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採用ペルソナの設定方法とは?具体的な項目についてや活用事例を徹底解説!
2022-12-12

採用ペルソナの設定方法とは?具体的な項目についてや活用事例を徹底解説!

監修者

HeaR株式会社 代表取締役 大上 諒
2016年、コンテンツマーケティング支援のサムライト株式会社に入社。同社で30社以上のメディア運営に携わったのち、新規事業の責任者として複数の事業立ち上げに従事。
2018年にHeaRを設立し、累計100社以上の採用支援に関わる。「青春の大人を増やす」をミッションに複数のHRサービスを展開中。

編集者

HeaR株式会社 編集部
採用のプロフェッショナルが複数在籍し、採用戦略・ブランディングから実行までを一貫で手がけるHeaR株式会社。
著者の詳しいプロフィール

目次

採用ペルソナとは

採用ペルソナとは、採用したい人物像のことを指します。

もともとペルソナという言葉はマーケティングの世界で生まれたものであり、サービスや商品を利用する典型的な顧客像を現わす言葉です。

昨今、人材の流動化や労働人口の減少による有効求人倍率の上昇の影響により、企業が人材を確保することが難しくなっています。さらに、ダイレクトリクルーティングの普及や企業情報が気軽に集められるようになったことで、求職者自身の転職活動の動きも変化しています。そして、従来のように求人広告や人材紹介を出していれば人が集まるということは現在では難しい状況となりました。

そんななかでもなんとか優秀な人材を獲得するために企業側が注目したのが、採用マーケティングです。その流れに伴い採用活動でもペルソナを活用しようということで採用ペルソナという概念が生まれました。

採用ペルソナを設定しておくことで、自社がアプローチするべき候補者に、もっともその候補者の心に響く手法で採用施策を打つことができるようになります。

今回の記事は、採用ペルソナ設定が必要な理由から設定方法や活用事例まで、幅広く解説していきます。ぜひ本記事を参考に、採用ペルソナの設定やブラッシュアップに取り組んでみてください。

なぜペルソナ設定が必要なのか?

採用ペルソナの設定は、採用活動にいくつものよい影響を与え、採用活動の成功にグッと近付くことができます。逆に言うと、採用ペルソナが設定されていないと、採用活動の成功が遠のいてしまう可能性があります。ここでは、採用ペルソナの設定が必要な具体的な理由を3つ紹介します。

候補者視点の採用活動をするため

採用ペルソナを設定して自社が求める候補者に対する解像度を高めることで、より候補者視点の採用活動を行えるようになります。

採用ペルソナで作り込んだ一人の人物像が自社を選んでくれるにはどうすればいいのかという視点で採用活動に向き合っていくことは、多くの候補者のニーズや隠れたインサイトに応えることに繋がります。

また、社内で採用活動について考えていると、どうしても社内にいるからこそのバイアスがかかってしまい、候補者視点に立っていない独りよがりの施策となってしまうことがあります。採用ペルソナを設定して採用ペルソナの視点から物事を見ていくことで、候補者から求められている施策に取り組むことができ、採用活動が独りよがりになってしまうことを防ぐことができるのです。

社内での認識のズレを防ぐため

採用ターゲットのような属性でくくる程度のものの場合、人によって認識の差が生まれやすくなってしまいます。認識の差をなくして全員が共通認識を持つことにも採用ペルソナは大きく貢献します。極めて具体的に人物像を設定していくため、人の認識の差異が入りづらく、全員が同じ人物像を思い描くことができるのです。

特に、採用チームの人数が多い企業や、現場などの他部署のほかエージェントや採用コンサルティング企業などの外部の人を巻き込んだ採用活動を行っている企業の場合は、採用ペルソナ設定を行うことのインパクトは大きいでしょう。

全員が同じ認識を持つことで、より採用活動がスムーズに動いていきます。

よりよい候補者体験をつくるため

採用ペルソナの設計時は、抱えているキャリア課題や人生における悩みごとも設定していきます。そして、採用施策や選考フローなどを考える際は、あらかじめ設定した採用ペルソナのインサイトを考慮しながら作っていくこととなります。

そのため、候補者が本当に求めている施策を展開することに繋がり、候補者体験が向上していきます。候補者体験の向上には、内定率や選考通過率の上昇のほか、採用ブランディングや候補者同士のよい口コミの広がりなどさまざまな効果があるため、多くの企業がペルソナ設計にも積極的に取り組んでいるのです。

