
オンボーディングの設計3ステップ、資料(タスク管理表・会社紹介・研修マニュアル)の作り方、つまずきやすい5つの壁、ビットキー・Sansan・グッドパッチの成功事例まで解説します。エンゲージメント設計の無料資料つき。(2026年9月更新)
オンボーディングとは「新入社員の『順応』『育成』『定着』を行うための一連のプロセスのこと」を意味します。飛行機や船に乗り込んでいるというon boardが語源になっています。では「なぜオンボーディングが注目されるのか」について詳しくご説明します。昨今採用市場の変化や新型コロナウイルスの拡大に伴うリモートワークの一般化によりオンボーディングの重要性は益々高まっています。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で有効求人倍率が落ち込み、採用競争は激化しています。また求職者が企業に対して「情報のオープン化(透明性)」を求める声が高まっており、採用ブランディングの観点で各社のオンボーディング施策も公開されるようになりました。
また、ポテンシャル層の育成はもちろんのこと、即戦力期待人材へのオンボーディングも重要な意味を持ちます。前の会社で発揮していた強みが、新しい環境の中で花咲かないケースも考えられることから、そのスムーズな移行のためにも、オンボーディング体制を整えることは非常に重要なのです。
また優秀な人材を採用することが難しいため、オンボーディング体制を構築した上でポテンシャル層を採用し、自社で人材を育成する必要性も高まってきました。
採用競争の激化に伴い、企業の採用手法も多様化しています。そのため優秀な人材を獲得するためには自社の採用力を高めながら、新しい採用手法にも取り組まなければいけません。結果として採用活動全体にかかる費用が高騰しています。
費用も苦労もして採用を1名成功できたとしても、オンボーディングがしっかり設計できていない場合は早期離職に繋がる可能性が高まります。オンボーディングをしっかり設計すれば人材が定着し、長期に活躍するため全体的な採用コストが抑えられます。
昨年より新型コロナウイルス拡大に伴い、リモートワークが一般化するようになりました。オフィスで顔を合わせる機会がないため、随時コミュニケーションを取ることが難しくなっています。 そのためオンラインでのオンボーディングにて教育や育成のプログラムをしっかり設計し、新入社員が必要な知識を体系的に身につけるための仕組み作りが必要になってきました。
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オンボーディングはOJTや新人研修と混同されがちですが、範囲がまったく違います。OJTと研修は「業務を教える手段」であり、オンボーディングはそれらを含めた「組織に馴染み、成果を出せるようになるまでの全体設計」を指す言葉です。
| オンボーディング | OJT | 新人研修 | |
|---|---|---|---|
| 目的 | 定着と早期戦力化の全体設計 | 実務スキルの習得 | 基礎知識・ルールの習得 |
| 期間 | 入社前〜入社後3ヶ月・半年・1年 | 配属後の日常業務の中で継続 | 入社直後の数日〜数週間 |
| 担当 | 人事+配属先+経営(横断) | 配属先の先輩・上司 | 人事・研修担当 |
| 対象 | 新卒・中途を問わず全入社者 | 主に実務担当者 | 主に新卒 |
つまり「OJTはやっているがオンボーディングはしていない」という状態は普通に起こります。業務は教わっているのに、組織の目標や人間関係の支援がなく孤立していく——中途入社者の早期離職の典型パターンです。
どんなに優秀な人材だったとしても、既存の社員と比較した場合当然情報の格差が生まれるため、今まで持っていなかった知識を習得しなければいけません。そのためオンボーディングを通じて自社に必要な知識やスタンスを身につけて頂くことで新入社員を早期に戦力化することができます。
オンボーディングがしっかり設計されていなければ社員が早期に活躍することが難しいため、ついていけず社員が早期退職してしまう可能性が高まります。採用するためにもコストがかかり、また代わりの人材を採用するためにも相当なコストがかかります。オンボーディングを設計し、早期退職を防ぎ、採用コストが削減されます。
日本で働く社員の会社に対するエンゲージメントは世界最下位と言われています。エンゲージメントを高めることは社員にとってプラスになるだけではなく、事業成長にも大きく影響します。ある調査によるとエンゲージメントの高い組織はそうではない組織と比較して生産性が31%向上するという結果も確認されています。
オンボーディング施策の成熟度は社員に対する教育・育成のリテラシーの高さと比例します。オンボーディングを適切に行い、入社における不安を払拭することは社員のエンゲージメント向上にも繋がるのです。そして結果として組織力・生産性が高まります。
続けてオンボーディングを設計するための3Stepについて解説します。 自社でオンボーディングプログラムを改善したい、または新しく設計したい場合はぜひ参考にしてみてください!

