始
- 3年生:7月~8月 企業選定、職場見学
- 3年生:9月中旬 応募書類提出、採用選考・面接開始
- 3年生:9月末~11月中旬 二次募集
企業の動き
企業側の採用活動は、6月1日頃からハローワークによる求人申込書の受付が開始され、企業は正式な採用活動の準備を整えます。
7月1日頃には、学校への求人申込や学校訪問がスタートします。
9月5日頃からは応募書類の受付が開始され、高校生からの応募書類が届きはじめます(沖縄県のみ8月30日から)。そして、9月16日頃から本格的に採用選考が開始となり、内定を出す企業も増えていきます。
※2024年3月卒の新規高等学校卒業者の採用選考スケジュール例
- 6月1日:ハローワークによる求人申込書の受付開始
- 7月1日:企業の学校への求人申込および学校訪問開始
- 9月5日:企業の応募書類提出開始(沖縄県は8月30日)
- 9月16日:企業の選考開始および採用内定開始
【8ステップ】高卒採用を進める手順
高卒採用は、一般的な新卒採用と異なるため、まずは全体の流れを把握することが大切です。一般的には以下の8つのステップに分けられます。
1.ハローワーク主催の学卒求人説明会に参加する
2.ハローワークに求人の申込書を提出する
3.求人票のコピーを学校に提出する
4.応募前職場見学の受け入れ(受け入れを許可した企業の場合)
5.高校から応募書類が届く
6.選考試験の日程案内の書面を高校に送付する
7.選考試験の実施
8.書面で採用結果を通知する
ここでは、それぞれのステップで注意すべきポイントを含め、詳しく解説します。
1.ハローワーク主催の学卒求人説明会に参加する
高卒採用活動の第一歩は、ハローワーク主催の学卒求人説明会に参加することから始まります。
この説明会では、求人の流れや高卒採用に必要な情報が提供されるため、必ず参加しましょう。
また、説明会参加後は採用活動をどのように進めるべきか方向性を再確認し、効果的な採用計画を策定することが大切です。
2.ハローワークに求人の申込書を提出する
次に、ハローワークに求人申込書を提出することで、正式に高卒採用がスタートとなります。
求人申込書には、求人条件や求める人材の特徴を明確に記載しましょう。
3.求人票のコピーを学校に提出する
ハローワークで求人申込書が受理されると、次に企業は求人票のコピーを各学校に提出します。
この求人票は、学校側が生徒に紹介するための重要な情報源となります。
また、企業側の採用意欲をしっかりと学校側に伝えておくことも大切です。
4.応募前職場見学の受け入れ(受け入れを許可した企業の場合)
企業は、応募前の職場見学を受け入れることで、職場環境を高校生に見せることができます。
実際に働いている社員の声や、職場の雰囲気をリアルに伝えることは、生徒が企業を選ぶ上で、貴重な判断材料となります。
また、見学時に生徒からの質問を受けた場合は、丁寧に答えることで、企業の魅力をアピールする機会につながるでしょう。
5.高校から応募書類が届く
9月初旬になると、高校から応募書類が企業に届き始めます。
この段階では、応募者の書類をしっかりと確認し、選考基準にもとづいて適切に処理することが重要です。
応募書類の内容を把握し、選考準備を整えることで、採用活動がスムーズに進行します。
6.選考試験の日程案内の書面を高校に送付する
応募書類を確認したら、次に選考試験の日程を決定し、その案内を高校に書面で送付します。
このステップでは、試験の日程が高校生にとって無理がないかを確認し、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。
7.選考試験の実施
選考試験は、応募者の能力や適性を見極めるための重要なステップです。
試験内容は、企業が求めるスキルや特性に合わせて設計し、公平かつ客観的に評価できるように準備します。
また、面接や筆記試験など、複数の評価方法を組み合わせることで、総合的な判断を行います。
8.書面で採用結果を通知する
最後に、選考結果を採用通知書として書面で高校に送付します。
この通知書には、内定者に対する具体的な指示や、今後のスケジュールについての詳細を記載します。
採用結果を迅速かつ明確に伝えることで、内定者に安心感を与え、内定辞退を防ぐことにもつながります。
高卒採用の二次募集とは
高卒採用の二次募集は、一次募集で内定を得られなかった高校生や進路を変更した学生を対象とした採用活動です。
企業にとっては、一次募集で希望の人材を確保できなかった場合の貴重な機会となります。
ここでは、二次募集のスケジュールと、その対象となる高校生の特徴について詳しく解説します。
二次募集のスケジュール
二次募集のスケジュールは、主に9月末から11月中旬にかけて行われます。
一次募集で内定を得られなかった生徒や、進学や他の進路を考えていたものの再度就職を検討する生徒たちが二次募集のタイミングで就職活動を行います。
企業側は、この時期に再度求人票を高校側に提出し、生徒にアプローチすることが大切です。
特に、二次募集を行う場合は、迅速かつ効率的な採用活動が求められるため、スケジュールの把握と柔軟な対応が鍵を握ります。
二次募集を受ける高校生の特徴
二次募集を受ける高校生は、さまざまな理由で一次募集に参加しなかったり、内定を得られなかったりした生徒たちです。
しかしながら、一次募集の生徒に比べて成績や能力が劣っているというわけではなく、あくまでも個々の事情によって就職活動のタイミングが遅れたというケースも多く見られます。
ここでは、二次募集を受ける高校生の特徴を3つご紹介します。
一次募集で内定をもらえなかった