ペルソナとターゲットの違い

採用ペルソナは採用したい人物像のこと。そう聞くと、「ターゲットと同じでは?」と思う方もよくいらっしゃいます。しかし、採用ターゲットと採用ペルソナはまったくの別物です。

採用ターゲットは、年齢、経験職種や業界、年収レンジなどの属性から自社が欲しい層を絞っていく形で設定していきます。一方でペルソナは、1人の人物を想定して、その人の人物像を詳細に決めていく形で作っていきます。小説や映画の登場人物の設定を考えるようなイメージです。

そのためペルソナの場合は、その人の性格や抱えている悩み、行動範囲や休みの日の過ごし方やよく見るサイトなどまで設定していくことが多いです。特に、採用ペルソナの場合は抱えている悩みが重要になってきます。その悩みに対して自社はどんな解決策を提示できるのか、そしてそれをどんな風に候補者に伝えていけばいいのかは、採用施策の立案をする上で重要な要素になってきます。

採用ターゲットをより詳細かつ具体的に作るのが、ペルソナといえるかもしれません。採用ターゲットだけでなく、採用ペルソナまでしっかりと設定することで、採用活動をよりよくしていきましょう。

ペルソナの設定方法について

採用ペルソナを作る際には、採用したい人物像を詳細に作り上げていくことが必要でした。しかし、採用ペルソナを作ったことがない場合、「どんな風に考えればいいのか」と悩まれる方もいらっしゃるかと思います。

そこで本章では、採用ペルソナづくりの際に考えたい項目例を10個お伝えいたします。

1.デモグラフィック

デモグラフィックとは、人口統計学的属性のことです。具体的には、性別、年齢、居住地、年収、職業、学歴、家族構成などその人の属性や社会的なデータを指します。一般的に人の行動や態度はデモグラフィックの内容によって左右されるとの考えから、マーケティングにおいて、市場分析やターゲットの明確化を目的に使われることが多い指標です。

2.経験やスキル

採用ペルソナのこれまでの業務経験や仕事をどんな風に進めてきたか・スキルといった内容を設定します。

この項目については松竹梅と3パターン設定して、上から順により求める条件を設定していくのもおすすめです。

3.行動特性

行動特性とは、情報感度や普段使用しているツールやサービス、コミュニケーションスタイルなどのこと。ここでは、仕事上のスキルや経験でなく、その人の人となりに近い部分を設定していきます。コミュニケーションと一口にいっても、喋ったり聞いたりするオーラルコミュニケーションの方が得意な人やテキストコミュニケーションの方が得意な人などさまざまなので、どんなコミュニケーション力を持った人が組織に合っているのかまで決めておくと認識の齟齬が生まれにくいです。

4.目標

目標は、仕事や業務に対する向き合い方を左右するものです。自己成長を目標として主体的に仕事をしていきたい人と、安定的に堅実に日々の業務に取り組んでいきたい人のどちらが適しているのかは、会社のフェーズによっても変わりますし、同じ会社でも職種によっても異なってきます。募集するポジションではどんなマインドで働く人を求めるのかを考えながら決めていきましょう。

5.課題

候補者の転職動機とも近しいのが課題です。給与や昇進などキャリアそのものの課題から、家庭環境とのバランスなど私生活も絡んだものもあります。自社を志望する人が多く持っている課題をベースに形作っていきます。

6.提供できること

自社が求職者に提供できること、自社で働くメリットや魅力ともいえます。課題と関連付けつつ、待遇だけでなく自社でできる経験や身につくスキルなどもあわせて設定していきます。

7.口癖

よく口にする言葉は、人柄や物事に向き合う姿勢を表します。例えば、新しいことや日々状況が変わる環境であれば「安定が一番」とよく言う人よりも、「面白そう!」などの好奇心の強そうな性格の人物が適しているでしょう。

8.批判意見や懸念点

候補者の深い心理まで考慮し、より精度の高い採用ペルソナとするためには、自社への懸念点や批判意見も検討することが必要です。ネガティブな部分を検討しておくことで、候補者に安心してもらうために伝えるべき情報や、入社後のミスマッチを防ぐために必ず伝えるべきことも見えてきます。

9.企業メッセージ 

9番と10番は、採用ブランディングや具体的な採用施策とも絡んでくる内容です。ただ人物像を作るだけでなく、設計した採用ペルソナに伝えたいメッセージも同時に考えておきましょう。ここでは、飾らずに自社のありのままを伝えることが大切です。