オンボーディングの施策を実行する前に組織課題と照らし合わせて「自社にとってどういったオンボーディングをするべきなのか」という点を明確にすることが重要です。Step1では自社のオンボーディングプログラムを要件定義するための方法についてご説明します。
実際に活躍している社員の声は最も貴重な情報源です。既存の社員に対して「新入社員時代、こんなオンボーディングがあれば良かった」と考えていた施策について聞いてみましょう。
オンボーディング施策は組織課題と連動していく必要性があります。マネジメント層が足りていないのであれば、将来的にマネージャーになるような教育プログラムが必要です。この中では採用におけるターゲットやペルソナ像を考慮しなければならないでしょう。
組織課題を明確にできたら、次は目標設定です。新入社員の理想状態を定義し、理想に近づくための目標を設定します。目標が設定できたら、達成するためのオンボーディングプログラムを策定していきましょう。
オンボーディングには社員の協力が必要です。協力を仰ぐためには「なぜオンボーディングをするのか」「なぜこういったプログラムでオンボーディングを進めていくのか」認識統一をしておく必要があります。きちんと目的と理想状態を共有して、社員の方にご協力頂きましょう。
自社内のオンボーディングプログラムが設計できたら、早速実行に移しましょう。新入社員と期待値を調整した上で実行していくことが重要です。
新入社員と1on1を通じて期待値調整をしましょう。会社として新入社員に対して1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後にどういう状態になって欲しいのか。理想状態を明確に伝えましょう。その上で新入社員の生の声を聞き、チャレンジングでありながら努力すれば可能な段階で目標を設定することが大切です。
実際にオンボーディング施策を運用していきましょう。施策を実行する中で「できていること」「できていないこと」を整理し、次の施策に活かしていきましょう。
オンボーディング施策を実行したらきちんと振り返りをしましょう。事業成長に伴って採用活動は継続していくものです。次に入社する社員がしっかり馴染めるようにプログラムは常にアップデートしていくことが重要です。
オンボーディングの振り返りをするためには、実際に振り返り項目や評価指標を設定することが重要です。 一例として、弊社が実際に設計したオンボーディング開始30日目、90日目、終了後のチェック項目をご紹介します。
オンボーディングプログラムを体験した新入社員からアンケートを取って率直な意見を求めるのもオススメです。「もっとこういうプログラムが欲しかった」という意見があれば、積極的に取り入れて改善していきましょう。
オンボーディング資料は1つの大きなドキュメントではなく、役割の違う3種類に分けて作るのが実務的です。それぞれ作り方のポイントが異なります。
| 資料の種類 | 役割 | 作る時の核 |
|---|---|---|
| タスク管理表(オンボーディングチェックリスト) | 入社前後にやることの抜け漏れ防止 | 時系列×担当者で整理する |
| 会社紹介・カルチャー資料 | 組織の価値観・意思決定基準の共有 | 行動レベルまで具体化する |
| 研修・業務マニュアル | 業務の立ち上がり支援 | 更新され続ける場所に置く |
入社前(備品・アカウント準備、受け入れ連絡)→初日(オリエンテーション、ランチ設定)→1週間(1on1、部署紹介)→1ヶ月(目標設定面談)→3ヶ月(振り返り)と時系列に並べ、各タスクに担当者(人事/上司/メンター)を割り当てます。スプレッドシートで十分です。大事なのは「誰がやるか」が全タスクに書いてあることで、これが無いと初日の放置が起きます。
会社の価値観・行動指針・意思決定の基準をまとめた資料は、採用向けに作るカルチャーデックとほぼ共通です。採用段階で見せた資料を入社後の読み直し用に整えるのが一番効率的で、候補者時代に聞いた話と入社後の実態のギャップも防げます。作り方はカルチャーデックの記事で詳しく解説しています。
業務マニュアルは、作成した瞬間から古くなっていくものです。PDFで固めるのではなく、Notionのようなツール上に置き、新入社員自身が「読んで分からなかった箇所」を追記できる運用にすると、次の入社者のための資料が自動的に育ちます。図やスクリーンショットは文章より立ち上がりを早くするので、画面操作系の業務は録画やキャプチャを積極的に使いましょう。
3種類のうちどれから作るべきかは、FAQで回答しています。オンボーディング全体の設計手順は無料の設計資料にテンプレートつきでまとめました。
設計どおりに進まないときは、たいてい次の5つのどれかで止まっています。新入社員が直面する順に並べました。
検証と見直しも仕組みに含めてください。3ヶ月・6ヶ月時点で定着率・立ち上がり速度・本人サーベイを確認し、プログラム自体を更新していくところまでがオンボーディングです。