二次募集を受ける生徒の中には、一次募集で内定を得られなかった生徒が含まれます。
ただし、これにはさまざまな理由があり、必ずしもその生徒が能力不足というわけではありません。
企業とのマッチングが合わなかったり、面接時に緊張して実力を発揮できなかったりする場合もあります。
二次募集では、こうした生徒たちが再挑戦する場となるため、採用企業側は選考活動を通じて、生徒が持つポテンシャルを引き出すことが重要です。
部活動に打ち込んでいた
高校生活で部活動に取り組んでいる場合、部活動の内容や個々のレベルによっては引退時期も異なります。
その結果、二次募集から就職活動に参加することがあります。
こうした学生は、就活開始時期が遅れることがありますが、部活動で培った協調性や主体性、コミュニケーション力を持っているケースが多く、企業にとって貴重な戦力となる可能性も高いでしょう。
進学や公務員試験から就職へと進路を変えた
大学進学や公務員試験を考えていたものの、途中で就職に進路を変更を余儀なくされた生徒も二次募集の対象となります。
これらの生徒は、就職活動のスタートこそ遅れるものの、進学や公務員試験に向けて学習をしているケースも多く見られます。
企業にとっては、こうした生徒たちが持つ柔軟性や適応力を活かすチャンスといえるでしょう。
高卒採用が開始するまでに企業がやっておくべきこと
高卒採用が本格的に始まる前に、企業は十分な準備を整えておくことが成功の鍵となります。
ここでは、採用ペルソナの設定から、面接担当者のアサインまで、企業がやっておくべき具体的な準備について詳しく解説します。
これらの準備を万全に整えることで、スムーズで効果的な採用活動を実現しましょう。
採用ペルソナを設定する
採用ペルソナとは、企業が求める理想的な応募者像を具体的に描くことです。
これにより、採用活動全体の方向性が明確になり、適切なターゲットに対する効果的なアプローチが可能になります。
採用ペルソナを設定する際には、応募者のスキルや経験だけでなく、価値観や性格、企業文化との適合性も考慮することが重要です。
このプロセスを通じて、企業に最適な人材を見つけやすくなります。
採用ペルソナの設定方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
参考:採用ペルソナの設定方法とは?具体的な項目についてや活用事例を徹底解説!
自社の魅力の整理
採用活動において、自社の魅力を整理しておくことは欠かせません。
企業の強みや独自の魅力を明確に伝えることで、他社との差別化が図れます。
例えば、給与や福利厚生、将来的なキャリアパスの提供だけでなく、職場の雰囲気や働きやすさ、社会貢献活動などが挙げられます。
採用ペルソナに響くポイントを整理し、明確に伝えられるように準備しましょう。
募集要項の準備
募集要項は、応募者に対して企業が期待することや採用要件を伝えるための重要な役割を担います。
具体的には、職務内容、求める能力、人物要件を明確に記載し、応募者が理解しやすい内容にすることが求められます。
また、給与や待遇などの労働条件に関する情報も詳細に記載し、応募者が不安を感じることなく応募できるようにしましょう。
採用ツールの準備
採用ツールの準備も、効果的な採用活動において重要なステップです。
ナビサイトへの掲載や採用パンフレットの作成、採用サイトの整備、さらにはSNSアカウントの運用準備も含まれます。
これらのツールを通じて、広く情報を発信し、多くの応募者にアプローチすることが可能です。
特に、SNSは若年層にリーチするための強力な手段となるため、戦略的に活用することをおすすめします。
質問票、評価基準の作成
選考時に使用する質問票や評価基準を事前に作成しておくことも重要です。
これにより、選考プロセスが効率化され、応募者を公平かつ客観的に評価することができます。
採用ペルソナにもとづいた質問を用意することで、応募者の適性や価値観を判断しやすくなるでしょう。
また、評価基準を明確に設定することで、採用チーム内での評価のばらつきを防ぐことができます。
どのような質問をすれば良いかお悩みの方はこちらの記事を参考にしてください。
参考:「【採用面接】面接官になった時の質問例とは?人材を見極めるコツも紹介」
面接担当者のアサイン
採用活動を効率的に進めるために、面接担当者を早めにアサインしておくことも大切です。
面接担当者には、企業の採用方針や評価基準をしっかりと共有し、面接時に適切な判断ができるよう準備させます。
面接は企業と応募者の最初の接点となるため、面接担当者のスキルや態度が採用結果に大きく影響します。
したがって、適切な人材を面接担当にアサインし、事前に面談や研修を積んでおくと良いでしょう。
企業合同説明会への出展申込
企業合同説明会への出展は、直接高校生と接点を持てるため、企業の魅力をアピールすることができます。
出展企業数には限りがあるため、合同説明会の開催案内をこまめにチェックし、早めに出展の申込みを行いましょう。
また、説明会で使用する企業パンフレットやプレゼンテーション内容は工夫を凝らし、高校生に興味関心を持ってもらうことが大切です。
まとめ
高卒採用は、企業にとって重要な人材確保の手段であり、成功するためには十分な準備が必要です。
事前に採用スケジュールをしっかりと把握した上で、採用ペルソナの設定や自社の魅力の整理、募集要項の準備など、余裕を持って進めましょう。
これらをしっかりと整えておくことで、スムーズな採用活動を実現し、優秀な人材を確保することが可能です。
高卒採用における成功は、早めの準備と計画的なアプローチが鍵を握りますので、本記事を参考に、効果的な採用活動を実践してください。