10.30秒ピッチ

ここでは、先程設定した企業メッセージをさらにコンパクトにし、30秒程度で魅力や伝えたいメッセージを伝えていきます。30秒という短い時間で伝えられる分量の魅力やメッセージを作っておくことで、採用ペルソナにもっとも伝えたい核心はなんなのかを把握することに繋がります。

採用ペルソナの構成要素と作り方

前章では、ペルソナ設計で考える10項目についてお伝えしました。その構成要素のうち共通項のあるもの同士をチームに分類すると、下記の3項目にわけることができます。

プロフィール

プロフィールは、年齢や性別、学歴などのターゲットで設定するのと近い要素を設定していきます。

前述の項目だと、「デモグラフィック」が当てはまります。

パーソナリティに関する情報

仕事に取り組む姿勢や価値観、本人の性格や強みや弱みといった要素がここに当てはまります。

すでに挙げた10項目の中では、「行動特性」や「口癖」がパーソナリティに関する情報となります。

仕事に関する情報

この部分がもっともボリューミーになります。仕事における目標や課題、スキルなど幅広く決めていきます。

「経験とスキル」「目標」「課題」「提供できること」「批判意見や懸念点」「企業メッセージ」「30秒ピッチ」などが当てはまります。

ただ、目標や課題などは仕事に関することではあるものの、パーソナリティとも深く関わります。あまり分類や項目に捉われすぎず、自社の求める人物像はどんな人かということを考え抜くことが、採用ペルソナをうまくつくるコツです。

また、現在活躍している社員や内定者などの人物像を参考にすると、妥当性の高い採用ペルソナが出来上がりやすいです。

ペルソナの活用事例について

キャリア課題に応じた採用広報

採用ペルソナのキャリア課題に応じた採用広報記事を掲載することで、「この会社なら自分の課題を解決できる」と認識してもらい、意向を高めることが可能になります。

例えば、採用ペルソナが「優秀なエンジニアと働いて成長したい」とのキャリア課題を持っている場合は、テックブログにて社内の技術を積極的に公開したり、エンジニアが開発手法について語る記事を掲載したりといった施策を行うことができます。

スカウトターゲットの選定や媒体調査

採用ペルソナを設計すれば、自社が求めるスキルや経験も自然と明確化してきます。そのため、スカウトターゲットの選定も軸がブレることなく、スムーズに行うことができるようになります。

また媒体選定の際も、同じく軸が定まっているので、自分たちのほしい人材がいるのかいないのかを判断しやすくなるでしょう。

パーソナリティや課題に合わせた候補者体験設計

候補者のタイプによって、どんな候補者体験が心に響くのかは変わってきます。例えば社内の人間関係に課題を持っているタイプであれば社員とのランチ会が有効でしょうし、ビジョン共感に課題がある場合は、代表との面接でビジョンを熱く話してもらうなどの施策が効くかもしれません。このように、採用ペルソナによって適した候補者体験を作ることで、より採用を成功に近付けることができます。

まとめ

今回は、採用ペルソナ設計について紹介しました。

採用ペルソナは、本来はマーケティングで使われる概念であったペルソナを採用活動に応用したもので、自社が採用したい人物像のことを指します。設計の際は、自社に合うのはどんなパーソナリティを持った人であるのかや候補者がどんな課題を抱えているのかを考えながら作っていきます。

採用ペルソナを設計することで、現場社員やエージェントといった社内外の採用関係者との認識を擦り合わせることができたり、より候補者視点に立った採用活動に繋がったりと、採用ペルソナの設計は採用活動を成功させるためには欠かせない要素です。

採用ペルソナ設計の際は、候補者の人物像のほか、伝えたいメッセージなどもあわせて考えておくと施策に落とし込みやすくおすすめです。

HeaRでは、これまで行ってきた100社以上の採用コンサルティングの経験とノウハウをもとに、採用ペルソナの設計をサポートさせて頂いています。また、採用ペルソナに留まらず採用戦略全体の設計や、採用広報のサポートなども承っております。

採用ペルソナの設計をはじめ採用活動にお悩みの採用担当者さまは、一度お気軽にHeaRにご相談ください。また、下記から採用コンサルティングサービスの内容がダウンロードできますので、ぜひご一読ください。

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