実在企業のオンボーディング事例から、設計のヒントを紹介します。
ビットキー社はサッカー型の組織と題し、様々なオンボーディングプログラムを実行しています。ファーストゴールとは、新入社員がオンボーディング期間である60日以内に出す成果目標のことです。その他オンボーディングプログラム終了後に「全社員から称賛を集める渾身の一枚スライド(コンイチ)」など個性的な施策に取り組んでいます。
ファーストゴール!オンボーディング制度をご紹介します。|株式会社ビットキー|note
SanSan社ではオンラインでの研修を通してオンボーディングを行っています。インプットとアウトプットのフェーズを分けて取り組むことで知識の定着率向上を狙っています。また毎年オンボーディングプログラムのコンセプトを設計し、既存の社員・新入社員とで目線を合わせながら、オンボーディングプログラムに取り組める体制を作っています。
【Sansan編】新入・中途社員のオンボーディングのコツ/エンゲージメント向上事例|wevox(ウィボックス)
グットパッチ社は組織崩壊があった経験から、社内の体制作りを行うために様々な施策に取り組んでいたそうです。代表的な施策として離職率を削減するために行った「1・3・6インタビュー」があります。これは直属の上司以外の人が入社後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月でインタビューを行うというものです。従業員の生の声をきちんと回収することで自社の離職防止に繋げています。
グッドパッチの離職率改善を支えた施策「1・3・6インタビュー」|Penpen|note
Notionはあらゆる情報を一元管理できるドキュメンテーションツールです。Notionはボード機能やタイムライン機能などでタスク管理ができるため、オンボーディングツールとしても有効と言えます。Notionの具体的な活用方法について、詳しくはこちらで解説しています!
HRbrainは人事評価から人材データ活用、タレントマネジメントまで一気通貫で活用できるクラウド型の人材管理システムです。オンボーディングに欠かせない目標設定も簡単に行うことができます。
HiManagerはリモートワーク時代に必要なリアルタイム評価を提供するツールです。目標設定(MBO/OKR)、1on1、フィードバック、エンゲージメントサーベイなど自社の組織開発に必要な機能を幅広く備えているのが特徴となっています。
Winstantはジョブの実行とマネジメントに特化した評価管理ツールです。従業員のマネジメントをスコアリングできるため、オンボーディングの精度についても検証することができます。また、1on1を効率化できる機能も備えたツールになっています。
A. 入社後3ヶ月を集中期間、6ヶ月〜1年をフォロー期間とする設計が一般的です。役割の複雑な職種ほど長く設計します。「初週で終わり」はオリエンテーションであってオンボーディングではありません。
A. 全体設計は人事、日々の実行は配属先の上司とメンター、という分担が基本です。担当を1人に集中させると、その人の異動や繁忙で仕組みごと止まるので、タスク管理表で役割を分散させます。
A. 必要です。中途は「即戦力だから放置してよい」と誤解されがちですが、業務スキルがあっても組織の暗黙知や人間関係はゼロからです。むしろ期待値が高いぶん、早期離職のリスクは新卒より高くなります。
A. 偶発的な雑談・観察学習が起きないため、意図的な接点設計を増やします。1on1の頻度を上げる、質問チャネルを明示する、ドキュメントの整備度を出社前提の組織より一段高くする、が基本です。
A. 入社後3・6・12ヶ月の定着率、立ち上がりまでの期間(最初の目標達成までの日数)、本人のエンゲージメントサーベイの3点が基本です。「実施したかどうか」ではなく「定着と戦力化につながったか」で測ります。
A. タスク管理表からです。1枚あるだけで「初日の放置」という最悪の失敗を防げます。次に会社紹介・カルチャー資料、業務マニュアルは完璧を目指さず運用しながら育てます。
A. 最初はスプレッドシートとNotionで十分です。入社者数が月数名を超えて管理が回らなくなったら、本記事で紹介している専用ツールを検討する、の順番で問題ありません。
A. 候補者体験(採用CX)の延長線上にオンボーディングがあります。選考中に伝えた期待値と入社後の実態がずれると、どれだけ入社後に手厚くしても信頼は戻りません。採用CXの記事とセットで設計してください。
オンボーディング施策は自社のミッションやビジョン、バリュー、組織体制、事業内容など様々な要素を考慮して設計するべきです。オンボーディングをうまく設計できれば自社のエンゲージメントが向上し、定着率が向上、そして事業成長に繋がります。オンボーディングの設計にお困りの際はHeaRにご相談ください!
採用課題に合わせた最適な打ち手を、HeaRが共に設計します。
まずは資料でサービスの全体像をご確認ください。